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アスファルト混合物事前審査制度について

建設省 九州地方建設局 企画部
技術管理課

1 はじめに
アスファルト混合物事前審査制度の導入の背景としては,アスファルト混合所のほとんどが定置化され,混合物は年間を通して定常的に製造されており,また混合所の設備は各種の制御・計測機器による自動化の進展で,品質が安定してきている。
さらに,PL法.ISO 9000シリーズ等に代表される品質管理に関する社会的要求や労働環境の改善および労働時間の短縮に関連して,品質確認などの監督体制・管理業務の合理化等の要求が高まってきている。
このような時代の要請をふまえて,アスファル卜混合物事前審査制度は,平成3年度より建設省において検討が進められ,平成6年度に関東地区で試行開始され,現在は東北,北陸,中部および沖縄地区において運用されている。
九州地区においても,平成9年度より「アスファルト混合物事前審査制度検討委員会」を設置し,本制度導入について検討がなされ,平成11年4月より福岡地区,同年10月より長崎地区において試行運用を行っている。

2 事前審査制度
アスファルト混合物事前審査制度は,アスファルト混合所から出荷されるアスファルト混合物を審査機関(第三者)が事前に審査認定することにより,従来の工事ごと混合物ごとに行っていた基準試験(配合設計を含む)や試験練り等を省略できる制度です。その目的とするところは,①自主管理,②品質確保であり,結果として③合理化,④省力化につながり,発注者,施工者および混合物製造者それぞれに,以下のようなメリットが考えられる。

発 注 者 :監督職員の承諾行為の省力化
施 工 者 :書類作成,チェック作業の省力化と試験練り立会の省略
混合物製造者:混合物の各種試験回数の削減,提出資料の作成作業の省力化,
     自主管理の促進(安定した品質確保)

3 事前審査制度の仕組みと流れ
事前審査制度の流れは,図一1に示すとおりで,まず,アスファルト混合物製造者が審査機関(第三者)へ申請書類の提出を行います。審査機関において,書類審査,立会審査,確認試験を実施し,これらの結果を基に審査委員会で混合物の合否判定が行われ,合格となった混合物には認定証等が発行されます。(申請から合否判定まで約6ヶ月を要します)
アスファルト混合物製造者は,この品質認証された混合物の「認定書の写し」を工事施工者へ,工事施工者は工事監督者へ提出することによって,品質証明書に変えることが出来ます。

① 審査機関
審査機関は,アスファルト混合物の事前審査を行う機関で,発注機関(代表:九州地方建設局長)が指定した㈶道路保全技術センターがこれにあたる。
② 審査委員会
審査機関内に設けられた審査委員会において申請混合物に関する審査および合否判定を行う。
審査委員会は,学識経験者,発注機関(建設省,県,政令市)・施工者・製造者の代表者により構成される。
③ 指定試験機関
審査委員会より指定を受けた本制度を導入する県の建設技術センター等が,申請混合物の確認試験を行う。
④ 立会審査・立入調査
立会審査は,立入調査部会員が申請(更新申請時も含む)された混合所に立ち入り,認定条件,作業標準書および混合所設備等に関する申請の内容の確認を行う。
立入調査は,立入調査部会員が認定を受けた混合所に年1回以上立ち入り立会審査における指摘事項の処置・自主管理状況等の確認を行う。
⑤ 立入調査部会
立入調査部会は,審査委員会の中に設置され,立会審査・立入調査を行う部会である。立入調査部会員は,参画県の建設技術センター等の職員および舗装関係の有資格者により構成される。
⑥ 認定証等発行および公表
審査委員会による審査結果に基づき審査機関長は,申請混合所に対し認定証および事前審査認定アスファルト混合物総括表を発行する。また,認定結果を関係機関に公表する。
⑦ 自主管理と品質保証
認定を受けた混合所は,作業標準書を整備し自主管理を行い品質の確保に努め,出荷する認定混合物の品質保証を行う。

4 九州地区での運用状況
九州地区においても,本年4月より福岡地区,10月より長崎地区において運用を開始しており,その概要について紹介する。

(1)福岡地区の概要
① 試行開始日
平成11年4月1日
② 対象混合所
福岡県内に所在する混合所
③ 適用工事
建設省:福岡,佐賀,熊本,大分県内で発注される工事
  (佐賀,熊本,大分県については福岡県内に所在する混合所からの出荷が予想されるため)
福岡県:土木部・建築都市部および県内市町村の建設省所管事業
福岡市:公社等を含むすべての工事
北九州市:公社等を含むすべての工事
④ 対象混合物
表ー1のとおり(9種)
⑤ 指定試験機関
㈶福岡県建設技術情報センター

(2)長崎地区の概要
① 試行開始日
平成11年10月1日
② 対象混合所
長崎県内に所在する混合所
③ 適用工事
建設省:長崎,佐賀県内で発注される工事
  (佐賀県については長崎県内に所在する混合所からの出荷が予想されるため)
長崎県:県,県内市町村,公社等で発注するすべての工事
④ 対象混合物
表ー1のとおり(9種)
⑤ 指定試験機関
㈶長崎県建設技術研究センター

5 品質管理基準について
九州地建においては,アスファルト混合物事前審査制度の認定を取得しているアスファルト混合物については,事前審査認定書(認定書および事前審査認定アスファルト混合物総括表)の写しを工事に使用する前に提出することで品質証明書に変えることができるものとしている。また,事前審査制度によらない混合物については,従来どおり「土木工事共通仕様書」によるものとしている。
表ー2に九州地建における品質管理基準を示す。

6 おわりに
本制度は,品質検査等の簡素化としてコスト縮減のための具体的施策にも位置づけされている。関東地区の調査によると,品質管理業務の時間が48%省力化され,作業標準書の整備により品質の確保・向上が図られ自主管理,製造責任の認識が高まったなどの効果が上がっている。九州地建においても縮減効果の把握のため今後,10月より品質管理資料として認定証等が実際使用されている福岡地区において,アンケート調査等を実施する予定である。
また,現在2地区において試行開始を行っているが,発注者および施工者,製造者の方が本制度導入によるメリット(品質管理資料の書類作成の省力化,各種試験回数の削減,品質の向上)を十分に把握していない状況であるため,鋪装講習会等を通じPR活動に努め,一日も早く九州一円で,制度導入が図られることを期待している。

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