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九州技報 第21号 巻頭言

社団法人 プレストレスト・コンクリート建設業協会
 副会長兼九州支部長
須 川  昭
(株式会社 富士ピー・エス社長)

私は,昭和32年にPC業界に入って以来,30有余年に亘り,PC技術と共に生きて参りましたので,そんな立場からお話をさせて頂きたいと思います。
さて,わが国のPC事業につきましては,昭和26年,戦後の混乱期に頼るべき技術資料が乏しいにも拘らず,石川県七尾市に日本で初めて,スパン11.6mのPC橋が誕生以来,翌年にはフランスからのフレシネー工法を手始めに,ディビダーク工法(昭和33年)等々,PC技術が海外から本格的に次々と導入されるなか,国内工法も多数開発され,今日のPC技術の基盤が築かれていきました。昭和30年~40年代に入ると,高度経済成長を追い風に,海外との技術交流が更に深まり,PC技術は材料,設計,施工のいずれの面においても飛躍的に進歩し,今日に至っております。
まず,材料面ではコンクリートの高流動・高強度化が実現されており,また,耐蝕性に優れたF.R.Pの開発,更には鋼・コンクリートの複合構造の開発へと,より一層積極的な展開が図られているところであります。つぎに,PC橋の建設面では,支間の長大化,コスト縮減,省力化,美観等に対するニーズの高まりと共に,構造形式の多種多様化が進み,多径間ラーメン橋,斜張橋,エクストラドーズド橋,アーチ橋,吊床版橋等が,建設されるようになりました。
このように,わが国のPC橋梁建設は,今までは混迷の続く経済環境の中でも,高度な新技術の開発によって,安定した成長を遂げ,発展してまいりました。しかしながら近年,数十年ぶりの入札契約制度の改革,公共工事のコスト縮減,良質な社会資本整備等,建設産業全体が,早急な構造改善を迫られております。この中にあって,我々PC建設産業は,橋梁工事を始め,土木・建築の各分野で,尚一層技術の研鑽を図り,『良いものを安く』,『自然に優しく』,『人に優しい労働環境』など,国民のニーズにマッチした,新しい未来を創造する経営モラルを確立しなければ,生き残れない時代になってまいりました。
したがって,我々は公共工事に携わる責任の重大さを充分に自覚して,国民の付託に応えるべく,一層の努力を続けて行かなければならないと思っております。
最後に,PC建設産業は,特に専門的知識を具えた技術力が要求される建設業でありますので,今後の厳しい競争の時代におきましても,専門的技術力を充分発揮できるよう,『技術と経営に優れた特色ある企業』が,『自由に伸びられる競争環境』という,公正な制度上の土俵作りが,一日も早く実現されることを,切に願っているところであります。

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