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九州地方計画協会

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国土交通省の河川資料(平成13年)によれば、「大分川はその水源を由布岳(1,584m)に発し、七瀬・加来川等の支川を合わせ、大分市において別府湾に注ぐ。幹川流路延長55km、流域面積650km2の一級河川である。

河道は上流の由布院盆地と、中流の山間部を流れる狭窄部、下流の平野部に区分することができる。国の直轄管理区間は下流部に位置する」と書かれている。

最近40年間この輪郭的な数字等で見る限り何ら変わりもない様にみえるが、自然環境として見る限り大きく変わっている。新産都大分臨海工業地帯造成による河口干潟の埋立、流域内人口の大幅な増加などが挙げられるし、流域産業・住民の生活実態も大きく変わり、工業化・都市化・観光人口の増加などが顕著に現れたのである。

一方、この様な流域変化に対応して、私たちは、多自然型の川、うるおいのある緑豊かな川、水質の良い水量の安定した川づくりを、河川管理者や住民に呼びかけてきた。然し乍ら、ここ十数年の努力にも拘わらず、必ずしも実質的な水質改善など、目標は達成されていない所もあり、環境悪化の傾向さえ見られる。

一例を挙げてみると、上流の田畑の中を、直線的に河道があり、これに何本かの水路が流れ込んでいる。流路一帯に外来植物とみられるセキショウモの類が密生し、この中に多種の小魚介が見られ、アメリカザリガニも多数見られる所がある。川全体が富栄養化(※)の傾向であり、上流らしい瀬、淵の起状もなく、平坦化した川が数百m続く状態になってしまった。

この様な、上流の現状から、私は、流域住民の環境改善運動を提唱したいのである。

上流域の河道内の草類の除去・河川清掃が大分川全体の改善に寄与できると思うのである。河道の平坦化に対しては、木工沈床の設置など、管理者側の手だても必要と思われるが、豊かな川づくりのためには、流域住民の積極的な対応が期待される。また下流の住民も、受益者である事からこうした活動に大いに参加してほしいと願っている。

※富栄養化

水域の栄養塩類(リン酸・硝酸塩)の濃度が高くなり、動植物プランクトンが異常に増え過ぎ、水質が急激に悪化すること

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