一般社団法人

九州地方計画協会

  • 文字サイズ
  • 背景色

一般社団法人

九州地方計画協会

  •                                        
昭和62年度技術士試験をかえりみて
(建設部門出題傾向と解答例)

日本技術士会九州地方技術士センター
研修委員会 専門委員

昭和62年度技術士第2次試験の筆記試験は,昨年8月26日および27日に福岡市ほか5カ所の試験場で実施され,筆記試験合格者に対する面接口頭試験は昨年12月3日から14日までの間に東京で実施された。技術士試験の指定試験機関である(社)日本技術士会の月刊会誌“技術士 ’88·3号”によれば,62年度の技術士第2次試験の受験申込者総数は11,046名で,二年連続して一万名の大台を越え,合格者総数もまた技術士制度創設以来の最大数1,153名に達したと報じている。
建設部門の受験申込者総数は6,241名で,このうち筆記試験受験者数は3,319名,最終合格者数は582名で,合格率は筆記試験受験者数に対して17.54%,受験申込者総数に対して9.3%で,これまでどおり,受験合格は相当に厳しく狭き門であることを示している。
昭和62年度の筆記試験ならびに面接口頭試験の試験科目と設問傾向には殆んど変化はなく,具体例をあげてその概要を記述すると次のとおりである。まず,筆記試験選択科目Ⅰ-1(午前9時~12時の3時間で解答記述)の問題は,受験者がこれまでに体験してきた技術士に相応しい業務をいくつか具体的に示させ,その業務における技術的問題点と,それに対して受験者が取った技術的解決策を具体的に記述させ,その業務の技術的特色を明らかにさせる仕組としている。このⅠ-1の問題は,建設部門の10種類の専門科目の全てにおいて,この10年,問題設問文章の文言に殆んど変化が見られず,次に示す一例(河川・砂防および海岸のⅠ-1問題全文)に見られるような設問形式を例年踏襲し続けている。

選択科目(9-4)河川砂防及び海岸 9時~12時
Ⅰ-1 次の問題について解答せよ。(答案用紙5枚以内にまとめよ)
あなたが受験申込書に記入した「専門とする事項」について,直接体験した業務のうち技術士としての業務に最もふさわしいと思われるもの1例を挙げて,下記3項目について述べよ。
(1) その業務の技術的内容
(2) あなたが果たした役割
(3) 技術的な評価及び今後の課題

次に,筆記試験選択科目Ⅰ-2(午後1時~5時の間にⅡ-1の問題と一緒に出題)の問題は,各選択専門科目ごとに,各専門技術分野における最近の技術動向をふまえ,専門的事項について解答論述させるもので,設問内容は,本稿末尾に,土質および基礎,鋼構造およびコンクリート,河川砂防および海岸,道路の4科目についてそれぞれ一例を示したように,比較的各技術分野の基礎的技術にかかわるものが主体となっている。
Ⅰ-2の問題と一緒に出題される筆記試験必須科目Ⅱ-1の問題は,建設部門全体に共通する事項で,例年2題出題しいずれか一題を解答させる方式で,昭和62年度の問題は次のとおりである。

必須問題(9)建設一般 1時~5時
Ⅱ 次の2問題のうち1問題を選んで建設部門全体の問題として解答せよ。(茶色の答案用紙を使用し,解答問題番号を明記して4枚以内にまとめよ。)
Ⅱ-1 内需拡大に果たす建設部門の役割について述べよ。
Ⅱ-2 建設部門における情報利用及び情報処理の現状を踏まえ,将来の展望についてあなたの意見を述べよ。

以上のⅠ-1,Ⅰ-2,Ⅱ-1の3科目の問題のうち,Ⅰ-1は上述のとおり問題設問文章が事実上固定化されているので,予定答案をあらかじめ作成し,完全に丸暗記して試験にのぞむことが可能であり,3時間の解答時間で制限文字数一杯の解答を書くのが普通である。しかし,Ⅰ-2およびⅡ-1の午後からの科目問題に対しては,受験者自身の筆記速度を考慮し,各問題に対しバランスのとれた時間配分を行うことが必要で,本稿末尾の解答例に付記しているような留意が必要である。
筆記試験合格者に対して行われる面接口頭試験における試問事項にも,これまでと異った傾向は殆んど認められず,62年度試験においても設問項目は次の3項目に分類要約できるようである。

Ⅰ 受験者の技術的体験を主眼とする経歴の内容と応用能力を問う。
Ⅱ 必要科目および選択科目に関する,技術士として必要な専門知識と見識を問う。
Ⅲ 技術士としての適格性および一般的知識を問う。

以上が,昭和62年度技術士試験の概要と出題傾向であるが,以下に,昭和62年度筆記試験選択科目の4問題を選定し,当研修委員会の技術士に解答の執筆をもとめ,模範解答例として参考のため例示する。
当技術士センター研修委員会は,例年,技術士試験受験者のための総合研修講座を継続的に実施し,九州地域受験者の受験対策に役立ってきており,技術士資格取得を目ざす技術者は気軽に当センターに相談されるようお奨めする。

土質および基礎 昭和62年Ⅰ-2-11(C)
次回に示す条件の場所で,高架道路橋脚基礎をくい基礎で計画する場合において,下記の設問に答えよ。
(1) くい基礎の計画に際して,設計・施工上留意すべき事項を述べよ。
(2) 代表的なくい工法を列挙し,設計・施工上の利害得失を述べ,適切なるくい打工法を選定せよ。(800字詰2枚以内)

1 杭基礎の設計・施工計画上留意すべき事項
(1)地下鉄構造物が接近して存在する基礎地盤に高架道路橋脚基礎の杭基礎を選定する場合,既製杭工法及び場所打杭工法が考えられる。既製杭工法を選定する場合,杭の打込みに伴う地下鉄構造物への影響を小さくする必要があることから,できるだけ打込抵抗の小さい杭を選定しなければならない。近年低公害工法としてプレボーリングもしくは中堀りによる杭体圧入工法が採用される傾向にあるが,これらの杭工法は支持力の評価に問題があることから,構造物の重要度によっては選定に当って充分な検討を必要とする。
場所打杭工法を選定する場合,基礎地盤の掘削に伴う沖積粘土層の水平移動による地下鉄構造物への影響を考慮した場合,オールケーシング工法を採用すべきである。

(2)GL-5~-25m間にN=1~2の沖積粘土層,いわゆる軟弱地盤が存在する。このような軟弱地盤は現在も圧密沈下が継続中であることから杭にネガティブフリクションが作用することが考えられる。特に既製杭を施工する場合,杭本体にガティブフリクションに充分対応できる耐力を期待するか,杭にその対策を講じる必要がある。また,このような基礎地盤はせん断弾性波速度が小さいことから地震による地盤変形が大きくこの地盤変形が杭に外力として作用するため,地震時の杭の応答解析を行って杭の安全性を検討する必要がある。これらの解析結果によっては,杭基礎の重要度に応じて杭の剛性を増加させるか,もしくは基礎地盤の地盤改良を考慮する必要がある。

(3)このような基礎地盤に杭基礎を施工するにあたって,地下鉄構造物への影響を最小限におさえる必要があることから図ー1に示すように,斜線部分を地盤改良するかもしくは鋼矢板・地下連続壁等による遮断防護工を設置して地下鉄構造物を防護する必要がある。さらに施工中は基礎地盤中の水平変位及び地表面の表面沈下,ならびに地下鉄構造物内部の変形等を観測しながら,地下鉄構造物の変状の度合を判断して異常な変状を未然に防止する体制を整え,これら観測結果を施工法の改良や変状に対する応急措置等へ反映させることが極めて重要である。

2 代表的な杭工法
一般的に既製杭工法及び場所打杭工法等が考えられる。既設杭工法としては,打撃・振動工法,プレボーリング工法,等が考えられるが,近接地下鉄構造物への影響をできるだけ小さくするためには,中掘り及びプレボーリング工法が最も有力である。しかし,支持力の評価に問題があることから構造物の重要度に応じて載荷試験等を実施して充分な検討を行う必要がある。場所打杭工法としては,ベノト杭,リバース杭,深礎杭等が考えられるが,掘削に伴う軟弱粘土層の水平移動を防止するためにはベノト杭が最も有力な工法であるといえる。また場所打杭は水平抵抗力が既製杭に比して大きいことから,水平抵抗力を期待する構造物の場合には有効な杭基礎である。しかし掘削長が40mに達することから施工計画にあたっては,杭径・施工機械等について充分な検討が必要である。
鋼構造及びコンクリート 昭和62年Ⅰ-2-11(C)
問題
「コンクリート構造物の耐久性を向上させるため設計及び施工において留意すべき事項を述べよ」(800字詰2枚以内)

コンクリート構造物の耐久性向上のため,設計及び施工において,①ひびわれ制御対策,②かぶりの確保,③コンクリート品質の確保,④適切な材料の選択,⑤入念な施工,などに特に留意すべきである。

(1) ひびわれ制御対策……温度,曲げ,せん断ねじり,乾燥収縮などによるコンクリート表面のひびわれ幅をコンクリートの品質,環境条件,部材の条件,鉄筋のかぶり,鋼材の種類や応力状態構造物の供用期間等から定まる鋼材腐食に対する許容ひびわれ幅以下に制御するよう留意しなければならない。そのためには,構造物の分割,伸縮目地,ひびわれ誘発目地,ひびわれ補強筋の適切な配置,膨張コンクリートの活用などのほか,場合によってはプレクーリングやパイプクーリング等によって水和熱による温度上昇の低下または制御対策を講ずる必要がある。
(2) かぶり……環境条件,構造物の部位,施工条件,施工誤差等を考慮し必要とされている最小値を確保する。
(3) コンクリートの品質……構造物の環境条件,耐用年数などを明確にし,所要のスランプ及び水セメント比の最大値には特に留意すべきである。スランプが大きい場合は,単位水量の増加により乾燥収縮が増大し,収縮ひびわれの危険が大きくなるほか,ブリージング,粗骨材の分離を生じゃすくなり耐久性に悪影響を与える。
水セメント比の最大値は化学作用の影響,海水の影響など環境条件から許容される値以下とする。また,RC造建築物については,環境条件のほか使用セメントの種類等を考慮して許容されている最大値以下とする。
望ましい水セメント比の最大値以下では所要のスランプが得られない場合は,1)流動化コンクリートの使用,2)施工可能な範囲でスランプを小さくする,3)粗骨材の最大寸法を可能な範囲で大きくする,などの対策を講ずる。
(4) 材料の選択……コンクリートの劣化・損傷を生じたり,鉄筋を腐食させる有害物を含まず,耐久性に優れた材料を用いる。特に考慮すべきは塩化物の量と反応性骨材である。
コンクリートを構成する全材料に含まれる塩化物の総量は,土木構造物の鉄筋コンクリート部材では0.6kg/m3以下,プレテンション方式の部材などでは0.3kg/m3以下,RC造建築物の構造耐力上主要な部分についても0.3kg/m3以下とせねばならない。
また,アルカリ骨材反応を発生させないために,①安全と認められる骨材の使用,②低アルカリ型セメントの使用,③アルカリ骨材反応抑制効果のある場合セメントの使用,④コンクリート中の総アルカリ量を3.0kg/m3以下に抑制,⑤塩分の滲透を防止する措置等の対策の一つを講ずる。
(5) 施工……耐久性上有害なジャンカ・空洞・コールドジョイント・鉄筋のかぶり不足などの施工欠陥の防止に留意しなければならない。そこでコンクリート工事に先立ち,打込カ所の形状・配筋状態・コンクリートの品質及び気象条件等に応じた施工計画を定めねばならない。一般に打継部は耐久性上の欠陥を生じやすいので,打継部の処理を十分に行ったうえで,次に新しいコンクリートを入念に打込み,振動締固めを行う。
また,打込後の養生について十分な配慮が払われていず,耐久性に与える悪影響についての認識が十分でない。耐久性を向上させるには,特に初期の湿潤養生が重要で,コンクリートの表面を一定日数湿潤に保つことが望ましい。
型枠の取外し後に,打込欠陥部・ひびわれ・かぶり不足力所などの欠陥部が発見された場合は,耐久性上の弱点とならないように,その程度に応じて適切な補修を行なうよう留意しなければならない。

河川砂防及び海岸 昭和62年Ⅰ-2-2(A)
問題
都市づくり,街づくりの観点より,河川のもつ意義,役割について論ぜよ。(800字詰2枚以内)

1 河川環境整備の動向
河川は古来より国土の重要な構成要素として,その社会的役割を果たすとともに,地域社会における風土・文化に深い関わりをもってきたが,高度経済成長にともない,治水利水の問題が深刻化し,更には水質の悪化などが社会問題となった。
このような急激な都市開発のなかにあって,急を要する治水・利水の施設整備に重点がおかれ,河川環境整備が手薄になっていた時期があり,その結果として地域社会と「川」との風土的・文化的な繋がりが消失していったことは残念なことである。
しかしながら,我が国の経済活動が安定成長期に入った今日,生活の豊かさ・潤い,ゆとりなど精神的・文化的な質的向上を求める社会的要求が高まりつつあり,河川のもつ水流・空間等の環境機能が見直されて各地で河川環境整備事業が進められてきている。

2 河川空間のもつ社会的価値
治水が洪水時の災害防止を目的とし,利水が渇水時の流水の保全を目的とすることによって,国土の保全と開発に寄与しているのに対して,河川環境の保全・整備はいわば「水辺」の有り様によって,人間の生活環境に潤いやゆとりなど精神的文化的な恩恵をもたらすものと位置付けることができる。このような観点に立脚すれば,河川環境がもっている社会的価値としては次の様な環境上の機能があげられる。
 ・自然保全機能……自然緑地としての景観価値
 ・親水機能…………水辺レクリエーション活動等の親水価値
 ・空間機能…………防災活動など空間の活用価値
河川と人間との関係はもともと自然発生的なものであって,河川のもつ自然空間が沿川住民にとっての憩いの場を提供していたわけであるが,急激な都市化によって,雨水流出機構の変化,水需要の増大,生活排水などによる水質の悪化など,河川環境の著しい悪化にともない「川」と「人」との精神的・文化的な関係が崩懐した時期がある。
しかし,その一方で市街地の過密による都市のアメニティー機能の面から,河川のもつ自然空間・水流などの環境機能が見直され始め,その重要性が再認識されてきており,河川空間に対する地域社会の期待が高まっている。

3 河川環境整備事業のあり方
河川環境整備事業としては,都市の生活環境改善の一環として,清浄な流水の確保を目的とした「河川浄化事業」と,河川のオープンスペースを住民の憩いの場として提供するとともに,震災時の防災空間,緊急用道路などへの利用を目的とした「河川整備事業」が実施されてきている。
しかしながら,現在の整備状況をみると,造園的発想で整備されている公園施設などの例が数多く見受けられる。本来,河川環境整備の在り方としては,それぞれの河川のもつ固有の特性を基に地域の風土・歴史を重視する基本方針で臨むべきものと考えられるゆえ,流域における都市整備計画や下水道整備計画との調整,治水・利水計画との調和を図りつつ,河川空間のもつ水辺の特性を生かして流域の風土・自然に融合した良好な河川環境の保全と創造に努めていく必要があると考えられる。

道路 昭和62年(必須)Ⅰ-2-1
問題
「我が国の道路網について,体系,構造,機能等の観点から論ぜよ」(800字詰3枚以内)

道路は,物質の輸送や人の移動に欠かすことのできない公共交通施設であると同時に,公共空間施設としても重要で,全体として極めて多面的な機能を持つ最も基本的な社会資本である。したがって,それぞれの道路の持つ多様な機能と役割を十分に認識して,ネットワークとして道路を体系的,有機的に整備することが重要であり,我が国においては道路の機能分類という考え方から,道路の規格,構造等が決定され,道路網全体の整備が進められている。

1 道路の機能
道路の機能は大別すれば交通機能と空間機能に分けられ,さらに交通機能はトラフィック機能とアクセス機能に分けられる。両者はトレードオフの関係にあり,規格の高い道路ではトラフィック機能を重視し,下位道路では速度等よりむしろアクセス機能を重視することが必要となる。すなわち,円滑な交通流を確保する必要がある幹線道路にあっては,できるだけ出入制限をした道路構造とし,逆に居住地域内の道路等では,アクセス機能を重視してトラフィック機能を制限する道路構造とすることが望まれる。
アクセス機能がもたらす問題効果として,土地利用誘導効果があり,都市内では街区の形成,市街化の形成といった点で特に重要である。
空間機能は,避難路,火災延焼防止等の遮断空間として防災機能,採光・通風,遊び場,社交場としての生活環境機能,上下水道,架線,地下鉄駐車場,共同溝,地下街等公共公益的施設の収容機能などに分類できる。特に,公共空間の限定された都市部において必要となる機能であり,道路空間の有効利用といった面からも空間機能の果たす役割は大きく,今後さらに重要になるものと考えられる。

2 道路の機能分類
交通機能面に着目した道路機能分類の考え方と構造上配慮すべき事項は次のとおりである。

(1)主要幹線道路
主として地方生活圏及び主要な都市圏域の骨格を構成するとともに地方生活圏相互を連絡する道路で,地方部にあってはトリップ長が長く交通量も多い道路,都市部にあっては交通量が多くトリップ長が長・中である道路をいう。
◦対応する道路
地方部では高速自動車国道,主要な一般国道及び一部の主要地方道(道路構造令での道路区分では高速自動車国道,高速自動車国道以外の第1種第2級ならびに第3種第1級の道路)が,また都市部では,都市高速道路,一般国道及び主要地方道が主要幹線道路(第2種と第4種第1級の道路)に対応する。
◦構造上の配慮事項
地方部にあっては,自動車走行の円滑性・快適性を重視し,走行速度を高くし,必要に応じてアクセスコントロールを行うとともに沿道環境に十分配慮する必要がある。また都市部にあっては,自動車走行の円滑性・快適性を重視し,アクセス機能にも配慮しつつ走行速度を比較的高い水準に保つとともに,都市空間機能,沿道環境に十分配慮する必要がある。

(2)幹線道路
地方部にあっては,主として地方生活圏内の二次生活圏の骨格を構成するとともに,主要幹線道路を補完して二次生活圏相互を連絡する道路で,トリップ長が比較的長く交通量も比較的多い道路をいう。都市部にあっては,その骨格及び近隣住区の外郭となる道路で,トリップ長が中・短で交通量も比較的多い道路をいう。
◦対応する道路
地方部では,一般国道,主要地方道及び一部の一般都道府県道(高速自動車国道以外の第1種第3級と第3種第2級の道路)が,都市部では一般国道,主要地方道,一般都道府県道及び一部の幹線市町村道(第4種第2級の道路)が幹線道路に対応する。
◦構造上の配慮
地方部にあっては,アクセス機能にも配慮しつつ,走行速度を比較的高い水準に保つ必要がある。また,都市部にあっては,自動車走行の円滑性・快適性ならびにアクセス機能を重視しつつ,走行速度を比較的高い水準に保つとともに,都市空間機能,沿道環境にも配慮する必要がある。

(3)補助幹線道路
地方部にあっては,主として地方生活圏内の一次生活圏の骨格を構成するとともに,幹線道路を補完して一次生活圏相互を連絡する道路をいう。都市部にあっては,近隣住区内の骨格を構成する道路をいう。
◦対応する道路
地方部では一部の主要地方道,一般都道府県道幹線市町村道の道路(第3種第3級の道路)が,都市部では一部の主要地方道,一般都道府県道,幹線市町村道(第4種第4級の道路)が補助幹線道路に対応する。
◦構造上の配慮事項
走行速度は高い水準を要求されないが,自動車走行の快適性を損ねないよう配慮する必要がある。

(4)その他の道路
補助幹線道路から各戸口までのアクセス機能を主とした道路でトリップ長,交通量とも小さい道路をいう。
◦対応する道路
地方部では,一部の幹線市町村道と一般市町村道(第3種第4,5級の道路)が,都市部では一部の幹線市町村道と一般市町村道(第4種第4,5級)が該当する。
◦構造上の配慮
アクセス機能,歩行者・自転車利用者の安全性・利便性を重視し,自動車の走行速度は低くてもよい。都市部にあっては,住区形成等の都市空間機能も配慮する必要がある。

参考文献(河川砂防関係)
1)「日本の河川」……………河川行政研究会編集
2)「水辺区間の魅力と創造」松浦・島谷著
3)「河川の機能」総括図……「日本の河川」より

上の記事には似た記事があります

すべて表示

カテゴリ一覧