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長崎県内に誕生した新たな「道の駅」について
坂本淳一
白濱謙吾

キーワード:道の駅、ゲートウェイ機能、地域振興

1.はじめに
道路利用者の休憩施設として生まれた「道の駅」は、「地域とともにつくる 個性豊かな にぎわいの場」を基本コンセプトに、休憩・情報発信・地域連携の3 つの機能を併せ持つ施設です。
「道の駅」の制度発足から22年間で全国1,000カ所を超え、最近では地方創生を具体的に実現していくための有効な手段と言えます。

今年の春、長崎県内に新たな道の駅「させぼっくす99(ナインティナイン)」と「長崎街道鈴田峠(ながさきかいどうすずたとうげ)」の2 駅が誕生し、県内の道の駅は11駅になりました。

2.道の駅「させぼっくす99」の特色
当該「道の駅」は、平成28年4月24日にオープンしました。設置場所は、西九州自動車道の相浦中里インターチェンジ近傍に位置し(図-3参照)、周遊観光への玄関口として、広域的観光ルートのゲートウェイ的な役割を果たしています。

(1)休憩機能
従来の西九州自動車道には休憩施設がなかったため、当該「道の駅」は、西九州自動車道をはじめとする道路利用者の休憩施設として整備を行いました。
今後、西九州自動車道のさらなる延伸により県内外からの観光客の増加が予想されることから、将来、当該道の駅が重要な地域の拠点施設になることが期待されています。

(2)情報発信機能
情報発信施設としては、情報・休憩コーナーを設け、佐世保市全体への周遊に繋げていくために、各機関・地域コミュニティと連携・協力し、佐世保観光の魅力を発信しています。
また、無料公衆無線LANの環境整備や多国語の観光情報を発信することで、外国人観光客にも対応しています。

現在、施設内には、道路整備によるストック効果事例や「道の駅」の取組み、熊本地震の災害支援状況などのパネルを展示しています。

(3)地域連携機能
駅内には、地域振興施設として、物産館・フード館・イベント交流施設があります。
物産館では、厳選された地元の特産品が陳列され、佐世保の魅力を発信しています。

フード館では、佐世保を代表する老舗(洋食・中華・和食等)が出店し、佐世保バーガーやレモンステーキなど、ご当地グルメが堪能できます。

(4)防災拠点としての機能
当該「道の駅」には、3 つの基本機能の他に、災害時の避難者への緊急物資を保管する防災倉庫(飲料水、非常食、毛布等)や、平成28年度整備予定の非常用自家発電装置など、災害時には西九州自動車道を活用した広域的な活動拠点・輸送基地として期待されています。

3.道の駅「長崎街道鈴田峠」の特色
当該「道の駅」は、平成28年3月26日にオープンしました。設置場所は、国道34号沿いの大村市と諫早市との市境付近(鈴田峠)に位置し、大村市の南の玄関口として、また、観光拠点としてのゲートウェイ的な役割を果たしています。

(1)休憩機能
休憩機能としては、24時間利用可能な駐車場やトイレが整備されています。また、駐車場には、電気自動車の急速充電器が整備されています。

(2)情報発信機能
情報発信施設としては、情報・休憩コーナーを設置し、年間を通して観光案内や季節ごとのイベント情報、地元特産品等の情報を提供しています。また、観光局(JNTO)認定の外国人観光客向け案内所の設置(カテゴリー1:日英中韓4カ国語対応の電話通訳)や無料公衆無線LAN環境の提供など、外国人観光客のニーズに応えるサービスを提供しています。

(3)地域連携機能
近傍の長崎街道は、小倉から長崎に至る全長57里(約228㎞)の江戸時代の街道であり、16世紀のポルトガルとの貿易により、砂糖が輸入されるようになると、長崎街道を通って日本全国に運ばれたことから「シュガーロード」と呼ばれています。
当該道の駅には、その「シュガーロード」とも呼ばれた長崎街道に因み、地産品を利用したスイーツやドリンク類を販売する「喫茶・軽食コーナー」があり、大村市の特産品をアピールしています。また、オリジナルスイーツ等の開発・販売は、地元高校との連携による協働事業として、年2回予定しています。

4.おわりに
近年、道の駅では「地域の拠点機能の強化」を重視し、地域の個性や魅力を活かした様々な取組みが行われています。
今年1月には、長崎県内では初めてとなる『重点「道の駅」』に「彼杵の荘」が選定され、既に具体策の実施に向けた検討・取り組みが動き出しています。

また、高速道路ICに近い利便性を最大限活かす観光拠点としての機能充実、防災機能の強化、地域経済の活性化につながる取り組みを支援していきたいと考えています。
最後に、本稿執筆にあたりご協力頂いた関係各位に感謝申し上げたい。

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