特殊車両通行許可申請におけるオンライン申請について
国土交通省 九州地方整備局
道路部 交通対策課長
道路部 交通対策課長
末 吉 秀 幸
1 はじめに
経済的、効率的に道路整備を進めるため、道路は一定規模の車両走行を想定して設計されており、その想定を超える車両の走行は、橋梁や舗装の寿命を縮めるなど、道路に対して甚大な悪影響を与え、又、交通事故が発生した場合、重大事故となる危険性が高く、社会的・経済的影響を及ぼすこととなります。
このため、道路を通行する車両については、車両制限令により重量や寸法について制限を設け、これを超える車両(以下特殊車両)を走行させる場合には、道路管理者が、個別に審査し、やむを得ない場合に限り、超過した重量や寸法に耐えられる構造を有するルートに限って、徐行等の必要な通行条件を附してその走行を許可しています。(特殊車両通行許可制度)
しかしながら、全体交通の1%にも満たない重量超過車両の内約7割は無許可や通行条件違反など道路管理者が想定していない違反状態で走行しているのが実態であり、それらの違反車両が道路の維持修繕費に及ぼす影響は年間2,000億円にも上るといわれています。さらに、それらの車両は時には重大な交通事故を引き起こしています。
全登録車両の内、特殊車両の登録台数は0.1%、特殊車両の全登録台数は、0.1%に過ぎないが、死傷事故の発生率は平均値の約4倍(全体の1.2%)を占めており社会的影響はきわめて大きい。
このため、特殊車両通行許可制度のさらなる厳格な運用を目指し、平成16年度より関係機関や民間団体とも連携し取り組みを一層強化しているところです。
2 現状と課題
特殊車両許可制度の役割は、道路構造の保全と、交通の安全確保にありますが、申請率が低く違反が多いのが実情であり。その理由は、主に、
① 申請が面倒、時間がかかる
② 違反してもめったに見つからない
③ 捕まっても処分が甘い
等が挙げられます。よって、まず、特車通行許可申請率の向上が重要な課題となります。
申請が面倒、許可申請書までに時間がかかるといった申請者からの声に対して、申請手続きの簡素化・審査方法の短縮をはかるために、インターネット許可申請「オンラインでの申請」を平成16年3月より、全国の国道事務所等で導入しました。
3 オンライン申請について
ここでオンライン申請について、概要をご説明致します。許可までの流れを示すと下記のとおりです。
① 自宅やオフィスに設置してあるパソコンと道路管理者(窓口)をインターネットで接続します。
② 申請データの作成は、特殊車両申請支援システムを利用し作成します。
③ 申請データは、受付システムで受け付けられ、申請者が選んだ申請窓口へ転送され処理されます。
④ セキュリティシステム
他人になりすまして申請をしたり、申請書の内容が盗聴・改ざんされたりすることがないよう、申請書に電子的な署名をし、電子証明書を附します。これにより、内容の改ざん、情報の流失等を防止します。これにより、インターネットを利用した申請が安全におこなわれます。
⑤ 許可証取得
申請窓口に出向くことなくインターネットを経由して取得することもできるようになります。(平成19年4月開始予定)(注1)
⑥ 提出した申請の審査状況もインターネット経由で確認することができます。
注1)現時点では、窓口発行となります。この為、窓口に出向いて頂かなければなりません。
4 オンライン申請のメリット
1)事務所の窓口に出向くことなく、申請手続きが行えます。(電子許可書の交付実施については平成19年4月開始予定)
2)個別審査がない場合は、審査期間が最短4日間に短縮されます。
3)車両や経路の入力が楽になります。(申請データを画面の案内に従って作成することができます。)
○手書きで申請書類を作成する必要がありません
4)過去の申請情報を利用できます。
2回目以降の申請や、変更、更新申請の申請書作成時には、過去のデータが利用できるため、はじめから入力する手間が省け、申請書が簡単にできます。
5)事前に通行条件を確認できます。
申請書作成時に簡易算定機能を利用することで、個別審査の有無の確認や申請時のエラーの発生を防止することができます。
6)申請データが無料で作成できます。
申請支援システムで画面上から経路を地図で指定できるため、道路情報便覧付図などの資料購入の必要がありません。システムの利用料も無料です。
以上のようなメリットがあります。
実際オンライン申請を始める前について概要を説明させて頂きます。(実際に、申請準備される場合は、必ず文末のホームページをご参照ください)
① パソコン準備
ADSL程度のインターネットに接続できる環境が必要です。
② 環境設定
所有されているパソコンからオンライン申請をするための設定を環境設定CD-ROMで行います。
③ 電子証明書の取得
申請データをオンラインで申請する際に必要となります。電子証明書は印鑑に替わるものです。
④ 申請データ作成
オンライン申請システムで作成します。
実際の申請書作成の流れについては、以下の図のとおり、①基本情報、②積載貨物情報、③車両情報、④経路情報の順で入力指定して頂くことになります。
5 今後の課題
特殊車両許可申請率の向上、道路構造の保持、交通の安全確保を推進するため、現在整備を実施している自動取り締まり装置の活用があります。
本システムは、
① 車両の重量、登録ナンバー等の自動計測
② 保有する特車データベースとの整合性の確認
③ 違反車両への通知、指導の徹底
④ 罰則強化等の検討
⑤ 常時取り締まりの実施が可能
等について、今後順次運用していく予定で整備を進めているところです。
6 おわりに
九州地整では、平成19年4月を目標に、電子許可証発行に向けて準備を進めております。今後、オンライン申請の様々なメリットを生かすためにも、普及を目指して参りますので皆様のご協力をよろしくお願いします。
申請手続きの流れについては、以下のホームページにありますので、ご参考ください。