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南九州西回り自動車道(田浦IC~芦北IC)の開通
九州地方整備局 竹下卓宏
1. はじめに

平成21年4月29日、高規格幹線道路南九州西回り自動車道の田浦IC~芦北IC間8kmが開通した。
開通当日は、晴天の中、国会議員や芦北町長など関係者約400名の参加のもと、開通式典を芦北町民総合センター、鋏入れ式を芦北ICで開催し、15時より一般開放を行った。
今回開通した区間は、平成17年2月に開通した日奈久IC~田浦IC間とともに国道3号日奈久芦北道路として平成13年度より工事に着手した区間で、今回の開通により日奈久芦北道路全線開通が図られた。
ここでは、南九州西回り自動車道の概要や今回開通した田浦~芦北間の特徴等について紹介したい。

写真-1 開通式典(芦北町民総合センター)

写真- 2 テープカット(芦北IC)

2. 南九州西回り自動車道の概要

国道3号は、北九州市を起点とし鹿児島市を終点とする総延長約400㎞の主要幹線道路で、福岡市、熊本市、八代市、水俣市などの九州の産業・文化・行政の中心都市を結ぶ路線として極めて重要な役割を果たしている。
特に、八代市以南の地域にとっては九州の政治・経済及び商工業の中心である北部九州を結ぶ唯一の幹線道路であり、災害時などで通行止めが発生した場合、大きく迂回を強いられる状況である。
このような状況下で、各都市間を高速交通ネットワークで結び、災害に強い道路ネットワークを構築し、物流の効率化や地域産業の活性化など地域の発展に寄与することを目的として、南九州西回り自動車道約140km を整備している。
熊本県内の事業区間は「八代日奈久道路」、「日奈久芦北道路」、「芦北出水道路」の3つの区間に分けて事業を実施している。
このうち、八代日奈久道路12kmについては、平成13年6月までに全線開通し、日奈久芦北道路については、日奈久IC~田浦IC間の延長8.8kmを平成17年2月に開通している。


図-1 九州高規格幹線道路


図-2 熊本県内整備状況

3. 田浦IC~芦北IC間の特徴

今回の開通区間である田浦IC~芦北IC間においては、地形が急峻であるため、延長768mの田浦高架橋、高さ約50mの宮浦2号橋など橋梁が12橋あり、また、延長2,919mの新佐敷トンネル(これは九州の直轄国道の中では最も長い延長となります)などトンネルが3箇所ある。
これら構造物の割合が約8割と非常に高い区間であり、新技術や新工法も積極的に活用し、コスト縮減や工期短縮にも努めながら工事を進めてきた。

写真-3 田浦高架橋(施工中

写真-4 田浦高架橋(完成)

特に、新佐敷トンネルは、平成17年4月に掘削工事着手後、脆弱な地盤や突発的な濁湧水の発生など困難を極める中、土木研究所とも連携を図りながら、約4年の歳月をかけ完成した。
これにより、ちゃくちゃくプロジェクトで掲げた平成20年度供用目標に大きく遅れることなく、今回の供用を迎えることができた。

写真-5 宮浦2号橋(施工中)

写真-6 宮浦2号橋(完成)

写真-7 新佐敷トンネル(施工中)

写真-8 新佐敷トンネル(完成)

4. 整備効果
①所要時間の短縮
今回の開通により、八代~芦北間が国道3号を利用した場合に比べ約50分から約25分に短縮されるなど高速定時制が確保される。


図-3 整備効果(八代市~芦北町)

②災害に強い道路ネットワークの構築
急峻な地形のため災害の多い国道219号や国道3号の代替え機能が確保され、安全で信頼性の高い道路ネットワークが構築される。
この他、芦北IC周辺では、今回の開通に合わせJAあしきたのファーマーズマーケット「でこぽん」が4月19日にオープンする(オープン後、約1ヶ月で来場者が10万人を超えています。)など地域の活性化を支援し、また、緊急時の医療体制の確保にも大きく寄与するものである。


写真-9 ファーマーズマーケット「でこぽん」(芦北IC付近)

写真-10 開通状況
(新佐敷トンネルより田浦IC方向)

写真-11 開通状況
(芦北IC)

5. おわりに

南九州西回り自動車道の熊本県内区間約51km は、まだ約4割の未開通区間が残っており、地域の方はもとより、熊本県南地域や鹿児島県からも、早期開通に向けた大きな期待がある。
今後とも、残る区間の早期整備に向け事業の推進を図っていきたい。

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