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新道路計画の策定に向けて

前国営吉野ケ里歴史公園工事事務所長
元道路部道路計画第二課長
高 場 正 富

1 はじめに
日本の道路整備が本格化したのは,昭和27年の新道路法の成立に続く,昭和28年の「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」の成立後と言えます。
以来,経済社会の変化に対応しながら,道路整備の五箇年計画を策定し,計画的に整備が進められて来ており,現在第11次の計画期間中です。
この計画期間が,平成9年度までのため平成7年から,次期道路整備計画の策定作業が進められていますので,概要を報告させていただきます。

2 道路審議会の答申に向けての取り組み
従来,道路整備五箇年計画の策定に先立ち,建設大臣の諮問機関である道路審議会の答申を受けています。
今回,道路審議会では,経済社会が大きく変化している中で,新たな道路計画の基本的考え方をまとめるには,国民に広く意見を聞く必要があるとして,パブリック・インボルブメント方式(計画策定の過程を知らせながら,広く意見・意志を調査する方式)で作業を進めています。
(1) 「21世紀のみちを考える委員会」による「キックオフ・レポート」の発表と同委員会委員による全国規模のシンポジウム等による広報活動を行い,ニーズの把握に努めた。
(2) 寄せられた意見を「ボイスレポート」として発表し,広報に努めた。
(3) 「21世紀の生活とみちを考える委員会」では,道路審議会に報告した「中間取りまとめ」を冊子として発表し,道路政策のサービス目標の提案を行い,意見の把握に努めています。

3 九州地方建設局の取り組み
(1)新道路計画策定に当たっての特徴
従来,道路整備五箇年計画の地域版として,九州地建版と県等の地方版を策定していましたが,地建版の多様化(地域連携軸をイメージした地建間や地建内各県のブロック版)や,地方版の多様化(スクールゾーンや流域ゾーン等の地区)により,地域の特性に応じた各エリア毎の計画づくりを地域が中心となり進めています。
これら,計画づくりの特徴としてまとめると,
 ① 地域の独自性の発揮
 ② 道路整備の目的の明確化
 ③ 現道路空間の有効活用
 ④ 公共交通機関の活用等総合交通休系の確立
 ⑤ 計画策定プロセスの透明性の確保
 ⑥ 地域住民からの意見の聴取
以上の6点にまとめられます。
(2)計画策定の進め方
九州地方建設局では,九州各地の有識者10名で構成する九州地方道路整備懇談会(委員長:吉田信夫福岡大学教授)をこれまで4度開催し,意見を踏まえた九州地建版づくりを進めています。
(3)九州地方道路整備ビジョン(案)の策定
九州の特性を踏まえ以下により策定しました。

今後の道路整備を進めていく上での地域づくりでは,人・物・情報の交流が生じやすい地域づくりを目指すとともに,複数の地域の交流・連携による質の高い地域づくりを目指していくことが必要と思われます。そのため,21世紀に向けた九州の道づくりでは『交流·連携による“魅力溢れる住みよい九州”』の実現を地域づくりの目標に,それを支援する道づくりの方針を策定しました。

4 おわりに
21世紀を目前に控え,世界的規模で経済社会が大きく変化している中,道路の果たすべき役割も機能も,大きく変化しています。
このため,今回の計画策定に当たっては,これまでの延長線上での第12次の表現は使わず,新道路計画づくりとしています。
また,道路審議会の「21世紀の生活とみちを考える委員会」では,「中間とりまとめ」で,道路政策の基本姿勢を見直すべきであるとして,以下の3点を挙げています
(1) 新たな仕組みの構築(道路の効率的整備や現道の有効活用,情報公開等のルールの確立)
(2) 国民のニーズに応える(利用者の視点重視,車から人中心へ,取り組みのオープン化等)
(3) 国の関与すべき領域と役割(国と地方の役割分担の明確化,民間活力の導入)
九州地方建設局では,この様な全体的な環境に対応し,九州幹線道路協議会の組織改訂を進めるとともに,道路整備ビジョン(案)に対する意見を把握し,道路整備ビジョンを固め九州の新道路整備計画を策定することとしています。

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