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入庁1年が経って
~趣味と仕事と趣味と趣味と・・・~

大分県 大分土木事務所
道路保全課  
保全第二班 技師
甲 斐 智 也

新採用職員として大分県庁に入庁し、1年が過ぎた。大学を卒業してから、まだ1年しか経っていないということだが、すでに10年くらい過ごしたように感じるくらい濃い1年であった。
私の所属している課・班は、県の管理する道路、特に橋梁の補修・耐震事業を主として行っている。大学では、交通系の研究室に所属していたため、全く知識もなく、業務の進め方もわからなかった。加えて、昨年は伽藍岳の警戒レベルの上昇・台風・大雪など様々な災害が発生し、そのたびに道路管理者として、対応に当たることとなった。そのため、毎日覚えることがたくさんあり、失敗しかしなかった。そのたびに、先輩や総括から厳しい指導をもらっていた(2年目になってから、指導されたことがとても役に立っていると感じており、先輩方にはとても感謝しています)。
そんなとても忙しい1年間を、無事に過ごすことができたのは、いろいろな趣味を楽しむことができたからだろう。私には、いくつかの趣味がある。今回はその中で3つ紹介しようと思う。
1つ目は、カメの飼育である。実家ではあるが、ニホンイシガメを飼育している。家の中で飼育しているとライトの下にカメが集まってくのだが、光に当たろうとするため、カメが重なっていく。その重なっている様子が可愛くもあり、面白くもある。また、私は、ニホンイシガメの顔は、カメの中でも可愛い部類の顔であると思っている。そのため、バタバタと泳ぐ動きだけでなく、普段の顔や日光浴でのんびりしている時の眠そうな様子も可愛く、ふとした時に、クスリと笑わせてくれる存在となっている(写真- 1)。

写真1 ニホンイシガメの群れ

2つ目に野菜作りである。実家で使わなくなっていた土地を利用して、野菜作りに挑戦している。はじめは土を作るところからで、石灰や肥料など、その野菜にあった土を考える。他にも、隣に植える野菜やその前に植えていた野菜との相性なども考えなくてはならず、野菜作りは奥が深いものだと感じている。もちろん、枯れてしまったり、実がつかなかったりすることもあるが、その分、収穫できた時の喜びはとても大きい。トマト・オクラ・ニンジンをサラダ、ナスは味噌汁に入れ、新玉ねぎはレンジで温めてめんつゆをかける。じゃがいもはじゃがバターにして、枝豆は茹でて塩を振る。自分の食べたいものを自分で作り食べることで、よりおいしく食べることができている。これから、他の野菜にも挑戦し、土の改良もしながら、これからも楽しんでいきたい(写真- 2)。

写真2 土づくりの作業風景

3つ目に能である。「能って伝統芸能のあれ?」という人がよくいるが、あの能である。
能は室町時代に観阿弥・世阿弥によって確立された伝統芸能の1つである。よくわからないものに感じる人もいると思うが、能の物語は、神様・落武者の亡霊・女性の怨霊・鬼などが出てくる「この世に居ないもの」の物語や、女性の恋物語や敵討ちなどの「この世で起こった」物語があり、幅広いジャンルの物語がある。そして物語の中では、台詞を「語る」部分と音楽にのせて「うたう」部分がある。つまり、能は昔のミュージカルである。
能が触れにくいものという印象は「何を言っているかわからない」「動きがなくて退屈である」という2つの理由からではないだろうか。この理由については、「能はそういうもの」としか言いようがない。実際に言葉は古語であるし、能という伝統芸能自体、「動きを極限まで減らして表現する芸能」という特性上、退屈に感じてしまうのは仕方がないことだと考える。その中でも、能を楽しむコツが2つある。1つ目は物語の流れをあらかじめ知っておくことである。能は、演者が一方的に観客に提供するものではない。演者の「動きを極限まで減らした表現」のなかで、観客に「今はどのような場面であるのか」「どのような気持ちであるのか」など想像してもらうことで創り上げていくものである。現在は、ネットで検索すると曲目の内容を解説したサイトがあったり、曲目が始まる前に解説があったり、タブレット端末を貸し出して、現代語訳が見れたりするなど、工夫がされるようになっているので、見る際には、ぜひ活用してもらいたい。2つ目は「眠くなったら寝る」ことである。能は基本的に、初めはとても静かで、最後にとても盛り上がるものである。なので、話の流れを知っておいて、一番の盛り上がりを楽しむのも一つの手であると私は考えている。
どこかで「羽衣(はごろも)」「般若(はんにゃ)」という言葉は聞いたことがあるのではないだろうか。「羽衣」は能の曲目、「般若」は能面の名称である。つまり、能は意外に身近にあり、触れにくいものではないのである。
さて、大分市には、能楽堂がある。能楽堂があるところでは、定期的に能楽の講演や、能の愛好者たちによる会が開催されている。能楽堂がないところでも、各地で野外能が開催されていたりする。私は、その講演を観て、舞い手がその曲をどのように表現しているか、美しさや迫力を楽しむことも好きであるが、私は実際に舞う方が好きである。
いろいろな縁で、6歳くらいの時に習い始め、今も続けている。能を舞う楽しさは、色んな物語を体験することができることだろう。私は、シテ方と呼ばれる、主役を習っている。そのため、その物語の主人公を体験することができる。その主人公に、どのようなことが起きて、どのような気持ちになり、どのような結末を迎えることになったのか。それを考え、自分でどのように表現するのか、他の人を参考にしたりして、自分なりに工夫をする。それを舞台で発表したときに、自分なりにうまく表現できていた時には、とても満足感を得ることができる。まだまだ、これから磨いていかないといけないことがたくさんあるので、これからも続けていこうと思っている(写真- 3)。
各地の能楽堂やコミュニティセンターでは、年度の初めや、夏休みの時期などに、能楽を実際に体験できるレクチャーの申込をしていることがある。家族で参加できるものや、子供の教室など、様々なものがあるが、能楽とは実際にどのようなものか、どんな動きをするのか、家族の思い出の1つに、家族や友達と話すときの話題の1つとするために、参加してみるのはいかがだろうか。

写真3 能:経正(つねまさ)※中身は執筆者本人です。

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