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県都大分市の東西骨格軸 庄の原佐野線について
~あなたの一票で橋の色が決まる!塗装色決定の取り組み~

大分県 土木建築部  
都市・まちづくり推進課
主査
佐 藤 直 人

キーワード:街路事業、都市計画道路、庄の原佐野線、高架橋、塗装色

1.はじめに
「庄の原佐野線」は、東九州自動車道大分ICから大分市佐野までを結ぶ、延長約15km の都市計画道路である。本道路は県都大分市の東西骨格軸を形成し、都市活動の活性化、交通混雑の緩和、広域道路の連携といった重要な役割を担っている。近年、大分市の中心市街地では「大分駅付近連続立体交差事業」や「大分駅南土地区画整理事業」、「庄の原佐野線等関連街路事業」の3事業からなる「大分駅周辺総合整備事業」により、「大分の顔」にふさわしい質の高い魅力ある都心形成を推進する総合的なまちづくりが行われ、駅周辺の都市機能の充実や良好な住環境の整備が図られた。一方で、大分市街地の既存道路では交通渋滞が常態化し、渋滞に起因する事故も多発していることから、大分市内の渋滞対策は喫緊の課題となっている。
現在事業中である庄の原佐野線「下郡工区」及び令和5年度から事業化した「下郡・明野工区」の整備により、既存道路からの交通の転換による渋滞緩和や救急車両の円滑な走行確保、災害時の避難・救援ルートの確保が期待されている。本事業区間においては、県内では過去に類を見ない、市街地を通過する約1.4kmの連続高架橋を整備することから、多くの人の目にとまるこの橋梁が長く愛され、親しみを持って利用してもらえることを目的として、橋梁の大部分を占める鋼構造部分の塗装色を一般投票により決定する取り組みを行った。

図1 庄の原佐野線 ルート略図

2.橋梁色彩検討
(1)橋梁色彩検討委員会
庄の原佐野線(下郡工区及び下郡・明野工区)は、明野の丘陵地から大分市の景観形成重点地区である「おおいた都心地区」を形成する大友氏遺跡周辺エリア及び都心景観軸エリアへとつながる延長約2.2kmの道路であり、住民の生活や産業を支える重要な社会資本であるとともに、地域のシンボルとなりうる重要な景観要素であるが、約70%の区間が大規模な構造物である連続高架橋となるため、周辺景観に与える影響が大きい。
そこで、大分市景観計画の理念を踏まえ、連続高架橋が街並みの良好な景観の形成に寄与し、かつ、地域の人々に親しまれる構造物となることを目的として、その色彩を検討する「都市計画道路庄の原佐野線 橋梁色彩検討委員会」を設立した。
委員会は学識経験者や地域住民の代表で構成し、橋梁の色彩案や一般投票の方法、投票結果を踏まえた最終決定の方法を検討した。

写真1 下郡工区完成イメージ

図2 連続高架橋側面図

(2)橋梁色彩案
①景観エリア
本検討区間は、大分市中心市街地から大分川を挟んだ東側に位置し、「大分市景観計画」(以下、景観計画)の中では、工業エリアにおける「産業市街地」と市街地エリアにおける「住宅市街地」に位置づけられている。また、東側に位置する緑豊かな明野丘陵地から大分川を挟んだ西側の大友氏遺跡周辺エリア、上野の森周辺エリアなどから構成される「おおいた都心地区」へとつながる道路であることから重要な景観要素である。

図3 景観エリア

②景観形成基準
色彩を検討する上では、景観計画の中で橋梁などの工作物を建設する際の配置や形状、色彩に関する景観形成基準が定められており、地域の景観から突出した印象の色彩や不調和な色彩を避けること、明度や彩度を抑える必要があった。

図4 景観形成基準の内容(市街地エリア)

③色彩案の提案
色彩案については、基本色である赤、黄、緑、青、紫の5色とそれぞれの中間色を加えた10色のうち、地域の景観と調和すると想定されるものを選定した。地域の文化として、滝尾百穴や下郡遺跡群などにみられる歴史的遺産を連想させる色の赤黄系、黄色系、地域の景観・地理的特性である明野丘陵地や大友宗麟を象徴する色彩として緑系、大分川や青空を連想させる色として青系、地域を支える産業・土地利用といったテーマの下郡工業団地は少し明るめのグレーとした10案を事務局から委員会へ提案した。

図5 景観との調和を想定した橋梁色彩案

写真2 景観との調和を想定した橋梁色彩案

④一般投票案の決定
提案した10 案のうち、委員の投票にて、大友宗麟ゆかりの壺や明野緑地を連想させる⑥番の緑色、青空や大分川の澄んだ水を連想させる⑨番の青色、彩度が低く、周辺景観に溶け込みやすい⑩番のグレーの3 色を選定した。また、委員会の中で、鋼製橋脚の柱部についても、桁部分と同色で着色するパターンの提案もあったことから、緑、青の2 色の柱部については、通常のグレーの他に緑、青で着色する2 案を追加した全5 案にて一般投票を行った。

写真3 一般投票パンフレット

3.一般投票
(1)一般投票に向けた広報
一般投票に向けた広報については、橋梁の色彩を決定することは元より、事業について広く県民に理解してもらうことや、親しみを持って道路を利用してもらうことを目的に、テレビ3 番組、ラジオ3 番組、新聞5紙の他に大分県のホームページやSNS(大分県公式Twitter、Facebook)を活用し行った。また、地域住民の方や近隣の小学校に対しては、32,500 枚のチラシを配布することで投票の呼びかけを行い、1ヶ月間の投票を迎えた。

写真4 SNSでの広報活動

(2)一般投票結果・分析
令和4年8月末から同年9月末までの投票期間で投票総数4,037票(うち有効票数:3,995票)の投票が行われ、その結果、B-②(桁・柱ともに青)が1,431票を獲得した(図- 6)。また、年代別の投票割合としても、どの年代においてもB-②を選んだ人の割合が最も多い結果となった(図- 7)。

図6 一般投票結果

図7 年代別投票割合

投票方法においては、投票者の約9割がインターネットを利用していること(小学校回収分除く)、さらに、年代に関わらずインターネット投票が多いことが判明した(図- 8)。その他、投票を知ったきっかけについて、チラシによるものが全体の約4 割を占め、続いて、マスコミの媒体、県HP によるものが多かった。年代別でもチラシによるものが最も多かったが、10代、20代ではSNS での拡散が他の年代より多い一方で、60代以上になると新聞の割合が多いことから、幅広い広報が必要であることも判明した(図- 9)。

図8 投票方法割合

図9 投票を知ったきっかけ

4.塗装色の決定
(1)色彩案の検証
一般投票により選定されたB-②(桁・柱ともに青)のマンセル値は「5PB 8/2」であるが、これに対し、『色の面積効果』(同じ色でも明るい色は面積が大きいほど明るく鮮やかに、暗い色は面積が大きくなるほど暗く見える効果)を踏まえ、5PB の明度・彩度を調整した6種類の色見本を用意し、見え方の検証を行った。検証の結果、どの色も現地で確認すると灰色にしか見えないことが判明した。この色彩を塗装色として決定した場合、青色のイメージを持っている県民の方々との認識のズレが懸念されたことから、基準内で青色に見える色を再度検証することとなった。

写真5 現地での色見本の検証

(2)色彩案の再検証・決定
再検証を行う色彩案としては、前回の検証で彩度が低いものはより灰色に近づくことが判明したため、景観計画上で選定できる最も彩度・明度の高い範囲の中から、32 種類の色見本を作成し、再検証を行った(図- 10、写真- 5)。現地で再検証・委員による投票の結果、「5B 6/2」が一般投票時の色とイメージが近いことから決定案となった。

図10 再検証時の色彩案

写真6 現地での再検証(右:決定案5B 6/ 2)

5.おわりに
本事業区間は県内では過去に類を見ない、市街地を通過する約1.4kmの連続高架橋を整備することから、多くの人の目にとまり、親しみを持ってもらえることを目的として橋梁の塗装色の一般投票を行った。今回の取り組みでは、幅広い広報を行い、多くの方の関心を集めた結果、4,000票を超える投票数につながった。塗装色の提案から決定を迎えることができたのは各委員からのご提案やご助言等の結果であり、ここに感謝の意を表す。
今後、事業の最盛期を迎えるが、渋滞緩和や救急車両の円滑な走行確保、災害時の避難・救援ルートの確保のため、安全第一かつ一日も早い開通に向けて進捗を図りたい。

写真7 高架橋塗装イメージ図

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