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主要地方道 宮崎西環状線の整備について
工藤光和
重永光昭
甲斐圭一郎

キーワード:渋滞対策、中心市街地の交通分散、相生橋

1 はじめに
宮崎西環状線は、宮崎市芳士の国道10号交差点を起点とし、宮崎市中村町の国道220号の交差点を終点とする環状道路であり、宮崎市中心部に流入する通過交通を排除・分散し、中心部の混雑を緩和する役割を担う重要な幹線道路です。
本路線は、昭和56年に都市計画決定され、昭和63年度に事業着手し整備を行っており、交通の分散化や、宮崎市周辺部から宮崎空港、宮崎ICなどの交通拠点へのアクセス向上が期待される道路であります。
また、平成6年に地域高規格道路の候補路線として指定された宮崎環状道路の一部を形成しており、非常に交通量が多く、物流輸送や宮崎市内への通勤路として、重要な道路網であります。
さらには、第一次緊急輸送道路にも指定されており、本路線の整備により、大規模災害時における高規格の救助・救援ルートが確保され、防災や危機管理への対応能力も格段に向上するものと考えています。
現在、全体延長約15.5㎞のうち9.1㎞が開通しており、今年度完了予定の松橋工区を含む2工区の整備を推進しています。

2 松橋工区の整備について
本工区が位置する宮崎市跡江地区周辺は、東九州自動車道の宮崎西インターチェンジに近接しており、プロ野球のソフトバンクホークスがキャンプを行う「生目の杜運動公園」や「フェニックス・シーガイア・リゾート」、さらには、日本最大規模の照葉樹林を有する「綾ユネスコエコパーク」などの観光地にも近く、交通の拠点として、非常に利便性のよいところであります。
さらに、県の災害拠点病院に指定されている宮崎市郡医師会病院が、生目の杜運動公園近くへの移転を予定していることから、今後、防災・危機管理面においても、アクセス道路の機能強化が期待されています。
しかしながら、現道は交通量が非常に多く、特に、松橋工区の一部を形成する相生橋北詰付近(宮崎市柏田)については、慢性的な渋滞が見受けられました(混雑度4.0:H 11 センサス)。

このような状況から、大淀川に架かる橋梁(相生橋 延長412.3m)を含む約3.1㎞区間において、車線数の増加(2車線から4車線)や歩道の整備に加え、カーブ区間の是正を行うことにより、車両通行時の安全確保や走行性の向上を図ることを目的として、平成11年度より事業に着手しました。

松橋工区内の主な構造物は、相生橋(4径間連続波形鋼板ウェブPC箱桁橋)、跡江高架橋(橋長210m、鋼5径間連続非合成鈑桁橋)、跡江川橋(橋長227m、5 径間連結PCポステンT桁橋(少主桁))、高橋(橋長26.8m、PCポステン単純T桁橋(少主桁))の橋梁4箇所となっており、そのうち、相生橋、跡江川橋を含む約1.6㎞区間が平成27年2月に供用開始し、残区間につきましても平成27年度内を目標に整備を進めているところです。

3 相生橋の整備について
相生橋は、松橋工区の一部を形成しており、一級河川大淀川を渡河する橋長412.3m、有効幅員22.0m、最大支間長130mを有する橋梁です。平成21年度から橋梁整備に着手し、事業費は約67億円となっています。
本橋の特徴としては、構造形式に4径間連続波形鋼板ウェブPC箱桁橋を採用し、箱桁のウェブを波形鋼板とすることにより、上部工の荷重を軽減させ、下部工の経済性を向上させています。

図-2 相生橋の諸元

相生橋はこれまでもたびたび架替えを行っており、昭和25年に木の橋として開通した初代「相生橋」から数えて、今回供用した「相生橋」は4代目となります。これまでの橋梁の歴史を後世に伝えるため、高欄にレリーフを設置しています。

【相生橋のこれまでの変遷】
①昭和25年7月14日
  全て木橋の「初代相生橋」開通
  昭和25年7 月20日
  台風による増水で橋の中央部が流出し被災
②昭和32年10月22日
  左岸の柏田側がトラス橋(現在、日向市東郷町の耳川にかかる福瀬大橋に利用)、右岸の跡江側が木橋の「2代目相生橋」開通
③昭和46年3月27日
  左岸の柏田側がアーチ橋、右岸の跡江側が鈑桁橋の「3代目相生橋」開通
④平成27年2月10日
  4径間連続波形鋼板ウェブPC箱桁橋「4代目相生橋」開通

また下流の旧「相生橋」については、老朽化が進んでおり、維持管理を行うにしても多額の費用が、今後必要となってくることから、撤去を行う方針となり、現在、撤去工事を推進しております。平成27年3月には、これまで44年もの長い間、地域住民の生活を支え続け、慣れ親しんだ“ 橋” に感謝を込めて旧「相生橋」お別れ会を開催しました。

4 終わりに
本県内の主要な渋滞箇所約230箇所のうち、約7割の170箇所が、宮崎西環状線の位置する宮崎都市圏に集中しています。
他県に比べ、自動車保有率が高い本県において、交通渋滞は喫緊の課題であり、本路線の整備の進展により、宮崎都市圏の交通渋滞の緩和・解消が期待されています。
最後に、県内の道路整備に目を向けますと、今年3月21日に東九州自動車道「佐伯~蒲江」間が2年前倒しでの開通となり、県民の悲願でありました、宮崎市と大分市の間が高速道路でつながりました。さらに、来年度中には北九州市とも結ばれる予定となっております。この東九州自動車道「北九州市~宮崎市」間の開通により、北九州、大分、宮崎を中心とする新しい東九州の軸が誕生し、広域の経済交流・連携が促進され、まさに「東九州新時代」の到来が目前に迫ってきております。
また、九州中央自動車道におきましても、その一部である一般国道218号北方延岡道路「蔵田~北方」間が4月29日に開通し、県内の道路網の整備が大きく前進しました。ここに、早期整備にご尽力いただきました国土交通省、西日本高速道路株式会社など関係者の皆様に深く御礼申し上げます。

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