萱瀬ダムは、長崎県と佐賀県の県境にそびえる多良岳を源とする二級河川郡川上流大村市黒木地区に洪水調節、既得取水の安定化、河川環境保全及び水道用水の安定供給を目的とした多目的の重力式コンクリートダムです。
既設ダムは、昭和37年に長崎県で初めての多目的ダムとして建設されたもので、その後の洪水による被災や水需要の増加により、既設ダムを14.5m嵩上げすることになりました。
これにより、総貯水容量3,030,000m3が6,810,000m3となり、洪水に対する安全度も向上し、水道用水においても、これまでの取水量12,000m3/日が27,000m3/日まで可能となりました。工事期間中も既設ダムの持っている治水、利水機能の存続を図る必要があることから、貯水池に水を貯めたままの嵩上げという特殊な条件のもとでの施工でした。
平成6年度に本体着工以来、約4年の歳月を経て平成10年7月には本体コンクリートの打設を完了し、試験湛水も平成13年2月無事終了して供用開始に向けて仕上げの段階を迎えています。
郡川は、古くから地域住民の生活に密着して慣れ親しまれてきた川です。特にダム上流域は多良岳県立自然公園内の豊かな自然に恵まれた清流で、最上流部の黒木渓谷は紅葉の名所として知られています。
また、キャンプ場や砂防親水公園も整備されており、四季を通じて県内外から多くの人々でにぎわいをみせています。現在、ダム湖とその周辺の自然環境を生かした水辺空間の整備を実施中です。このダムの完成によって治水や利水のみでなく、上流域と一体となったレクリエーション施設や環境整備が図られ、大村市の新たな観光拠点としての活用が期待されます。今年の秋に竣工を迎える萱瀬ダムに是非一度おいで下さい。
●大勢の人々でにぎわう郡川砂防公園
●萱瀬ダム全景
●試験湛れ中サーチャージ水位に到達した萱瀬ダム
●環境整備を実施中のダム天端付付及び管理事務所