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ダム貯水池における淡水赤潮とアオコの
発生機構および対策について

西日本技術開発株式会社
 環境部研究開発課 課長
井 芹  寧

1 はじめに
近年,各地のダム貯水池において,水利用,親水利用に対して悪影響を及ぼす富栄養化障害が問題になっており,早急な対策が望まれている。
本稿は,障害の直接的原因となっているアオコと淡水赤潮の特性およびその除去対策について,とりまとめたものである。

2 淡水赤潮,アオコについて
(1)淡水赤潮,アオコを形成するプランクトン
湖沼の富栄養化によって,植物プランクトンが異常増殖し,水面の色が変色する現象は,総じて水の華(Water Bloom)と定義されている。水の華は,古文書(大日本史)に「水色変藍,池魚爛死」という記述があるなど,古くから観察されている現象である。水の華は大きく分ければ,淡水赤潮とアオコに区分される。
水の華のうち,淡水域で水面が黒褐色~赤色系統の色に着色する現象を淡水赤潮という。ダム湖においては,渦鞭毛藻のペリディニウム,ケラチウム,黄色鞭毛藻のウログレナ,褐色鞭毛藻のクリプトモナス等の異常増殖による淡水赤潮が問題となっている。九州地区を含む西日本は,地球上でトップレベルの淡水赤潮発生地区といっていいほどである(図一1参照)。

淡水赤潮を形成するプランクトンは,それほど栄養塩を要求しない種類が多く,比較的富栄養化の進行していない水域に発生する。上流にほとんど人工負荷源がない水域でも発生が観察されている。また,自然湖沼では少なく,人工ダム貯水池において発生が多くみられるのが特徴である。
アオコは,水面に青粉(あおこ)を撒いたようになることからアオコと呼ばれる。実際の色は,黄緑色~緑系統の色を呈することが多い。主に藍藻,緑藻,ミドリムシ藻等が原因となる。特に,藍藻のミクロキスティスによるアオコの発生頻度が最も高く,各地で問題となっている。アオコは高水温を好むため,従来,関東以南に発生が多く観察されていた。しかし,最近では北海道などの北日本側でも報告例が多くなってきている。アオコは富栄養水域であれば,ダム貯水池,自然湖沼,河川域を問わず,あらゆる水域で発生する。
① ペリディニウムによる淡水赤潮について
ペリディニウムの淡水赤潮は,湖面が赤色というよりコーヒ一色に近い黒褐色の色相を呈する。したがって,湖水の色としては非常に違和感があり,少量の発生でも目立ち,苦情が発生する。オイル流出事故と間違われた例もある。
赤潮を含んだ湖水を透明なコップに採り,日光に透かしてみると,小さな点状の粒子の浮遊が観察される。これが,ペリディニウムの細胞である(写真一1)。細胞は,直径が30~40µmの大きさである。

あるダム貯水池から,水平,鉛直方向に200サンプルほど採水し,貯水池全体のペリディニウムの細胞数の調査を行った。ダム全体でみると他のプランクトンと現存量は変わらず,平均細胞密度も数十細胞であり,異常増殖とはいえないレベルであった。しかしながら,走光性という光の方向に泳ぐ性質と,吹送流にのって上流へ移動する性質とにより,赤潮細胞が湛水部の上流端表層水域に移動し,1㎖中に千~数十万細胞の密度に集積することで,赤潮を形成していることが明らかになった。このダムの場合,実に湖全体の赤潮細胞の9割以上がダム貯水池上流端表層部に集積していた。
以上のことから,ペリディニウム赤潮の場合,異常増殖というよりも異常集積という定義が適当と考えられる。

② ミクロキスティスのアオコについて
アオコは黄緑色であるため,それほど水の色として違和感がない。したがって,特に上水道等の利用がない場合,少々の発生では話題にならず,水面にマット状になったり,悪臭を発生するような状態になってはじめて問題となるケースが多い。アオコの発生している水域で,ボートの上から水中を観察すると,数㎜程度の黄緑色の固まりが水中に漂っているのが確認される。これは,アオコの細胞が集合した群体である。
ミクロキスティスのアオコは細胞径3~7µmの球形をしており,通常は,数百個の細胞がゼラチン状の物質の中に存在し,群体を形成している(写真ー2)。それぞれの細胞が2分裂して増殖し,それに伴い群体が急速に膨大する。アオコの浮遊が肉眼で観察されるような状態では,その水界において最も現存量の多いプランクトンとなる。さらに発生が顕著になると,水面に絨毯を敷いたような状態となり,一見水面を歩けるのではないかと錯覚をするほどである。

(2)淡水赤潮とアオコによる障害
淡水赤潮やアオコが発生すると下記のような障害が生じる。
① 景観障害
水面の着色現象は景観上の問題となる。特に淡水赤潮は茶色系統で,自然の水色としては違和感を感じる人が多く,親水性を損なう。
② 異臭味障害
ペリディニウムは魚臭,キュウリ臭があるとの報告があるものの,水中に存在する条件では,比較的臭気が少ないプランクトンである。しかし,岸辺に打ち上げられたり,回収して水気を切ると強い臭気を発する。一方,アオコは種類によってかび臭物質を含む種類があり,水道水に混入し問題を引き起こす。ミクロキスティスは直接的にはかび臭物質を生産しないが,ミクロキスティスが増殖する水域では,pHが上昇し,かび臭を生産する放線菌の増殖を促すこと,ミクロキスティスそのものが放線菌の増殖のための炭素供給源になることなど,間接的にかび臭物質を生産するきっかけを作る。また,淡水赤潮,アオコとも大量に発生し,死滅する状況になると,腐敗臭を発生する。
③ 毒性
わが国におけるペリディニウムは,1種類のみが毒性物質を生産するとの報告がある。しかし,現在ではその種類の大量発生は観察されておらず,ペリディニウム赤潮に関しては直接的な毒性の問題はほとんどないといってよい。一方,アオコはアナトキシンという神経毒性物質や、ミクロシスチンという発ガンに関わる物質を生産することが確認され,現在,WHOが基準作りを行っている。また,アオコの飛沫が喘息症状を引き起こしたケースもあり,その因果関係を明確にし,必要に応じて対応策を検討しなければならない。
なお,淡水赤潮,アオコとも大量に水道原水に混入する状況になると,有機物と塩素殺菌の反応によりトリハロメタンの生成につながる。また,死亡分解時に毒性のある有機酸等が二次的に生成され,他の生物や作物に影響を及ぼすことがある。
④ 浮遊物としての障害
淡水赤潮,アオコは浮遊物質(SS)の増加につながり,工業用水,水道用水等でろ過器の目詰まりなどの障害を引き起こす。
⑤ 凝集処理の阻害
アオコは浮上性が高く,浄水場における凝集沈殿が不完全となり,フロックの流失が多くなる。また,アオコの光合成作用でpHが変動するため,余分の凝集剤が必要となる。
⑥ 魚類相の変化
アオコが発生すると,大幅に魚種が遷移することが多く,内水面漁業に影響を及ぼす。当然ながら,極端に富栄養化が進行すると,水中が無酸素状態となるため,窒息により魚が死亡する。

(3)アオコおよび淡水赤潮の発生機構
アオコおよび淡水赤潮の発生機構の概要を,各要因別に記す。
① 種場
ダム貯水池における藻類の種は,主として底質中に存在する。アオコが発生している水域の底質をアオコ発生前に採取し,ろ過湖水を注いだ後,増殖に好適な条件で培養すると,数日でアオコが形成されることがある。アオコを形成するほどの量の細胞が底質に含まれているためである。
淡水赤潮はシストという環境変化に強い形態で底質中に潜んでおり,好適な条件になると一斉に発芽し栄養細胞となる。このように短期間で大量に発生する基盤(種場としての底質)を持っていることで,他のプランクトンより早く優占種となる。毎年,継続的に淡水赤潮,アオコの発生が繰り返される水域では,安定した種場(seed population)が形成されている。この場合,種場を浚渫除去することにより,藻類の異常増殖を事前に防ぐことが可能である。

② 増殖に影響する条件
 a 滞留時間(交換率)
一般的に,アオコは数日間,淡水赤潮は1週間程度で倍増するといわれている。
その水域の滞留時間が短い場合,プランクトンは増殖する前に流されてしまい,アオコや淡水赤潮を形成するには至らない。一般的に,滞留時間が5日間程度以下のダム貯水池では,水の華は発生することは少ない。
 b 水温
ミクロキスティスは高温域の20~30℃を好み,35℃に達しても生存が可能である。30℃を越す温度条件では,他のプランクトンはほとんど増殖できず,ミクロキスティスの独壇場となる。
淡水赤潮は,種類によって好む温度条件が異なるが,一般的に中温域を好む種類が多い。最も広く分布するペリデイニウムバイペスは15~25℃が最適増殖温度である。
 c 水素イオン濃度(pH)
pHは炭素の吸収作用に影響する。炭素は光合成の原料に不可欠の重要な栄養塩である。水中の炭素は,大気からの供給および水中・底泥の有機物分解により炭酸イオンとして溶け込んでいるため,通常は不足することはない。しかし,日中は植物プランクトンの光合成により,炭酸イオンが吸収されてpHが上昇し,アルカリ条件となる。高pHにおいて炭酸イオンは,溶存二酸化炭素から重炭酸イオンと炭酸イオンに形態が変化する。アオコは重炭酸イオンを利用できるので,高pHでも増殖が可能である。しかしながら,他の藻類の多くは溶存二酸化炭素しか利用できず,溶存二酸化炭素がほとんど存在しない高pH環境では,増殖ができない状態となる。
d 栄養塩
アオコは栄養塩の豊富な富栄養水域で多く発生する。
一方,淡水赤潮は貧栄養~中栄養の水域に多く発生する。上流にほとんど人工負荷源がない山間部の湖でも発生が観察される。栄養塩が低濃度で他のプランクトンが増殖しにくい水域でも,効率よく栄養塩を利用し増殖するプランクトンである。
ミクロキスティスは,細胞の外側に透明な厚い粘質層を伴っている。この粘質は多糖とタンパク質を主成分とし,鉄などの金属やバクテリアなどを含んでいる。ミクロキスティスはこれらの成分を利用し,粘質中にリン等の栄養塩を取り込み貯蔵したり,栄養塩を吸収しやすい形態に変化させることができる。この性質により,他の藻類と比較して栄養塩吸収の競争に関して有利な条件を得ている。
栄養塩については,リン,窒素単独の濃度のみではなく,鉄や有機物も淡水赤潮とアオコの発生に影響を及ぼしていることが,報告されている。
また,それらの濃度比,他の栄養塩との比も関わっていることが明らかになってきている。このように,発生機構の解明や対策検討においては,単なるリン,窒素濃度のみではなく,複数栄養塩も視野に入れ,さらには,流動に伴う栄養塩供給機構や他のプランクトンとの関わり合いなども含めて解析することが必要である。
e 捕食
ミクロキスティスは大きな群体を作り毒素を生産する。淡水赤潮は細胞自体が比較的大きく,泳ぎ回っている。これらの性質は,動物プランクトンの捕食作用から逃れる方向に働いている。
f 移動性
一般のプランクトンはその名に浮浪者という意味があるように,流れにまかせ浮遊している。
アオコは細胞内に浮力を調整できるガス胞を有し,淡水赤潮は高性能のスクリューと同じ働きをする鞭毛(べんもう)を有することで,水中を移動する。この移動性により,光が豊富な表層や栄養塩の豊富なバックウォータ一部および底層に移動し,効率的に増殖することが可能となる。
淡水赤潮については,その移動性に基づいて効率的な栄養塩吸収システムを形成していることが明らかになっている。
淡水赤潮の発生機構図を図ー2に,その各要因を下記に示す。

①赤潮の種場としての安定したシスト集積域が形成されている。②走光性による赤潮細胞の表層への集積,および吹送流などによる湖水流動に伴うダム貯水池上流端域への赤潮細胞の集積機構がある。③上流端域では流入河川水の栄養塩供給がある。これらの,仕組みが連動し,ダム貯水池上流端域における淡水赤潮の連続培養系が成り立っている。
河川に作られたダムでは,谷風の作用により,日中の風が上流側に吹く条件が確率的に高いため,図ー2に示すシステムが形成されやすい。
一方,自然湖沼では,必ずしも風下側に流入河川がなく,栄養塩の供給システムが形成されない。これが,淡水赤潮は自然湖沼では発生が少なく,ダム貯水池で長期的に発生しやすい要因の一つである。
アオコに関しては,底泥からの栄養塩の供給作用も重要となる。成層期に底層が嫌気的となる貯水池では,底質から大最のリンや鉄イオンの溶出が起きている。水深が浅いと,夜間のアオコの沈降作用で,細胞が高栄養塩層に達し,リン,窒素,鉄等の栄養塩を吸収する。比較的水深の浅い水域にアオコが発生しやすい一因である。

3 アオコ,淡水赤潮除去対策
ここでは,ダム貯水池内の対策について,筆者が検討また開発した技術を交えて紹介する。主な貯水池内対策手法の一覧を表ー1に示す。

(1)実施検討対策
① 紫外線照射による淡水赤潮処理船
ペリディニウム淡水赤潮の処理として,当初は各種の回収法を検討したが,現在の技術では発生量に対して処理量がきわめて少なく,全く除去効果がないと予想された。そこで,処理量に着目し,各手法の選定を行ったところ,紫外線法が処理量が最も多いことが明らかとなったため,紫外線照射による淡水赤潮処理船を建造した。
処理船は全長12mの双胴船で,船体の中央部に紫外線出力30Wの紫外線ランプを40本取り付けた処理管を装備する(図ー3)。前方より,赤潮を含んだ表層の湖水を吸引し,紫外線照射により殺藻する。

本船の特徴として,濁度計により赤潮密度を推定し,瞬時に赤潮殺藻に最適な紫外線照射量をCPUで計算し,インバータを通じて水中モーターの回転数(処理管内流速)を制御する赤潮自動処理システムを有することが挙げられる。本装置により,最も効率の良い紫外線照射条件に制御され,最大処理水量800m3/hの処理が可能となっている。なお,室内実験により確認されたペリディニウムの殺藻に必要な最低紫外線照射量は約2400µW/cm2である。
対象のダム貯水池では,処理船を稼働するまでは,毎年,貯水池全体に濃密な赤潮の発生が観察されていたが,稼働後の平成4年以降現在まで,赤潮の発生がほとんどみられなくなるなど,赤潮の縮小傾向が示されている。また,効果の検証をより明確にするために,2次元富栄養化シミュレーションモデルを作成し,処理船による効果の評価を行った。これによると,赤潮発生初期から徹底的に処理を継続することが,赤潮発生の制御を可能にしているものと推定された。処理による2次的汚濁負荷最は,全リンで貯水池全体の自然沈降汚濁負荷量の0.1%程度であり,貯水池の水域環境には大きな影響はないものと予想された。
次に,アオコに紫外線処理を試みたが,アオコがフロックを形成するため,内部まで紫外線が到達せず,殺藻効率が低いことが考えられた。そこで,噴射衝撃によりアオコフロックを分散させた後,紫外線を照射する噴射衝撃紫外線処理装置を開発した。

② 噴射・衝撃と紫外線処理装置
本施設は,噴射・衝撃ユニットと紫外線ランプモジュールを備えており,噴射・衝撃(0.4~0.7MPa)によりアオコフロックを分散させた後に,紫外線(253.7nm,2~5mW/㎠)を照射し殺藻する(図一4)。処理水量は最大180m3/hである。
ミクロキスティスの平均殺藻率は99%と,高い殺藻効果が得られた。周辺水質への影響については検証中である。

また,小規模設備による実験によると,噴射衝摯処理のみで,ミクロキスティスの群体はほぼ分散し,83%の殺藻率が得られ,ケラチウム(淡水赤潮)に関して98%の殺藻率が得られている。経済性,メンテナンスおよび生物環境への影響を考慮すると,噴射衝撃のみの処理システムが望ましいと考えられる。
なお,本装置でアオコフロックを分散させることにより,動物プランクトン等による捕食率の増加,溶藻微生物の活性増大が期待される(図ー5)。この作用より,アオコの特質のために分断されていた食物連鎖が循環するようになり,藻類の異常増殖が発生しにくい健全な水域環境に改善されることが予想される。
噴射衝撃紫外線処理装置は設置型のため,広範囲に発生したアオコや淡水赤潮には対応が困難である。そこで,対象の貯水池では,水深5mのフェンスを貯水池横断方向に2~3カ所設置することにより,藻類の増殖をフェンス間もしくはフェンス上流に制限することが可能となった。

③ 天日乾燥によるアオコ制御
対象ダム貯水池は,流入栄養塩負荷と同等のリン・窒素の負荷が底泥から溶出しており,アオコの発生要因の一つとなっていることが推察された。そこで,底質の改善を目的として,冬季の2~3ヶ月間にわたって,ダム貯水池の水位を低下させることによる底泥の天日乾燥処理を実施した。
天日乾燥実施後,夏季において優占種が従来の藍藻類(ミクロキスティス)から緑藻類(ゴナトチゴン,ヒザオリ等)へ遷移し,アオコの発生が抑制された。
天日乾燥処理前後の,底泥コアサンプルを採取し,現地の夏季の条件に設定(水温22℃,嫌気的条件)して栄養塩溶出量を測定したところ,全窒素,全リンの溶出量が,天日乾燥後に74~93%減少することが確認された。さらにその効果は,夏季まで持続することが明らかになった。また,サンプル上方より3000lux24時間明の条件で光を照射したところ,天日乾燥の前の底質は,上水に数日でアオコの形成が観察されるが,天日乾燥後は全くアオコが出現しないことが明らかとなった(図ー6)。

これらの効果は,①水位低下時の波による底泥洗い流し作用,②天日乾燥時の降雨による洗い流し作用,③日光中の紫外線による殺藻作用,④温度変化(日中,夜間温度差)による殺藻作用,⑤土壌粒子の団粒化,⑥酸化作用によるリンの不活性化,⑦有機物の好気的分解作用,⑧底生生物,土壌微生物相の変化による作用,⑨冬季に行うことによる,霜柱,凍結による殺藻作用により総合的にアオコの増殖を抑制するものと考えられる。

4 おわりに
ダム貯水池の水質保全対策としては,汚濁発生源対策などの流入汚濁負荷削減対策が抜本的対策につながるものと考えられる。しかし,社会的事情から負荷源対策が困難である場合や,淡水赤潮等は,貧栄養~中栄養水域でも発生が見られるなど,十分な効果が得られない場合が多い。
したがって,現実的には,可能な限り流入負荷源対策を実施しつつ,貯水池内対策を併用していく方策が効率的であると考えられる。
なお,対策の実施にあたっては,障害の種類(異臭味,アオコ,淡水赤潮,赤水等)およびその発生原因を明らかにしたうえで,ダム貯水池の地域性,各手法の長所・短所を十分に考慮し,手法の選定を行わなければならない。
今後の課題として,①自然エネルギーや自然浄化作用を利用し,経済的,保守管理が容易で,かつ環境に優しい総合的水質保全対策システムの確立,②ダム貯水池レベルの大規模な水域の浄化能力を有し,容易に移動が可能な機動性のある水質保全手法の開発,③各手法の客観的水質保全効果の評価,対象ダム貯水池への適用効果の事前評価が容易に実施できる富栄養化シミュレーションモデルの開発,④全国レベルの各対策実施後の効果検証データベースシステムの構築が挙げられる。

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