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鹿児島東西道路の完成にむけて

国土交通省 九州地方整備局
鹿児島国道事務所 副所長
上 村 一 明

1 はじめに
鹿児島東西幹線道路は,高規格幹線道路の結節点である鹿児島ICと鹿児島市中心市街地および重要港湾である鹿児島港を結ぶ地域高規格道路である。その一部を構成する鹿児島東西道路は,鹿児島市田上八丁目(鹿児島IC)を起点とし建部IC(仮称)を経て鹿児島市上荒田町(甲南IC(仮称))に至る延長3.4㎞の自動車専用道路である。平成10年12月に整備区間に指定され,平成13年度に事業化後,平成16年度には,4車線のうち2車線を先行して整備する「暫定供用計画」を策定し,沿線住民の方々に対して,道路計画説明会・アンケート調査を実施するとともに,建部IC(仮称)を新たに設置することに伴う都市計画変更を平成17年3月に行ったところである。
現在,鹿児島ICから建部IC(仮称)までの2.2㎞区間を平成21年度の供用を目標に用地買収及び工事を促進しているところである。
ここでは,鹿児島東西道路の進捗状況と供用に向けた事務所での取組みについて紹介する。(図一1)

2 鹿児島東西道路の進捗状況
2-1 暫定供用計画の概要
現在,武岡トンネル周辺の交通量・渋滞時間の増加は経済・産業・観光等への影響など住民生活に支障をきたしている。また,平成18年度の南九州西回り自動車道(薩摩川内都IC~市来IC)の供用による交通量の増加等が予想され,さらに地域住民に影響を及ぼすものと考えられる。
そこで,今回既設の武岡トンネルを鹿児島市街地方向ヘ一方通行(2車線),新設トンネルを薩摩川内・いちき串木野方向ヘ一方通行(2車線)とすること,また,鹿児島中央駅周辺利用者の利便性向上を図るため,建部IC(仮称)を設置するという暫定供用計画を策定した。
なお,鹿児島東西幹線道路の都市計画変更にあたっては,広く地元住民の方々に当該道路の必要性・道路構造等について理解して頂くために,国,県,鹿児島市一体となって,地元説明会・アンケート調査を実施している。
また,工事等に際し,必要な情報をより早く提供し,地域住民の皆様のご理解とご協力を得るため「とうざい道路だより」を発行している。(図ー2,3)

2-2 整備効果
・時間短縮効果(鹿児島ICから建部IC(仮称)まで部分供用した場合)
東西道路の供用により.現道部において発生していた渋滞が緩和され,鹿児島空港から鹿児島港への通過時間が60分から44分に短縮。渋滞による経済的損失時間が,年間約65万人時間軽減されると予想される。

・CO2排出量の削減
渋滞緩和により,年間約3,030tのCO2排出量(森林面積560ha相当)が削減される。これは,仙巌園面積(約5ha)の約110倍に相当する。(図ー4)

・交通渋滞の緩和
武岡トンネル付近における慢性的な交通渋滞が緩和し,2箇所の交差点(建部神社前,田上橋)において,渋滞ポイントが解消される。

2-3 工事等の進捗状況
鹿児島東西道路起工式終了後の平成17年11月から本格的な工事着手を行い,地元の方々の協力を得ながら順調に工事進捗を図っているところである。
なお,工事着手にあたっては,鹿児島東西道路は住宅地に隣接しているため工事説明会を行うとともに,家屋調査を行った。また,振動騒音対策の一環として,橋梁下部工の杭基礎の掘削や既設コンクリートの破砕には低騒音・低振動施工の新技術を採用している。

・1工区
1工区(鹿児島IC~トンネル坑口間)の約700m区間では,平成21年度の供用目標を達成する上でクリティカルとなる新武岡トンネルの施工に一刻も早く着手出来るように,トンネルヘの進入路及び施工ヤードの造成に着手している。平成18年4月現在では,進入路は現況のOFFランプの付け替えを行った後,進入路の一部となる田上橋の上部工及びその他土工部の施工を行っており,完成は今年度の9月初旬を予定している(図ー5,6,写真一2)。なお,その他の工事としては,本線の田上高架橋下部工(A2)工事,本線から主要地方道鹿児島東市来線への新たな連結となるFランプの新設や鹿児島東西道路の下を横切り主要地方道と接続するランプ橋(新川橋)の下部工(A2)工事を行っている。また,4月下旬からは約18万㎥の切り土を行う長大法面工事に着手している。

・2工区(トンネル区間約1,500m)は今年2月に工事発注を行い,9月初旬の進入路の完成後,プラントの設置・坑口付け等を行い,秋頃には掘削を開始する予定である。

2-4 新技術の採用について
鹿児島東西道路では,コスト縮減を図るため,積極的に新技術(NETIS登録技術)の採用を行っており,平成18年度4月現在発注の7本の工事中10技術を採用している。今後発注予定の工事においても1工事1技術以上の採用を目指して新技術の採用を行っていく。

3 供用に向けた事務所での取組み
鹿児島東西道路ではブロジェクトマネージメント(以後PM)方式を導入している。PMの目標は
『平成21年度鹿児島IC~建部交差点までの暫定供用(延長約2.2km)の達成』
としているが,目標達成のための予算の確保,用地取得など徹底した工程管理を行っている。
PMの体制(図ー7)はゼネラルマネージャー(事務所長)を総統括とし,プロジェクトリーダー(工事品質管理官)が責任者となり,各プロジェクトチームの意見集約及び調整を指揮している。

定期的に行われているマネージメント会議では,プロジェクト各部署の連携や情報の共有を無駄なく行うため,アクション行程表・カラー工程表等による進捗管理や情報共有を徹底して行っている。なお,PM方式を採用することのメリットは,情報共有のロスや無駄・ムラをなくすことのほかに,ブロジェクトに携わる担当者の意識の向上にも一役買っており,事業への取り組みにブラスとなっている。

4 おわりに
最後になるが,鹿児島東西道路は,昨年度工事に着手したばかりで,開通までには種々の工事等が残っているが,鹿児島ICから建部IC(仮称)までの2.2㎞区間について,平成21年度の暫定供用に向け,関係機関と一体となって取り組んでいく所存である。

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