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砕石マスチック混合物のコンクリート床版舗装
への適用について
~長崎57号新田地区舗装工事~

建設省 雲仙復興工事事務所
 道路課長
久 野 隆 博

1 はじめに
コンクリート床版の舗装は,防水層,基層(レベリング層を含む)および表層から構成されている。従来からコンクリート床版の防水層には,シート系防水材や塗膜系防水材が一般的に用いられており施工例も多い。
本工事では,舗装のコスト縮減を目的とし,防水層および基層の代替えとして,防水機能を有する砕石マスチック混合物を基層に適用した。
本稿は,砕石マスチック混合物の特徴および施工概要などについて述べるものである。

2 砕石マスチック混合物の概要と特徴
2.1 概 要
砕石マスチック混合物は,2.36mm以上の粗骨材が約65~80%を占める不連続粒度の加熱アスファルト混合物で,通常のアスファルトフィニッシャおよびローラでの施工が可能である。
我が国には,1980年代後半に導入され,欧米の例を参考にしながら気象条件や交通条件に適合するように改良が加えられ,積雪寒冷地における耐摩耗・耐流動性の混合物として使用され始めた。また,水密性やたわみ性も有しているため,鋼床版舗装の基層に用いられるグースアスファルト混合物の代替混合物としても検討され,現在適用されつつある1)
2.2 特 徴
(1)耐流動性
砕石マスチック混合物は,粗骨材のかみ合わせ効果と植物性繊維の添加によるバインダの見掛け上の軟化点の向上により,密粒度アスコン等の通常の混合物に比べて,耐流動性に優れている。
(2)水密性,たわみ性
砕石マスチック混合物は,通常の混合物に比べて植物性繊維の添加により最適アスファルト量が増加(1.0~1.5%)しており,石粉の量も多いため,水密性やたわみ性に優れている。
(3)砕石マスチックの基本配合および性状
砕石マスチック混合物の基本配合および性状は表ー1および表ー2に示すとおりである。
砕石マスチック混合物の透水係数は,一般的なダムや水利構造物に適用されるアスファルト混合物の目標値である1×10-6よりも大幅に小さくなっていることから,十分な不透水性を有しているといえる。

3 施工概要
・施工場所:長崎県南高来郡深江町諏訪名地先
・施工時期:平成10年9月30日~11年2月15日
・施工規模:A=3,244m2,t=40mm

4 施 工
砕石マスチック混合物の施工手順は,図ー2に示すとおりである。
砕石マスチック混合物の施工性は,通常の混合物と同様であり,3,244m2を3日間で施工することができた。よって,従来工法(防水層+基層)で施工した場合には,約6日間の施工日数が必要であることから,工程の短縮に有効であるといえる。

5 コスト縮減効果
表ー3は,砕石マスチック混合物を適用した場合と従来の工法について,舗装コストの比較例を示したものである。
表から,砕石マスチック混合物を適用することによって,舗装コストを大幅に削減することが可能であることがわかる。

6 おわりに
本工事では,舗装のコスト縮減を目的として,コンクリート床版上の基層へ砕石マスチック混合物を適用した。その結果,所定の品質を確保しつつ,コストの縮減および工程の短縮に効果があることが確認できた。
しかしながら,現状では,防水効果の有効性が明らかになっていないため,今後,長期的に追跡調査を継続し,有効性を確認していく必要があると考える。

参考文献
1)泉秀俊:「鋼床版上の砕石マスチックアスファルト舗装」舗装30-7 1995年

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