有明海沿岸道路の更なる事業推進に向けて
国土交通省 九州地方整備局
有明海沿岸国道事務所
建設専門官
有明海沿岸国道事務所
建設専門官
下尾崎 隆 博
キーワード:有明海沿岸道路、広域交通ネットワーク、開通効果
1.はじめに
有明海沿岸道路は福岡県大牟田市から佐賀県鹿島市に至る延長約 55㎞の地域高規格道路である。
有明海沿岸道路の整備によって、重要港湾三池港(大牟田市)や、九州佐賀国際空港(佐賀市)等の交通拠点を結ぶ広域交通ネットワークが形成されると共に、周辺道路の交通混雑の緩和と交通安全性の向上が図られ、また有明海沿岸自治体間
の交流促進と連携強化が期待される。
の交流促進と連携強化が期待される。
九州地方整備局では、国道 208 号有明海沿岸道路(大牟田~大川)(延長 27.5㎞)と大川佐賀道路(延長 9.0㎞)の 2 事業で整備を進めている。
2.開通による効果
2007 年度に大牟田IC ~高田 IC(9.8㎞)、柳川西IC ~大川東IC(2.4㎞)が開通したのを始めに、順次供用区間を延伸し、現在までに大牟田市の三池港ICから大川市の大川東ICまでの 23.8㎞が開通済みであり、これまでの開通に伴う効果も顕著に発現している。
(1)広域交通ネットワークの形成
九州佐賀国際空港~三池港間の所要時間が、開通前の約 90 分から現在は約 45 分と短縮され、アクセス性も向上しており、九州佐賀国際空港の乗降客数が 6 年連続で過去最高を更新した一つの要因と考えられる。
また、重要港湾である三池港の国際コンテナ取 扱貨物量は、約 10 年間で、約 24 倍に増えている。
(2)交通安全性の向上
並行する一般道の交通が有明海沿岸道路に転換したことにより、交通混雑の緩和と共に死傷事故件数も減少している。
(3)企業等立地の促進
沿線地域は九州縦貫自動車道や九州新幹線等へアクセス性も良く、有明海沿岸道路の開通で更に利便性が高まったため、企業等の進出が見られる。
3.工事の施工状況
大川東 IC から佐賀市側に向けて、主に(仮) 大川高架橋(延長 2,086m)や、九州最大の 1 級河川である筑後川を渡河する(仮)筑後川橋(延長 1,008m、渡河部延長 450m: 鋼 4 径間連続(2 連)単弦中路式アーチ橋)、早津江川を渡河する(仮)早津江川橋(延長 854m、渡河部延長448m:鋼 4 径間連続(1 連)単弦中路式アーチ橋)、佐賀市内において(仮)諸富高架橋(延長338m)、軟弱地盤対策などの工事を進めている。
2019 年 12 月 1 日には、(仮称)筑後川橋の渡河部が橋梁構造として完成したため、有明海沿岸道路建設促進福岡県期成会の主催による「(仮称)筑後川橋ケーブル定着を祝う会」が、福岡県知事を始め沿線首長等参加のもとに開催された。
4.事業の推進に向けて
昨年度までは、福岡県内の事業を福岡国道事務所で、佐賀県内の事業を佐賀国道事務所にて所管していたが、佐賀方面への事業展開等も踏まえ、県境を越えた更なる事業推進の体制を強化するとともに、供用中区間の管理も所掌し、有明海沿岸道路の一体的かつ効率的な整備・管理を行うため、昨年 4 月に九州の道路事務所で初めて福岡・佐賀・熊本の 3 県を跨ぐ事業を所管する、有明海沿岸国道事務所が発足した。
有明海沿岸国道事務所の 2019 年度当初予算は、約 150 億円であり、未供用区間約 13km の整備と供用区間 23.8㎞の維持管理を総務課、工務課、管理課の、総勢 26 名の職員体制で担っている。
5.おわりに
今後、福岡県大川市の大川東 IC から筑後川を渡河し大野島 IC まで 3.7㎞の開通を 2020 年度に予定している。
さらに 2022 年度には、大野島 IC から県境である早津江川を渡河し、佐賀県佐賀市の諸富 IC まで 1.7㎞の開通を見込んでおり、このことにより直轄整備区間として大牟田市から佐賀市まで一路線で繋がります。
有明海沿岸道路による広域交通ネットワークの形成は期待も高く、これまでも地域の方々や沿線自治体を始め多くの方々の協力、ご支援をいただきながら順調に整備を進めてきた。
今後も一日も早い全線開通に向け取り組んでいきたい。