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新たな技術開発制度「新技術活用促進システム」について

建設省 河川局防災・海岸課
 総括災害査定官
(前)建設省 九州地方建設局企画部
 技術調整管理官
増 元 四 郎

国民生活の基盤となる国土建設にあたっては,自然環境の保全と創造,より安全で豊かな生活を望む国民ニーズの高まり,国際化,情報化,高齢化等への対応,社会資本の維持管理・更新コストの増大などの課題等,建設事業を取り巻く厳しい状況の下,これらの課題を解決する有効な方策として有用な新技術を公共事業に円滑に導入することが重要である。

建設省においては,「真に豊かな「ひと・地域・国」の未来を創る技術を目指して」(建設技術開発会議の提言(平成9年7月))を踏まえ,21世紀初頭に向けて,わが国が直面する厳しい社会情勢の変化に適切に対応し,次世代,将来世代が真に豊かさを感じることのできる国民生活と社会の構築を図るため,
 ・災害に強い国土づくり
 ・低コスト社会の実現と環境保全を両立する持続的発展可能な国土づくり
 ・国民の多様な価値観等を踏まえた国土づくり
 ・多様な交流・連携を可能とする国土づくり
の4つの課題を重点的に取り組み,21世紀に向けた国土マネージメントを進めることとしている。

上記のような課題を解決するため,民間等で開発された有用な新技術の提案を広く受け,新技術情報を全国の地方建設局間で共有し,公共事業において積極的かつ円滑に活用する体制「新技術活用促進システム」を紹介するものである。

1 はじめに
住宅・社会資本の整備に当たっては,真に豊かな「ひと・地域・国」の実現を目指すため,建設コストの縮減に関する技術,安全・安心に関する技術,生態系の保全・生息空間創造に関する技術およびリサイクル材の活用技術等,民間等で開発された有用な新技術を公共事業において積極的かつ円滑に活用していくことが重要である。
このため,建設関係以外の分野を含め広く民間等から新技術情報を収集し,これら新技術の成立性および公共事業への適応性等に係る「適応性等評価」を行い,評価結果等の新技術情報を全地方建設局が共有することにより,有用な新技術の活用促進を図る,新たな「新技術活用促進システム」を運用する。

2 新技術活用促進システムの基本構成
(1)新技術に係る情報の収集および提供
技術開発相談室(企画部技術管理課施工調査係および九州技術事務所技術情報課に設置),並びに各事務所に,技術開発相談窓口を設置している。
技術開発相談室は,新技術に係る情報を,建設関係以外の分野も含め,広く民間等から収集した技術の概要,また,技術開発相談窓口が受け付けた技術の概要を「新技術情報提供システム」により,全国の地方建設局に情報提供する。
(2)適用性等評価の実施
収集した新技術情報の中から,政策ニーズや現ニーズの高い技術を対象に,優先的に新技術の成立性の確認,実地条件下での適用性の確認,一般工事での活用の適否の確認の評価(以下「適用性等評価」という。)を行い,試験フィールド事業・技術活用パイロット事業・一般工事の新技術の活用方法を位置づける。
適用性等評価の方法としては,開発者から関係資料等を提出していただき,またヒアリング等を実施し,これらを参考に評価の判断材料として行う。
これらの評価は,各地方建設局に設けた,新技術活用評価委員会において評価する。
(3)有用な新技術の公共事業への活用
収集した新技術情報,および適用性等評価された新技術は,新技術情報提供システムに集録されており,事務所等で活用する場合,新技術情報提供システムの適用性等評価結果を参考として,活用しようとする新技術の個々の現場条件への適用性等を判断し活用することとなる。
(4)活用調査および活用後評価の実施
試験フィールド事業,技術活用パイロット事業において,新技術を活用した場合は,当該新技術の活用の効果,歩掛,施工管理などに関する調査(以下「活用調査」という。)を実施する。
活用調査結果に基づき,活用の効果,歩掛整備の可能性などについて評価(以下「活用後評価」という。)を実施し,新技術情報提供システムに活用後評価を追記する。
(5)適用性等評価結果等情報の共有化
収集された新技術の概要,適用性等評価結果,活用後評価結果の情報は,「新技術情報提供システム(全国の地方建設局に新技術情報を提供する電子情報ネットワークシステムで,建設省内部のイントラネットにより提供)」により,全国の地方建設局に情報提供し,情報の共有化を図る。
なお,他省庁,地方公共団体,公団に対し,必要な情報の提供を行うこととしている。

3 新技術に関する提案の方法
技術開発相談室およびインターネットにより,新技術概要説明資料を作成の上,技術開発相談室および最寄りの事務所の技術開発相談窓口で,いつでも情報の提供をお受けします。
また,特に重点的に収集したい情報についてはイントラネット等により,発信します。
新技術概要説明資料は,名称,副題,区分,キーワードから施工実績までの項目で構成された,全国統一の様式であり,電子情報として処理するため,フロッピーデスク(FD)により提出することになる。

4 今までに技術活用パイロット事業として活用された技術の取り扱い
九州地方建設局では,昭和62年度から平成9年度までに,特定技術活用パイロット事業,特定試験フィールド事業,技術活用パイロット事業,試験フィールド事業合わせて151課題を実施しており,これらにおいては,現地実地条件等が確認されたことで評価されたと判断する。
積算資料等の整備を必要とする技術は「技術活用パイロット事業等において活用する技術」と判断し取り組むこととなる。
また,出来形と品質に与える影響のない簡易な技術は「一般工事に活用・普及できる技術」と判断し取り組むこととなる。

5 建設技術評価を受けている技術の取り扱い
建設大臣によって評価を受けていることから,「ニーズの適合性」「技術の成立性の確認」「実地条件下での実用性の確認」の評価が実施されていることから,「一般工事での活用の適否の確認」を行い,積算資料等の整備を必要とする技術は「技術活用パイロット事業等において活用する技術」と判断し取り組むこととなる。その他の技術は「一般工事に活用・普及できる技術」と判断し取り組むこととなる。

6 新技術評価における技術審査証明を受けている技術の取り扱い
技術審査証明は.開発目標の内容を確認できるような品質・性能等試験および施工実験を実施し,その内容,成績,結果等を明示することを求めている。したがって,「ニーズとの適合性」の認識を行った後,審査証明範囲と適用性等評価項目との整合性について確認の上,「技術の成立性の確認」および「実地条件下での実用性の確認」はなされたものと判断し,「一般工事での活用の適否の確認」の評価を行うこととなる。
積算資料等の整備を必要とする技術は「技術活用パイロット事業等において活用する技術」と判断し取り組むこととなる。
また,出来形と品質に与える影響のない簡易な技術は「一般工事に活用・普及できる技術」と判断し取り組むこととなる。

〇新技術活用促進システムの概要〇

〇適用性等評価の手順〇

〇試験フィールド事業〇
新技術を試行し,現場における適用性等,活用の効果等を検証するために行う事業です。

〇技術活用バイロット事業〇
新技術を試行し,積算資料および施工資料の整備等に関する事項を調査するために行う事業です。

7 おわりに
民間等で開発された優れた新技術を,公共事業において積極的かつ円滑に活用することが重要であることから,事業を直接行う全国の地方建設局が民間等からの新技術情報を収集し,新技術の現場適用性等に関する確認および活用までを一貫して行う「新技術活用促進システム」を構築し,平成10年4月から運用を開始しており,民間等で開発された優れた新技術の積極的な情報をお待ちしております。

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