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大分工事事務所の事業紹介

建設省 大分工事事務所
 事業対策官
林 田 清 成

建設省 大分工事事務所
 調査第二課 専門職
佐 藤 晴 章

1 はじめに
大分工事事務所では,河川は山国川,大分川,大野川の改修および大分川ダム建設事業を,また,道路は一般国道10号,210号,387号,442号の事業を進めている。以下に主な事業について紹介します。
2 河川関係
(1)河川改修は,山国川の吉富地区,屋形地区,大分川横瀬地区の無堤部解消と大野川の大津留地区について堤防強化対策工事の促進を図っています。また,近年内水による被害が多く発生しており,特に大分川尼ケ瀬地区は床上浸水対策特別緊急事業として新規に着手したので紹介します。
◦床上浸水対策特別緊急事業(尼ケ瀬地区)
①近年の被害の状況
大分川左岸尼ケ瀬地区の被害の状況は,表ー1に示すとおり近年特に著しい。

②事業の概要
浸水区域の抜本的解消を図るために,建設省が排水機場を新設(左岸9k400付近)するほか,近年急速に宅地化が進行していることから,地区内を流れる支川尼ケ瀬川の改修(大分県),雨水排水路整備(大分市)と一体となって,慢性的な床上浸水被害の早急な解消を図ることとしました。排水機場は,計画排水量11m3/sで平成11年度に着工し,平成13年度完成を目指し工事を進めています。
ポンプ設備の特徴としては,エンジンは立型ガスタービンとし設備の信頼性を高くするとともに,さらに天井クレーンを廃止し機場寸法を縮小化させました。また,機場の基礎は,振動騒音等を考慮し,深層混合改良工法の「エポコラム工法」を採用しました。吐出樋管については,堤防裏小段が市道に兼用されていることから経済性,施工性等により「刃口推進工法」を採用しました。なお,本工事の完成により平成5年,平成9年並の出水に対しては,家屋の浸水被害を防止することが可能となります。

(2)大分川ダム
大分川ダムは,大分川支川七瀬川に治水(洪水調節),利水(大分市水道,流水の正常な機能の維持)を目的として建設する多目的ダムで,その規模は,堤高約96m,堤頂幅515m,総貯水容量7,500千m3のダムです。
ダムの現状は,平成11年6月に補償基準(案)の提示を行い現在,補償基準妥結に向け鋭意協議中であります。今後は,生活再建の要である代替地造成(野津原町より受託)の早期完成と付替道路の促進を図り,用地補償に着手する予定です。

3 道路関係
2002年に日韓両国で共催されるワールドカップサッカー大会の関連事業として,平成13年度完成を目指し重点的に整備を進めている一般国道10号日出バイパス・旦の原交差点・戸次犬飼拡幅の三事業について紹介します。
(1)一般国道10号日出バイパス
日出バイパスは,宇佐別府道路速見ICを起点とし,終点を大分県において事業中の一般国道213号日出バイパスの日出IC(仮称)に接続する地域高規格道路で,別府湾北西部の速見郡日出町市街部の山麓を東西に通過している。本バイパスは,大分の空の玄関口,大分空港とそれに接続する大分空港道路・九州横断自動車道を連絡して大分市松岡に建設中のサッカースタジアムをアクセスするものでサッカー開催時の選手,関係者および観客の円滑かつ迅速な輸送が可能になることから,各方面からも大きな期待が寄せられている。
日出バイパスは,計画延長9km,道路規格第1種第3級,幅員10.5m(暫定2車線),設計速度80km/hの自動車専用道路である。現在の整備状況は,用地の取得率約80%,工事着工率約50%であるが,今年度中には事業認定をも活用しながら用地取得を概成し,平成12年度中には全区間の着工を目指しているところである。本バイパスの特徴は,山麓の斜面に支谷が発達した地形を通過するため,トンネルや橋梁等の構造物が多く,計画延長の約40%を占めている。橋梁(名称等は仮称)では起点側に位置する南端橋(L=413m)について現在床版工事まで完了し,引き続き法花寺橋(L=220m),山田橋(L=96m)の下部工工事を推進している。次にトンネルでは南端トンネル(L=961m)の抗口付近で地山が軟弱であるためサイロット工法を採用するなどして現在終点側よリ掘削を進めている,今後は残り三橋梁と三トンネルの工事に順次着工していく予定である。また日出バイパスに接続する九州横断道自動車道日出JC付近は,国内でも有数の霧による通行規制が発生する区間である。このため速見IC付近では,交通安全対策として運転者の視程確保の路上照明灯また視線誘導標・案内標識等には自発光式を採用するなど,霧対策に万全を期して,ワールドカップサッカー,大会開催期間中の円滑な交通確保を支援する。

(2)一般国道10号旦の原交差点
旦の原交差点は,大分大学や近年宅地開発の著しい高江ニュータウン等に近接して交通渋滞が慢性化しており,サッカースタジアムにも近いことから,交差処理に工夫を凝らしてワールドカップサッカー開催時に予想される交通混雑に対処することとしている。
計画は,近接する二箇所の市道交差点を集約して国道10号と立体交差,迂回して10号に平面交差することにより交差処理を行うもので前後の4車線拡幅と合わせて一体整備を行うこととしている。旦野原橋と敷戸橋の,上部工は,施工ヤードの確保困難や鉄道(JR豊肥線)の建築限界に制限を受けるため,工場製作ブロック桁によるバイプレ工法を採用し桁高さを低くして対応している。
(3)一般国道10号戸次・犬飼拡幅
戸次・犬飼拡幅は,一般国道10号の大分県南部地域と大分市中心部を結ぶ計画延長9.9kmの4車拡幅事業であり,日常的な交通混雑を解消してワールドカップサッカー大会並びに地域経済活性化の支援に向けて,整備を推進しているところである。
このうち,上戸次上尾付近の旧10号は,大野川の河岸に接し,発達した段丘地形の,斜面上に計画され,過去には土砂崩落による大災害によって洞門等が損傷するなど長期間の交通止や通行制限が行われ,また出水期は路面冠水にも,しばしば見舞われてきた。このため旧道に並行して新設の上尾トンネル(L=691m)が計画されたが,施工に際して地山の変位等が懸念されたため,土木研究所を含めた委員会においで慎重な検討のもとに整備を推進し,平成11年度末にはトンネルを含む延長1.3kmを開通する予定である。

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