国道3号 今古賀交差点改良事業
~地域と一体となって事業を推進~
~地域と一体となって事業を推進~
国土交通省 九州地方整備局
北九州国道事務所 工務課長
北九州国道事務所 工務課長
掛 田 信 男
キーワード:交差点立体化、地域連携、広報
1.はじめに
今古賀交差点は、福岡県遠賀郡遠賀町の国道3 号と県道285 号浜口遠賀線との交差点であり、町役場やショッピングセンターが隣接する町の中心部に位置し、周辺は住宅が広がっている。
本交差点は、国道3 号北九州向き(上り線)は立体交差しているが、福岡向き(下り線)は平面交差となっているため、交通渋滞の解消や安全性の向上を目的として下り線の立体化に平成26年度から取り組んでいるところである。
本事業は、現在工事の最盛期を迎えており、今回、現在の工事の進捗状況や事業を通じての地域との関わりなどについて紹介するものである。
2.広報活動の充実
本事業は、平成28 年8 月から工事に本格着手するにあたり、九州の大動脈である国道3 号を4車線(片側2 車線)から2 車線(対面通行)に規制するため、関係する自治体を取り込んだ事前広報の取り組みを実施した。
具体的には、遠賀町に加え近隣の町や福岡県もメンバーとした広報会議で広報計画を策定し、チラシやラジオ、新聞、HP、規制標識など様々な手段を活用した広報活動を行った。
3.主な工事内容
本事業は、下り線側を立体化するために、新規に本線の高架橋、オンランプ橋及びオフランプ橋を設置し、さらに西川、戸切川渡河部では、既設側道の付け替えとして外側に側道橋を整備するものである。
工事の特徴として、住宅地と隣接する国道3号規制区間内の限られた狭いヤード内で、本線、ランプ、側道の工事を並行して行う点がある。
また、本地域は遠賀川下流域の標高2m 前後の低湿な三角州低地にあり、ほとんどの地質が軟質な粘土等で構成されているため、概ね20 ~ 30mまでN 値0 ~ 5 程度の軟弱地盤であることも大きな特徴である。
そのため、施工にあたっては、安全連絡協議会を通じた施工者間の密な施工調整や、チラシや看板等による周辺住民への説明の徹底、騒音・振動値の常時監視等に取り組んでいる。
4.工事の進捗状況(平成30年6月末現在)
現在、橋梁等の構造物の発注は全て完了し、鋭意工事を推進しているところである。
橋梁下部工については、5 月に西川側道橋P1下部工が完成したことにより、全ての下部工工事が完了した。橋梁上部工については、本線橋となる今古賀交差点上の今古賀高架橋、戸切オンランプ橋の架設が完了したところである。
今後は、残る遠賀オフランプ橋や西川・戸切側道橋の上部工架設、床版工等を引き続き推進するとともに、舗装工事・付属物工事に着手することとなる。
5.地域との連携・ふれあい
1)事業説明の充実
本事業は、国道3 号に長期の通行規制が生じることによる通勤・通学等の交通への影響や、施工地周辺の住宅地等の生活環境に対する影響を踏まえ、地域への事業説明の充実に取り組んでいる。
その一例として、地元の小学校を招いた工事見学会を開催しているところであり、平成29 年11 月に実施した見学会では、重機等への試乗やコンクリート締め固め等を体験いただいた。
児童からは、普段体験出来ない土木工事の現場に触れ、弾けるような笑顔とともに大きな歓声があがるなど、発注者、施工者にとっても大きな励みとなったところである。なお、この様子はテレビ・新聞等にも大きく報道された。
2)地元遠賀町との連携
工事等の実施に伴う地元への説明会や苦情等の対応など、普段から地元遠賀町役場との連絡・調整を密に行っている。
町からは事業に対する全面的なバックアップ体制をいただき、昨年11 月18 日の今古賀高架橋上部工の550t クレーンによる架設(長さ21m、重さ66t)の際も、深夜の厳しい寒さの中、町長、副町長をはじめ多くの方々にお出でいただいたところである。
その際の様子は、本年1 月に発行された遠賀町の町内報「広報おんが」において、町長の年頭挨拶の中でも触れて頂き、「“ まちが動く” 国道3号バイパスの今古賀交差点立体化工事では、ついに交差点に橋が架かりました。私も現地で見ておりましたが、壮大な工事の様子にこれから勢いよくまちが動いていく、そう実感致しました。」とのお言葉をいただいている。
6.最後に
今古賀交差点改良事業は、地域の皆様のご協力をいただきながら鋭意工事を推進しているところであるが、国道3 号の交通規制の影響もあり、朝・夕のピーク時において交通混雑が発生している状況である。
交通規制開始時の平成28 年8 月に「概ね3 年間の規制期間を予定」として本格的な工事に着手したところであるが、一日でも早い事業完成に向けて、引き続き地域の皆様や、遠賀町をはじめとする関係自治体、施工者等と一体となって工事を推進してまいりたい。