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「国民の生命・財産を守る」という建設業界の使命
一般社団法人日本建設業連合会 九州支部 支部長
相川善郎
東日本大震災から3年余が経過し、被災地での復興工事が加速する中、改めて脆弱性が指摘されるわが国土の強靭化は、官民あげて対応すべき喫緊の課題である。昨年12月に「国土強靭化基本法」が成立し、本年3月には政府が南海トラフ地震等に関する「防災対策推進基本計画」を決定する等、着実に国土強靭化の計画が進められている。
ここ九州は火山災害を多く経験し、集中豪雨や台風による河川の氾濫や土砂災害も脅威である。さらに南海トラフ大地震により大分県、宮崎県、鹿児島県を中心に大きな被害が発生することも予測されている。しかしながら、九州の公共インフラの老朽化は深刻な状況にあり、高速道路の未連結区間も残されている等、未だ防災・減災面の課題は多い。今後、九州地方整備局と関係公共機関や民間が連携した
防災・減災対策の推進が一層加速されることを期待している。
前記の「防災対策推進基本計画」では、災害による死者数及び建物全壊棟数を、今後10年間で大幅に減少させるという減災目標が掲げられた。まさに「国民の生命・財産を守る」という我々建設業界の使命が再認識させられる目標ではないだろうか。
建設業界は、防災・減災対策の一環であるインフラ整備や耐震改修に積極的に対応するだけではなく、災害対応体制の確立にも真摯に取り組んでいる。日建連では「災害対応基準」を定め、災害発生時に被災地の住民救援と被災構造物の応急復旧等の活動を、会員各社の協力のもと迅速かつ組織的に行うこととしている。日建連九州支部としても、今後、九州地方整備局を初めとして関係公共機関との協力体制の整備等を進め、災害対応力の一層の強化に努めていく所存である。
一昨年より建設市場もようやく回復局面を迎えたが、一方、建設業界では若年入職者の減少による技能労働者の高齢化が進展し、現在、「技能労働者の世代交代」が最重要課題となっている。この課題に対して国土交通省は既に各種施策を打ち出しているが、日建連としても、今般、「建設技能労働者の人材確保・育成に関する提言」を取りまとめ、公表した。建設技能労働者の処遇の抜本的改善に向けて、
賃金水準の改善、重層下請構造の是正、社会保険未加入対策の促進等に努め、専門工事業団体他とも連携して、建設業界をあげた取り組みを推進する方針である。
これからの建設業の担い手確保・育成には、若者、女性をはじめ国民各層に対して建設業への理解を促進することも重要である。日建連では、建設業の社会基盤を支える役割や災害復旧時における社会貢献の姿を、色々な媒体を通じて積極的に発信するとしており、支部としても一般市民向け現場見学会の開催等の広報活動を積極的に展開していく。
今まさに建設業界は大きな転換期を迎え、従来の枠にとらわれない様々な取り組みがなされようとしている。そして、このような取り組みを通して、建設業にたくましさが戻り、携わる者全てが自信と誇りを取り戻すことを期待してやまない。

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