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ミンナ ココ ニクル!
~道の駅「都城NiQLL」リニューアルの紹介~

国土交通省 九州地方整備局
宮崎河川国道事務所
技術副所長
安 仲  努

キーワード:道の駅リニューアル、防災道の駅、道の駅防災機能強化

1.はじめに
道の駅「都城」は宮崎県都城市の国道10号沿いに位置する道の駅であり、令和5年4月22日(土)に道の駅「都城NiQLL」としてリニューアルオープンした。本稿では道の駅「都城NiQLL」のリニューアルまでの経緯や概要について報告を行う。

図1 道の駅「都城NiQLL」全景

2.道の駅「都城」のこれまでの経緯
(1)リニューアル前の道の駅「都城」の概要
道の駅「都城」は平成13年に設置され、一般財団法人都城圏域地場産業振興センターにより管理運営が行われてきた。リニューアル前の概要を表-1に示す。

表1 リニューアル前の道の駅「都城」の概要

図2 リニューアル前の道の駅「都城」

(2)リニューアルまでの経緯
都城市では、「都城市物産振興基本計画」(H31.3)により、「日本一の肉と焼酎」を中心とした物産振興拠点の整備と拠点施設を運営する新たな組織の設立を検討する方針が示され、「都城市物産振興拠点施設整備基本計画」(R2.3)において、道の駅「都城」及びその周辺を含めたエリアを物産振興拠点としてリニューアルすることが決定された。
設置方法は一体型に変更となり、都城市(設置者)と国土交通省(道路管理者)との分担により整備が進められた。
並行して重点道の駅及び防災道の駅に選定され、国土交通省からのハード面やソフト面の支援を受けながら整備が進められた。
管理運営者(指定管理者)には、市が出資する第三セクターとして新たに設立された「株式会社ココニクル都城」が選定された(図- 3)。

図3 株式会社ココニクル都城

表2 リニューアルの経緯

3.リニューアルの概要
リニューアル後の道の駅「都城NiQLL」の施設配置(整備中箇所含む)を図- 4に示す。
(1)リニューアルのコンセプト
「都城市物産振興拠点施設整備基本計画」では以下のコンセプトと基本方針が示されている。
〇コンセプト
「日本一の肉と焼酎のふるさと」の魅⼒で地域活性化を推進
〇基本方針
・「日本一の肉と焼酎」の体験
・多様な世代の交流と賑わい
・商品開発と⽣産販売の支援
・道路利⽤者の安全・快適な休憩環境
・地の利を活かした、観光と情報の発信
・安全・安心を支える防災拠点

(2)地域振興施設の整備内容
都城市(設置者)が整備した範囲では、「買いニクル! 食べニクル! 遊びニクル!ミンナココニクル!」をキャッチフレーズに、屋外には屋根付きのイベント広場や多目的広場(図- 5)、施設内には直販所(図- 6)や燻製設備を備えたキッチンスタジオ(図- 7)、多目的室(図- 8)、木のゆうぐ広場(図- 9)、4つのカフェ、レストランなどが整備されている。
また、休憩・情報提供施設に併設して観光案内所(図- 10)が整備され、利⽤者に対して道路情報とあわせて観光情報が提供可能な施設配置が行われている。

図4 道の駅「都城NiQLL」施設配置図(整備中箇所含む)

図5 イベント広場・多目的広

図6 直販所

図7 キッチンスタジオ

図8 多目的室(一部)

図9 木のゆうぐ広場

図10 観光案内所

(3)休憩・情報提供施設の整備内容
国土交通省が整備した範囲には、休憩施設や情報提供施設(図- 11、12)、ベビーコーナー、トイレ(24時間利⽤可能、身障者⽤含む)に加え、防災倉庫や自家発電施設等防災関連施設などが整備されている。
また、フリーWiFi スポット「道の駅SPOT」の設備導入や端末設置が行われている。

図11 休憩・情報提供施設外観

図12 休憩・情報提供施設内観

4.道の駅「都城NiQLL」の防災機能
(1)防災道の駅として求められる役割
防災道の駅である道の駅「都城NiQLL」は国土交通省、宮崎県、都城市の防災関連計画において、それぞれ位置付けがなされている(表- 3)。

表3 策定主体別の防災上の位置づけ

なお、都城市は、南海トラフ地震の津波などにより宮崎県沿岸部が甚大な被害を受けた際に、後方支援を行うバックアップシティとしての役割を担うために、宮崎県等と連携のもと、市内の公共施設等(公園、病院等)が分担して災害対応に必要な機能を担うことを想定しており、その中の1つとして、道の駅「都城NiQLL」が位置づけられている。

(2)道の駅「都城NiQLL」の防災機能・設備
道の駅「都城NiQLL」に整備されている防災機能を表- 4、位置を図- 15 に示す。
道路区域の休憩・情報提供施設内には、防災倉庫(図- 13)と自家発電施設を整備すると共に災害時にも利⽤可能なフリーWiFi 設備(道の駅SPOT)を導入している。その他道路区域内には貯水タンク(図- 14)と防災トイレ(駐車場内)を整備している。防災倉庫には災害発⽣時に道路管理者が使⽤する資機材(マンホールトイレや看板、カラーコーン等)等を保管するために必要なスペースを確保していると共に、都城市の備蓄庫として市民向けの備蓄(飲食料や毛布、おむつ等)を保管するスペースも確保している。
設置者区域の地域振興施設内には自家発電設備、その他区域内には防災トイレ(マンホールトイレ)が整備されている。
また、災害発⽣時に、道路管理者(国土交通省)と設置者(都城市)がこれら防災機能や各区域内のスペースを円滑に相互利⽤できるよう、防災機能利⽤に関する基本協定を締結している。

表4 導入している防災機能・設備

図13 防災倉庫(供用時) 図14 貯水タンク

(3)災害発生時の敷地内のゾーニング
道の駅「都城NiQLL」の防災上の役割を踏まえ、南海トラフ地震等の大規模災害発⽣時(都城市が被災しない場合も含む)に道の駅区域内は、大きく以下4 つの利⽤が想定される。
① TEC-FORCE の現地進出拠点
②地域内輸送拠点(都城市が被災した場合)
③後方支援の防災活動拠点(都城市及び沿岸地域の被災状況による)
④避難場所・避難所(発災直後の道路利⽤者・地域住民の避難場所 等)
災害発⽣時にこれら利⽤を円滑に行うため、国土交通省と都城市及び宮崎県との協議を行い、あらかじめ災害発⽣時の道の駅区域内の各利⽤のゾーニングを設定している(図- 15)。
TEC-FORCEの現地進出拠点の利⽤については、道路区域内の駐車場を第1次派遣部隊が利⽤するスペースとして想定しており、防災拠点自動車駐車場の指定も行っている。第2次派遣部隊以降の利⽤スペースとしては、地域振興施設内の大型駐車場と小型駐車場の一部を想定している。
都城市における地域内輸送拠点及び後方支援の防災活動拠点の利⽤については、設置者区域内の大型車駐車場と小型車駐車場の一部のスペースを想定している(TEC-FORCEの第2次派遣部隊以降利⽤スペースと重複しない箇所)。
道路利⽤者・地域住民の避難場所・避難所の利⽤については、設置者区域内のイベント広場・多目的広場を発災直後の避難場所として想定し、周辺避難所へ避難者誘導後は同スペースを地域内輸送拠点の物資等保管スペースとして想定している。また、地域振興施設内多目的室の避難所(2次)としての利⽤が検討されている。

(4)道の駅「都城NiQLL」BCPの策定
前述の災害発⽣時の利⽤の実効性を高めるため、災害発⽣時の設置者、管理運営者、道路管理者の行動内容と手順を定めたBCP(事業継続計画)が策定されている。BCP には管理運営者がBCPに基づく行動に着手する条件や、防災機能の利⽤やゾーニングに応じた利⽤を行うための手順と役割分担、訓練実施の方針等が記載されている。

図15 道の駅「都城NiQLL」区域内の災害時の利用ゾーニング

5.おわりに
道の駅「都城NiQLL」は令和5年4月22日のリニューアル後、わずか36日で旧道の駅「都城」の年間最多来場者数(約24 万人)を突破し、良好なスタートを切ることができた。今後さらに地域の拠点としての役割の向上が期待されると共に、関係者による継続的な防災訓練等の実施による防災拠点としての機能強化に取り組んでいく必要がある。

謝辞
今回の執筆にあたり、貴重な資料や情報の提供をいただいた都城市ふるさと産業推進局や(株)ココニクル都城の皆様に感謝の意を表す。

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