都城志布志道路の整備効果について
国土交通省 九州地方整備局
宮崎河川国道事務所
技術副所長
宮崎河川国道事務所
技術副所長
濱 田 達 哉
キーワード:物流効率化、産業振興、広域医療支援、リダンダンシー確保、混雑緩和
1.はじめに
都城志布志道路は、宮崎県都城市を起点に鹿児島県曽於市を経由し鹿児島県志布志市に至る延長約44㎞の高規格道路です。宮崎河川国道事務所におきましては都城IC~五十町ICの整備を、残りの区間は宮崎県・鹿児島県がそれぞれ整備を行っています。
令和4年3月12日には乙房IC~横市ICが開通し全体の約80% が供用済みとなりました。令和6年度には都城IC~乙房IC間の開通予定となっており、引き続き整備を推進しているところです(図- 1)。
2.沿線地域の状況
沿線の都城市・三股町・曽於市・志布志市は、都城市を中心とした「都城広域定住自立圏」を形成し、産業や医療など様々な面で結びつきの強い地域です。都城広域定住自立圏では都城志布志道路を柱として位置付けており、全線開通に向けた地域の期待も非常に高くなっています。
地域の産業としては畜産業が盛んで、特に都城市は、畜産業算出額が2年連続1位となっています(図- 2)。また志布志市は国際バルク戦略港である志布志港を有し、九州最大の飼料ターミナルを形成しており、都城市に向け多くの配合飼料が輸送されています(図- 3)。
3.都城志布志道路の整備効果
(1)物流の効率化・産業振興
先ほども紹介しましたとおり沿線地域では畜産業が盛んで、志布志港からは配合飼料が出荷されています。
また宮崎県はスギ丸太生産量31年連続日本一となっており、生産した丸太は主に志布志港から輸出されています。なお志布志港からの輸出量は12年連続日本一で国内シェアの約30% を占めています。
さらには全国1位の売上高を誇る焼酎メーカーも沿線に立地しています。こちらのメーカーでは都城志布志道路の整備による利便性の向上や、近年頻発する豪雨災害等による影響もふまえて志布志港からの輸送比率を近年4倍程度に引き上げており、製品の確実な出荷に取り組まれています。
都城志布志道路の整備により、都城ICから志布志港までの所要時間が未整備時(約69分)と比べて全線開通時(約37分)にはおおよそ半分の時間となり、物流が効率化されることで、産業振興に寄与することが期待されます。
あわせて沿線地域では新規企業立地が進んでおり雇用の創出にもつながっています。
(2)混雑緩和
都城志布志道路と並行する国道10号は都城市街地を中心に主要渋滞箇所が連続し、常に混雑している状況です(写真- 1)。都城志布志道路の整備により、国道10号や周辺道路の交通が転換し交通混雑の緩和が期待されるとともに、交通混雑が原因と推察される追突事故の減少も期待されます。
(3)広域医療支援
都城広域定住自立圏の医療拠点である都城市郡医師会病院は都城志布志道路沿線に立地し、これまでも沿線地域から多数の方が来院(図- 5)されていますが、令和4年3月12日に開通した乙房ICから車で約5分の位置であることから、今後ますますの増加が見込まれます。
都城志布志道路の整備により、ドクターカー運用の効率化や通院がしやすくなるなど、救命率の向上や早期加療による重症化防止に期待されています。
4.今後の整備について
令和6年度の都城ICから乙房ICまでの開通に向けて、橋梁工事や改良工事などを進めています(写真- 2)。
整備効果が高く地域からの期待も高い都城志布志道路の一日も早い開通に向けて、今後取り組んでまいります。