九州地方整備局建政部の概要
国土交通省 九州地方整備局
建政部 都市・住宅整備課長
建政部 都市・住宅整備課長
石 井 宏 幸
本年1月6日の省庁再編に伴い,北海道開発庁,国土庁,運輸省,建設省が統合して国土交通省が誕生しました。同時に九州地方のニーズをより一層的確に反映した直轄事業の実施,補助事業の調整等を総合的に推進するため,第四港湾建設局と九州地方建設局が統合して九州地方整備局が誕生しました。中でも建政部は,従来,本省が行っていた建設業の許可・監督指導関係業務,都市計画関係業務,都市整備・住宅整備関係業務を地方において実施するための部署として,地方整備局誕生とともに発足した新しい組織です。
本稿では,九州地方整備局建政部の組織体制,建政部の業務の概要等について紹介します。
1 九州地方整備局建政部の組織体制
九州地方整備局建政部の組織体制は,建政部長以下3調整官,2課体制となっており,その概要は下図に示すとおりです。
2 九州地方整備局建政部の業務概要
(1)建設産業行政
社会資本整備を実際に担う建設業,宅地建物取引業(不動産業),建設関連業等の建設産業行政を所管し,以下の業務を行っています。
① 建設業の許可等
建設業,宅地建物取引業,建設関連業の健全な発達と消費者等の保護を図るため,建設業の許可,宅地建物取引業の免許,測量業・建設コンサルタント・地質調査業の登録およびこれらの業者の指導監督業務を行います。
なお,許可等を受けた九州管内の建設業者,宅地建物取引業者,測量業者,建設コンサルタント,地質調査業者については,一般の方々にこれらの許可申請書等の閲覧を行っています。
また,競争参加者選定手続の透明性の一層の向上による公正さの確保,企業情報の開示といった観点から,建設業者の経営事項審査結果の閲覧も行っており,九州に主たる営業所を置く大臣許可業者分の閲覧が可能です。
② 中小建設業者等の育成
建設業・建設関連業関係の中小企業の育成のために中小企業協同組合,協業組合,商工組合に関する許可事務や中小企業経営革新支援法に基づく経営革新計画に関する事務を行います。
(2)土地収用
土地収用法に基づく事業認定の一部を行います。事業認定の告示を事業主体である起業者が受けると,任意協議で用地買収が解決しない場合は,一定の手続を経て土地等を収用できる権限が付与されます。
対象となる事業は,従来は建設大臣(現在は国土交通大臣)が事業認定を行っていた事業のうち県が行う事業,電気事業等の九州地方整備局管内の事業となります。
(3)都市計画
県,政令指定都市が定める都市計画の国土交通大臣同意および街路,公園,下水道等の都市計画事業認可等を担当しています。
(4)都市・住宅整備事業
九州地方において,活力と魅力あふれるまちづくりを進めるため,地方公共団体が実施する街路,公園,下水道等の都市施設の整備や,市街地再開発事業,土地区画整理事業等の市街地開発事業に係る国庫補助金の配分や交付決定等を担当しています。また,良質な住宅ストックの形成,ゆとりとうるおいのある住環境の実現,少子高齢化に対応した安心居住空間の形成のための公営住宅整備事業住宅市街地整備総合支援事業などの様々な住宅・宅地整備事業に係る国庫補助金の配分や交付決定等も担当しています。
直轄事業としては,九州地方の広域レクリエーション需要への対応を目的とした「海の中道海浜公園(福岡市)」および我が国固有の優れた文化的資産である吉野ヶ里遺跡の保存・活用を目的とした「吉野ヶ里歴史公園(佐賀県)」の2カ所の国営公園の整備・管理を担当しています。
3 平成13年度九州地方整備局都市・住宅関係予算の概要
(1)国営公園事業
① 海の中道海浜公園
昭和50年度に事業化,昭和56年度に約59haで当初開園を行って以来,順次開園区域を拡げ,平成12年度末現在で全体面積約540haのうち約206haを開園しています。
平成13年度は,公園計画中央部の「樹林とビクニックの広場(B地区)」に位置するデイキャンプ場等を備えたピクニック活動の場である「花族の広場(24.7ha)」について,サービス機能を備えるゲート建物等の建築や遊具の設置,植栽,その他各種基幹施設の整備を完了させ,平成14年3月の追加開園を図ります。
② 吉野ケ里歴史公園
平成4年度に事業化,本年4月21日に,隣接する県立吉野ケ里歴史公園と一体的に利用可能な公圏として,全体面積約117haのうち約47ha(国営公園部分は全体面積約54haのうち約16ha)を第一期開園いたしました。
平成13年度は,第一期開園区域における施設の充実,開園区域の順次拡大を図るため,復元建物の追加整備や植栽等を行うとともに,次期開園区域の敷地造成に着手します。
なお,平成13年度九州地方整備局国営公園事業費は表ー1のとおりです。
(2)国庫補助事業
九州地方では,各県とも都市部への人口集中が確実に進んでおり,まさに都市型社会を迎えています。しかしながら,都心部での交通渋滞,下水道の普及の遅れなど良好な生活環境を支える都市基盤の整備は遅れています。また,中心市街地の衰退・空洞化,都市型水害の多発,防災上危険な密集市街地など,都市の活力低下や防災上の危険性といった課題も抱えています。さらに,これからのまちづくりを進めるに当たっては,これらの課題に着実に対応することはもちろん,IT革命,少子高齢化および環境問題に的確に対応しつつ,活力と魅力あふれるまちづくり・すまいづくりを推進していく必要があります。平成13年度都市・住宅関係国庫補助事業では,地域の実情や地方公共団体の要望等に即しつつ,以下の視点でまちづくり・すまいづくりを展開します。
① 快適な生活環境の実現に向けたまちづくり・すまいづくりの推進
・普及が遅れている中小市町村の下水道整備促進
・踏切除却による都市交通円滑化と市街地分断解消
・鉄道駅等交通結節点の機能強化
・老朽公営住宅等の建て替え推進
② 安全で安心できるまちづくりの推進
・下水道の雨水幹線の整備等による都市部の内水対策の推進
・防災公園の整備の推進
・密集市街地の整備改善
③ 地域が主体となった個性と活力あるまちづくりの推進
・中心市街地活性化のための市街地整備の推進
・統合補助「まちづくり総合支援事業」を活用した個性あふれるまちづくりの推進
・地場産材の活用など地域に根ざしたすまいづくりの推進
④ IT革命への対応
・下水道光ファイバー網に関する整備計画策定の推進
⑤ 少子高齢化に対応したすまいづくりの推進
・バリアフリー化された公営住宅の計画的整備
・エレベーターの設置等による既存公営住宅のバリアフリー改善
⑥ 都市環境の保全・改善,自然との共生
・良好な水環境の形成のための下水の高度処理の推進
・循環型社会構築に向けた下水汚泥の減量化・リサイクルの推進
・環境負荷の低減等を図る緑地環境の保全・整備の推進
なお,平成13年度九州地方整備局都市・住宅関係国庫補助事業費は表ー2のとおりです。
4 九州地方整備局建政部の今後の業務展開
建政部の発足により,従来本省では3つの局・多数の課が別々に担当していた制度や事業を,1つの部・2つの課でまとめて対応することにより,横断的・総合的な調整などがスムーズに行うことができるようになりました。
特に,都市・住宅関係国庫補助事業の執行については,地域に密着した存在として,市町村等との緊密な情報交換体制づくりを行いながら,そのまちづくり・すまいづくりを支援していくこととしています。そのため.市町村等がまちづくり・すまいづくりについて気軽に相談できる窓口として「まちづくり・すまいづくりアドバイザー」を設置し,都市調整官および住宅調整官の2名がこの任にあたることとしました。「まちづくり・すまいづくりアドバイザー」は,市町村等からの相談窓口になるとともに,まちづくり・すまいづくりに関して市町村や住民等からの要望に応じて出向いて講師をつとめる「出前講座」や,建政部からの情報発信等を担当します。お気軽にご相談下さい。