九州地方整備局における災害対策用機械について
九州地方整備局 九州技術事務所
専門職
専門職
松 岡 雅 博
九州地方整備局 道路部機械課
計画係長
計画係長
南 嶋 哲 郎
1 災害対策用機械の配備状況
九州地方は,台風や梅雨時の風水害や火山災害など自然災害が頻発する地域であり,過去に様々な災害を経験してきた。
これらの災害を教訓として,九州地方整備局では,災害の未然防止はもとより有事の際の被害拡大の防止と復旧活動の迅速かつ的確な対応を目的に九州内を4ブロックに分け,災害対策用機械の整備を推進している。(図ー1)
2 災害対策用機械の紹介
現在,整備中の災害対策用機械はヘリコプター(はるかぜ号:福岡空港駐機)や各種通信機器,排水ポンプ車,照明車をはじめ,災害現場での前線基地となる対策本部車(拡幅型)や二次災害の恐れがある現場で汎用のバックホウ・ブルドーザを離れた場所から安全に操作できる簡易遠隔操縦装置(ロボQ:九州地方整備局開発)など特殊な機械も配備・計画している。(表ー1)(写真ー1)
また,各河川系事務所にも20~150㎥/min級の排水ポンプ車や照明車を配備し,迅速な対応を可能としている。
3 災害対策用機械の運用
災害対策用機械は特殊な機械であるため,その機能を理解し,常日頃から十分に使い慣れておくことが必要である。九州地方整備局管内の各事務所では,基地事務所との協力により訓練を行い,確実な運用に努めている。
一方,管内の地方自治体への応援についてもその運用体制を整え,広範囲な活動を可能としている。
4 災害対策用機械の支援
北部ブロックにおける防災拠点としての役割を担う九州技術事務所においては,災害発生時の出動を支援するため,以下に示す3つの機能を持つ「災害支援情報管理システム」を導入している。
(1)出動要請情報の管理システム
出動要請時の必要情報をネットワーク上で一元管理し,事務処理の効率化を図る。
① 情報入力機能
災害対策用機械の出動業務に関連する資料の情報を入力する。
② 情報管理機能
入力された情報の履歴を管理する。また,各書類の決裁状況も管理する。(ネットワーク対応)
③ 災害対策用機械の出動記録の作成
出動要請から撤収までの記緑を既存様式で作成し,定められた形式で出力する。
(2)最適ルートの検索システム
災害対策用機械の出動時の現地までの最適な出動ルートを迅速に把握する。
① 出動ルートの検索機能
出発地⇒待合せ場所⇒被災現場の最適ルートを諸条件に基づき検索する。
ルート検索では下記で入力された通行止め箇所を考慮する。
② 通行可否情報の登録
地図上で出動ルート上の通行止箇所を登録する。将来は既存システム(防災情報システム等)からの自動取得(自治体等とネットワーク構築が必要)
(3)災害対策用機械監視システム
災害対策用機械の状態や配置状況を一元的に監視し,機械の効果的な活用を支援する。
① 災害対策用機械の管理
各拠点事務所の保有する災害対策用機械の種類,台数,登録ナンバー等を登録し,管理する。
② 災害対策用機械の配置状況の監視
災害対策用機械の現在の状態(点検中,待機中,出動中,稼働中)および位置をリアルタイムで管理する。
5 おわりに
災害対策用機械については,計画にのっとった整備推進を図っている。災害現場での確実な運用のためには日頃からの十分な訓練が重要である。
また,配備した機械をさらに有効に活用するため,今固紹介した3つの支援システムを検討したところである。これにより迅速かつ的確な情報把握が可能となり,今後の防災活動に大きく寄与できるものと思われる。