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九州の河川における住民団体との協働について
~河川協力団体制度の創設~
宮本健也

キーワード:河川協力団体、河川法第99条、河川協力団体連絡会議

1.はじめに
近年、全国の河川において、多くの民間団体が河川管理に資する活動を自発的に行っており、河川管理の充実を図るためには、これら民間団体による活動を河川管理者が支援することも必要であることから、平成25年6月、河川法の一部が改正され、「河川協力団体制度」が設けられた。
法改正から2年が経過し、全国の地方整備局において河川協力団体の指定も進んでいるものの、本制度の運用・活用に関しては、行政、民間団体の双方において、「手探り」の面もあると思われる。本稿では、九州地方整備局管内における本制度に係る取り組み、運用状況等について報告するものである。

2.河川協力団体制度の概要
河川協力団体制度は、自発的に河川の維持、河川環境の保全等に関する活動を行う民間団体等を支援するために設けられた制度である。河川協力団体としての活動を適正かつ確実に行うことができると認められる法人等が対象となり、河川管理者に対して申請を行い、申請を受けた河川管理者は、適正な審査を行い、当該団体を河川協力団体として指定する。
指定を受けた河川協力団体は、次のような活動を行うことが想定されている。
①河川管理者に協力して行う河川工事または河川の維持
②河川の管理に関する情報または資料の収集及び提供
③河川の管理に関する調査研究
④河川の管理に関する知識の普及及び啓発
⑤①~④に付帯する活動
また、河川管理者が特に必要と認めるときは、河川法第99条の規定に基づき、河川管理施設の維持、除草等の委託を受けることも可能である。河川法第99条の規定に基づく委託は、従来は地方公共団体のみが対象とされていたが、法改正により、河川協力団体など国土交通省令で定める要件に該当する者に委託可能となったものである。

3.九州地方整備局管内における河川協力団体の指定と活動
(1)河川協力団体指定状況
九州地方整備局では、水系ごとに河川協力団体を募集し、応募のあった団体について、各河川事務所等で開催する審査会にて申請資格の確認及び申請書類の審査を行い、さらに整備局で開催する指定委員会において審査結果について問題ないことを確認するなどの手続きを経て、指定を行っている。平成27年3月末までに31団体を河川協力団体に指定している(表-1)。

(2)河川協力団体の活動状況
九州地方整備局では、河川法第99条の規定に基づき、各河川において特に必要と認める事項について河川協力団体への委託を実施している。
(事例1) 緑川水系加勢川
緑川水系加勢川では、ナガエツルノゲイトウをはじめとする外来水草が異常繁茂しており、生態系を保全するため、これらの除去が必要とされている。熊本河川国道事務所では、これまで維持業者に委託していた外来水草の除去作業について、平成26年度は、緑川・加勢川で活動する河川協力団体の2 団体(みずのとらベル隊、加勢川開発研究会)に委託を行った。委託を受けた2 団体は、これらの作業を通じて、地域住民や次世代を担う子どもたちに対して、河川の生態系を守ることの大切さを伝える活動にも取り組んだ(写真-1)。

単に外来水草を除去するだけではなく、将来につながる活動は、河川協力団体ならではの活動である。

(事例2) 遠賀川水系黒川・笹尾川
遠賀川水系黒川・笹尾川は、流域住民等の環境問題に対する関心が高く、また、河川利用も盛んな河川である。そのため、住民の皆さんや将来を担う子どもたちに河川の安全利用や河川環境の保全に関心を持ってもらうことが必要とされている。遠賀川河川事務所では、河川の安全利用の啓発活動としてのカヌー安全講習、水環境教育としての保育園児によるサケの稚魚放流について、平成26年度は、遠賀川・笹尾川で活動する河川協力団体(笹尾川水辺の楽校運営協議会)に委託を行った(写真-2)。これらの活動を通じて、地域住民や次世代を担う子どもたちの地域の川への愛着、環境問題へ取り組む素地を養ったところであり、地域で活動を積み重ねてきた河川協力団体にふさわしい活動と考えている。

(事例3) 川内川水系川内川
川内川流域では、地域資源を活用し、観光等を通して地域活性化を進める取り組みが様々な主体によって進められている。地域におけるこのような取り組みに河川・ダムの視点から貢献することを目的として、川内川河川事務所では、平成26年度に地域活動調査を実施した。この調査の実施に当たり、日頃から地域で活動している河川協力団体に委託を行った。具体的には、今後の河川利用における安全対策や地域活性化のための基礎情報収集、流域内イベントにおいて主催者や参加者を対象に広報効果、安全対策意識、イベントの満足度等についてアンケート調査を実施し、主催者と参加者の意識の相違点等を整理した。また、地域の防災意識の啓発・向上、さつま町川原地区において地域住民を対象に災害に対する意識や避難について考える勉強会を実施した(写真-3)。

上記の事例1~3は、河川法第99 条の規定に基づく河川協力団体への委託を実施している例について紹介したものであるが、委託による活動を実施していない団体にあっても、各団体は、清掃活動、普及啓発活動、子どもたちに対する環境教育等をそれぞれ工夫しながら取り組んでいるところである。また、関係の河川事務所との意見交換等を通した情報共有等も合わせて実施している。熊本ブロックでは、熊本県内の河川事務所と関係する団体が一同に会して、河川協力団体制度についての勉強会、意見交換会を実施した(写真-4)。

4.九州河川協力団体連絡会議について
九州地方整備局による指定を受けた河川協力団体は、団体間で河川管理に関して情報共有し、河川管理に対する提言等を行っていくこと、河川管理者と継続的に意見交換を実施すること等を目的に、平成27年2月18日、「九州河川協力団体連絡会議(以下、「連絡会議」という。)」を発足させ、会長に特定非営利活動法人天明水の会濱崎勝氏を選出した(写真-5,6)。

発足会で確認された連絡会議の目的及び連絡会議の位置付けは、以下の通りである。

①連絡会議の目的
 河川の管理を通じて、豊かで活力ある地域社会の実現に向けて、九州管内各流域における河川協力団体が、河川管理に関して、情報の共有、発信及び提言を行う

②連絡会議の位置づけ
・新たに設立された河川協力団体制度の発展に資する情報共有、発信、提言(適切な運用、よりよい制度への改善等)を行う場である
・豊かで活力のある地域社会の実現につながる各団体の取り組み等について情報共有を行う場である

また、発足式では、九州地方整備局との意見交換も行われ、今後の河川協力団体のあり方、取り組み、課題等について話しあわれた(写真-7)。その場で出された主な意見は以下の通りである。

○団体会員の世代交代、人材確保等が共通の課題であり、その解決に向け、今後とも情報を共有したい。
○団体の活動をより活発に行うために拠点となる施設が必要である。
○(今回の制度創設により業務を委託できるようになったが、)今後とも様々な制度の検討も必要。

当日は、これらの意見に対し、活発な議論が展開され、連絡会議を構成する団体の皆さんの思いが共有された。これらの課題に対しては、今後とも、整備局、事務所と連絡会議の間で継続して検討していくことが必要である。

連絡会議は、九州管内の河川協力団体の皆さんの発意により設立され、各協力団体の連携の下で運営されていくことになるが、連絡会議が各河川の河川協力団体の成長、発展や河川協力団体制度の発展、改善に資することを期待し、九州地方整備局としても様々な面で、連絡会議との連携を密にし、支援していくこととしている。このような地方ブロック単位で複数の河川協力団体による情報共有、連携の場が設けられているのは、現在のところ、九州が全国で唯一である。九州では、今般の河川法改正以前より、河川をフィールドに活動している市民団体間の連携や、九州地方整備局及び河川事務所との情報共有、連携が活発に行われており、それらの積み重ねが今回の連絡会議の発足につながったものと考えている。

5.九州における河川協力団体の今後について
河川法改正を踏まえた河川協力団体の指定と各団体の活動はまだ始まったばかりである。また、連絡会議についても、本年2 月18 日に設立されたものの、実質的な活動は今年度から開始されることとなる。
九州地方整備局としては、各河川事務所において、関係する河川協力団体との意思疎通、情報共有を図り、相互理解を深めていくことが必要であると考えている。これらを通して、行政が河川協力団体に求めることが河川協力団体に理解され、また、河川協力団体が行政に求めること、支援が必要なことが行政側に理解されることになり、地域の河川における河川協力団体と河川事務所の連携が進み、より適切な河川管理と河川を軸とした地域の活性化につながるものと期待している。
また、合わせて、整備局と連絡会議の関係も一層強化し、整備局として連絡会議の活動支援を通して、九州管内における河川協力団体の活動が円滑に進むことを目指していく。
10年後、20年後に九州の河川協力団体が、九州の河川管理はもちろんのこと、河川を軸とした地域の活性化になくてはならない存在となるためにも、今年度、来年度の整備局、事務所、河川協力団体の連携が大きな方向性を決定することになると考えている。

6.おわりに
ここまで見てきたとおり、河川協力団体制度の運用については、官民ともに九州が全国に先駆けて実績を積み重ねている。九州地方整備局としては、河川法に位置付けられた河川協力団体制度に魂を入れ、真に河川管理に寄与し、地域の活性化につなげる重要な役割を担っているとの自信と自負を持って、河川協力団体に係る取り組みをさらに前進させて参りたい。

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