第2回中小水力発電に関するシンポジウムおよび
第1回 with Dam Night in Kyusyu 報告
第1回 with Dam Night in Kyusyu 報告
大塚久哲
キーワード:中小水力発電、再生可能エネルギー、with Dam Night
ダム工学会九州地区連絡会では、一昨年に引き続き二回目の「中小水力発電に関するシンポジウム」と初めてのwith Dam Night in Kyusyuを平成26年12月12日(金)に福岡市早良区の九大西新プラザで開催しました。
シンポジウムにおいては以下のような多岐にわたる話題提供がありました。
・我が国の水力発電にはまだ大きなポテンシャルが残されている。その未利用エネルギーを有効に活用し日本の持続的成長を支えるエネルギー供給体制確立のためには、制度・財政・税制などに関する議論も必要である。
・一般電気事業者において再生可能エネルギー発電の系統連系手続きを一時中断するなど、先行きが一部不透明であるが、地熱、小水力発電等の安定した電力供給には大きな制約は設けられない見通しである。
・河川法において、流水占用の登録制度が設けられるなど、規制緩和措置が進んでいる。
・大分県や鹿児島県の民間事業者などの先進的な取り組みでは、数十カ所の候補地を念頭に着々と発電事業が進められており、多くの成功事例が得られている。しかし、電力会社との系統連系協議や電力会社が実施する設備増強工事のため、事業スケジュールが定めにくいという課題もある。
・小水力発電には土地改良区や民間企業などが取り組んでいるが、売電で得られた収入を既往インフラの維持管理費に充当できることが大きなモチベーションとなっている。
以上のように、本シンポジウムでは様々な知見を共有し、互いに交流することができて、有意義なものとなりました。ご支援を頂きました(一社)九州地方計画協会、(公社)土木学会西部支部、ならびに(一社)建設コンサルタンツ協会九州支部にお礼申し上げます。
また今後の展開につきましては、再生可能エネルギーとしての水力発電の位置づけが国民・マスコミに広く理解されるようになってきていることから、将来ある程度の事業が蓄積され、技術革新などが進んだ段階での開催とし、特段の情報がある場合には後述のwith Dam Nightの中での話題提供を行うこととしました。
次にwith Dam ☆ Night(以後wDN と記載)についてですが、この催しは市民、ダムファン、技術者等が一堂に会することで、ダムに関する知識や情報を共有し、一般の方々のダムへの理解を深めることを目的に、2010年に東京で始められました。九州においては昨年が初めての開催となります。
プロローグでは、ダム工学会九州地区連絡会の太田様から、九州管内のダムが紹介されました。ランキング形式でのダムの紹介や、初歩的なダム型式の説明等、一般の方に分かり易く工夫された発表でした。
続いて講演では、九州地整の古賀河川部長氏から九州のダム事業・鶴田ダム再開発事業・インフラツーリズムについて、九州電力の朝崎氏から地域共生としての耳川水系ダム群の総合土砂管理行動計画が紹介されました。また、ダムマニアの夜雀氏からは九州管内の多くのダムについて綺麗な写真を交え、独特の目線による紹介をいただきました。
トークショーでは夜雀氏を含む御三方からダムの魅力を語っていただきました。古賀河川図書館長の古賀氏からは自然的・社会的・文化的の3つの水循環から、ダム愛好家ならではのダムの魅力を語っていただきました。元九州地整嘉瀬川ダム工事事務所長の桒野様からは巡航RCD工法を中心にこれまでの豊富なダム建設の経験を語っていただきました。
また、展示ブースでは、九州のダム(カード)写真展、ビデオ放映を行いましたが、こちらにも多くの方に足を運んでいただきました。
wDN は多くの一般の方にダムを知っていただく目的で開催されていますが、今回は広報不足もあって、参加者の多くは土木技術者という結果になりました。しかし、ダムを愛でる方々の発表を間近に見聞して、勇気を頂かれた若い技術者が多数おられたこと、また「楽しい時間を過ごせました」という言葉を少なからず戴けましたことを嬉しく思っております。
今後も今回の反省点等を生かし、ダム分野の発展に繋がるようなwDNを企画したいと思います。今年は11月7日(土)の15時から18時まで天神ビル9階会議室での開催を予定しています。是非、お誘いあわせのうえ、ご来場ください。
wDNの開催にあたりご協力いただいたダム工学会川崎氏ほか関係各位、講演者の皆様、九州地区連絡会スタッフにお礼を申し上げます。また、本稿をまとめるにあたり、資料・写真をご提供いただいた八千代エンジニヤリング㈱の片山・権神両氏に謝意を表します。