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「第7回 うるおいのある川づくりコンペ」開催される

人々は古来より川のほとりに住み,川を利用し数多くの恵みを受けてきました。
「水を制するものは天下を制する」とばかりに,ほとんどの河川で,治水・利水を目的として改修が実施されました。
その結果,人々の暮らしは豊かになりましたが,同時に川底や水の淀みにすみついていた小さな生き物たちや魚たち,鳥たちの生活の場をいつの間にか奪っていったのです。決して自然破壊をすることが目的ではなかった筈なのですが……。
私たちは,“ドジョウ”や“メダカ”がいなくなった川が増えたことはもちろんですが,川遊びをしたことのない子供たちが増えてきていることに危機感を覚えるべきではないでしょうか。
想えば,川遊びの中で子供達は自然の摂理を学び,思いやりを身につけました。それは,川に行く子供たちの年齢も様々でしたし,川の中にもコイやフナなどの大きな魚からドジョウ,メダカなどの小さな魚や虫まで数えきれない程の生き物がいたからです。

建設省では平成2年より,これまでの治水・利水といった人間中心の事業から,その開発の過程で人間が壊してしまった自然を復元していくため「多自然型川づくり」の推進に取り組んでいます。
複雑なシステムによって成り立つ自然そのものは,人間が新たに作りだせるものではありませんが,ある程度までその環境を人工的に整えることによって,後は自然界が自らの力により復元していこうというものです。
いわば人間と自然界との共同作業による川づくりと云えます。
この様ななか,今年度も電気ビルにおいて,約300名の参加者により「第7回うるおいのある川づくりコンペ」が開催されました。
地域住民の参加により完成した例,苦労したことや,失敗例など,設計から完成後の追跡調査に至るまでの幅広い,19課題の事例が報告されました。
今,河川に携わる人たちは重要な岐路に立たされています。これから私たちの進むべき道によって,河川の姿も大きく変わります。そういう重要な立場にいることを河川に携わる人,一人一人が“川の大切さ・有り難さ”を十分に認識し今までに築き上げた土木の技術を,人間本位の河川改修から生物と共存できる河川の改修へと生かしていかなければなりません。
そのためには,出来るだけ自然に逆らわず,自然の力を利用しその力を生かした川づくりを学ぶ必要があると考えられます。

「多自然型川づくり」については,今後幅広い情報や,意見の交換を行いながら,進めていかなければなりません。この「うるおいある川づくりコンペ」もその一つの参考資料と位置づけて,今以上に盛り上げていきたいと考えています。

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