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「ふくおか水もり自慢!」

福岡県 土木部
 河川課 主任技師
奥  達二郎

1 「ふくおか水もり自慢!」とは?
近年、森や山林の保全活動、河川愛護活動、海岸の保全活動、及び地域づくりなど様々な団体が豊かな福岡県の自然を守り伝えていくために福岡県で活動しています。各々の活動内容や事業は地域に根ざし個性的なものがたくさんあり、市民の関心の高まりと比例するようにその活動・事業の場や形態も多様化しています。しかし、それぞれに課題を抱え、活動や事業の継続が危ぶまれている事例もあります。河川を例に見ても、お互いの交流がない為に、活動の場が同じにも関わらず個々で活動して大きな力となっていない例や関係機関と市民の合意形成に苦心している例などが生まれています。
「ふくおか水もり自慢!」は、「ふくおか(福岡)」県内の「水」・「もり(森)」(例:山林、川、ため池、水田、水路、海、干潟など)に関わる活動をしている団体(市民団体、NPO、国、地方自治体、企業、法人など)が一堂に会し、その結果、異分野交流や行政と市民団体のパートナーシップを促進するとともに、他の団体の活動状況や手法を学び、今後の活動の糧とします。
そして、福岡県にある豊かな自然と人間が共存していくために必要な考え方や取り組みを一緒に検討していく場です。検討した結果、お互いの活動を称えあいます。
なお、福岡県は「川のネットワーク推進事業」として、「ふくおか水もり自慢!」や「ふくおか
川の大掃除」をNPO法人や市民団体などと協働して行っています。

図-1 「水もり自慢!」の効果イメージ図

2  「ふくおか水もり自慢!in柳川」の開催報告
平成19年2月17日(土)~2月18日(日)の2日間、柳川市総合保健福祉センター「水の郷」にて、第3回「ふくおか水もり自慢!in柳川」が開催されました。
○全体セッション
1団体につき発表時間は3分で、団体の活動や発表内容をまとめたポスター(パネル)を事前に作成し、ステージに掲示して発表します。
3分以内であれば発表方法は自由で、模型を使ったり、漫談、踊り、歌、人形芝居など、各団体ごとに色々と工夫します。

写真-1 全体セッションの発表風景

○ポスターセッション
全体セッションのグループ別に、1グループあたり15分間、ポスター(パネル)を使って屋台形式で発表します。参加者は全体セッションでの各団体の発表内容を参考にし、興味をもった団体の場所に行き、発表者と直接意見交換をします。

写真-2 ポスターセッションの発表風景

○ミニ討論会
テーマごとに会場を分け、関心のある問題・課題について少人数での意見交換を行います。今回は「歴史」「森」「金」「生物」「食」「遊」の6つをテーマとして、テーマごとに配置されたコーディネーター(学識者など)を中心にそれぞれの活動や問題・課題について意見交換を行います。

写真-3 ミニ討論会の風景(テーマ:森)

○交流会
全体セッションでの話題を肴に、同じ川の仲間、水環境仲間としての団体・個人の交流を深めます。地域をPRする自慢の食べ物や飲み物の差し入れもあり、毎回交流会は大いに盛り上がります。

○全体討論会
ミニ討論会の討議結果を各テーマのコーディネーターに3分程度で報告してもらいます。今回の水もり自慢を通して見い出された活動や事業のキーワードを探るとともに、これからの福岡県にある豊かな自然と人間が共存していくために必要な考え方や取り組みなどについて、総合コーディネーターを中心に会場全体で議論します。

写真-4 全休討論会の会場風景

写真-5 全体討論会の風景
(総合コーディネーター:九州大学・島谷教授)

○表彰式
参加者全員の「選好」投票を行い、各賞の受賞団体を決定します。「選好」投票は順位や優劣を付けるものではなく、発表や意見交換を通した合意の深まり、学びあいのまとめとして、投票を行うものです。
今回は国土交通省筑後川河川事務所の「刈草の堆肥化、ゴミの投棄、住民との連携」が「ふくおか水もり自慢!」大賞を受賞しました。プレゼンテーションの工夫と行政と住民間の刈草堆肥化に対する連携が高く評価されました。

図-2 「水もり自慢大賞」受賞団体ポスター

3 今後の課題
平成16年度から開催してきた「ふくおか水もり自慢!」も今回で3回目が終わり、徐々にイベントとしての成熟度も高まってきた反面、いくつかの課題も浮き彫りとなってきました。今後はこのような課題を「ふくおか水もり自慢!」実行委員会を中心に継続的に検討していかなければなりません。
① 発表団体や参加団体の固定化
この現象は「ふくおか水もり自慢!」だけではなく、他の水環境に係るワークショップでも同様の傾向となっており、新規団体の開拓を行っていく必要があります。「ふくおか水もり自慢!」の主旨であるさまざまな団体間の連携の拡大や異分野交流のためには、もっといろいろな団体に参加してもらう必要があります。そのためにも、関係機関からの、推薦や応募の呼びかけについてより一層の協力体制の充実が急務となっています。
② 広報活動の強化
今回は、福岡県教育庁に依頼し、県内すべての小・中・高校に案内や応募のチラシを配布し、広報活動を行いましたが、次回からはもっと新聞・テレビなどのマスコミに取り上げてもらえるように、広報活動を工夫していく必要があります。
③ 開催費用の確保
次回までは、福岡県の「川のネットワーク推進事業費」から「ふくおか水もり自慢!」の運営費を支出できますが、これ以降の予算確保は不透明な状況です。そこで、国などのシンポジウム等に対する助成金制度の活用、企業などからの運営資金の提供、関係機関での「ふくおか水もり自慢!」運営基金の設立などの様々な可能性を模索していかなければなりません。
④ 小・中学生の参加の促進
今後、県内の森や山林の保全活動、河川愛護活動、海岸の保全活動、及び地域づくりなど、豊かな福岡県の自然を守り伝えていくための様々な団体の活動を継続的に行っていくためには、次世代の育成が重要となっています。そこで、「ふくおか水もり自慢!」で世代間の連携の構築が必要となると思われるため、教育関係機関と協議し、引率の体制や費用についての環境整備を行っていかなければなりません。

4 おわりに
第4回「ふくおか水もり自慢!」を福岡県の中心に位置する筑豊ブロックにて行います。開催時期や開催場所については、現在「ふくおか水もり自慢!」実行委員会にて検討中でありますので、決定後、関係機関への広報活動を開始する予定です。

(お問い合わせ)
  福岡県土木部河川課企画調査係 担当:奥
(電 話) 092-643-3668
(メール) oku-t0330@pref.fukuoka.lg.jp

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