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川内川管内排水機場ポンプ設備の改善計画について

国土交通省 九州地方整備局
川内川河川事務所 機械課長
小 柳 典 親
1 はじめに
川内川は,源を熊本県球磨郡あさぎり町の白髪岳(標高1,417m)に発し,宮崎県えびの市を西流し,鹿児島県に入り,伊佐盆地で支川羽月川を合流し,鶴田ダム湖を経て中流山間部,川内平野を貫流し東シナ海へ注いでいる。
流域は熊本・宮崎・鹿児島の3県にまたがり,幹川流路延長137km,直轄管理区間総延長131.6km,流域面積1,600㎢の九州屈指の大河川である。
川内川流域の気候は,上流部が西九州内陸型,下流部が西九州海洋型気候に属し,台風の常襲地帯である。年間降水量は約2800mmに達する多雨地帯で,過去の洪水原因は,台風性のものが約30%,梅雨性によるものが約70%の割合となっている。
川内川の既往洪水については,洪水記録が整理され始めた1500年代から現在に至るまで,約200回を超える記録があり,平均2年に1回程度で洪水が発生している。近年では,昭和40年代に大きな洪水が頻発し被害を受けている。なかでも,昭和46年・昭和47年は続けざまに大きな洪水が発生し,壊滅的な被害を受けた。最近でも,平成元年,平成5年,平成9年と大規模な水害が発生し,甚大な被害を受けている。
こうした洪水を受けて,川内川管内においても内水排除施設として昭和40年代から排水機場の建設がなされ,建設後30年を経過する施設が増え,老朽化及び信頼性の低下が見受けられることから,ポンプ設備の機能改善を図ることとした。

2 改善計画策定の手順
川内川管内の排水機場(陸用ポンプ,救急排水機場)は表ー1のとおりである。
今回の管内排水機場の設備改善計画の策定において,次のような手順で整理することとした。
①現状把握(現地調査,ヒヤリング及び記録・履歴等資料調査)
②排水機場の機能改善事項の整理
③改善計画策定

3 現状の把握
各機場において,現地調査,操作員ヒヤリング,及び記録・履歴等を調査し,機場毎に整理を行った。ある1つの機場を例として,表ー2及び表ー3に問題点の整理分析表を示す。

4 機能改善事項の整理
各排水機場の問題点を解決するための機能改善となる技術抽出に当たっては,図ー2に示す基本方針に基づき,新技術の導入,アセットマネジメントの概念付加させることを視野に入れながら整理を行った。
排水機場を資産と捉え,排水機場を構成する設備の状態を客観的に把握・評価し中長期的な資産の状態を予測するとともに予算的な制約の下でいつどのような対策をどの時点で行うのが最高であるかを決定する事が重要なポイントとなる。

機能改善となる技術の整理は排水機場と救急排水機場を区分し,前述で分析した問題点を信頼性の維持向上,操作性・操作環境の向上および運用・維持管理レベルの向上に分類して解決手段として有効な技術項目を抽出した。
整理した結果を表ー4及び表ー5に機能改善技術一覧表として示す。

救急排水ポンプは設計思想が常設を前提としておらず寿命,耐久性の面を犠牲にするかわりに設備の軽量化等の機動性を重視しているものである。したがって救急排水ポンプではアセットマネジメントの概念を考慮する事項は少ないが,主に適切な整備の実施や除塵機設置等の運転環境の改善による延命化が主体になると考える。一方,排水機場の場合,主機は一様の耐久性および構造面,システムに関する新技術があり,さらに状態監視機能充実による適切な時期に整備をすることによってLCC(ライフサイクルコスト)低減効果が期待できる。

5 設備改善計画
各排水機場の現状と問題点をふまえ,機能改善となる技術の抽出を行った結果,基本的な改善方針は図ー3のようなイメージとなる。

機能改善については,対応に対する緊急度の重みをレベル分けし,必要最低限の更新計画とすることでコスト縮減を図るべきである。
改善計画は,改善の緊急度に応じて早急に行うものを短期計画,中期計画,長期計画と分類する。なお,短期計画は早急に行う事項,中期計画は6~10年後に実施,長期計画は11年以降に実施するものとした。
短期計画としては,信頼性の維持であり,既存の設備に対し若干の改造にて実施できる事項として「排水能力の増強(排水機場)」「設備の延命化」「管理運転の適正化」「主ポンプの満水待化機」「耐腐食性の向上」および操作員からの要望の強かった「動線の確保」「照度の確保」「操作員への配慮」とした。
ここでアセットマネジメントの概念として最も重要となるのが「設備の延命化」である。設備の延命化に関しては,更新を行うのではなく,適切な時期に整備を実施し,機能回復を行っていくことが重要である。
排水機場において,特に重要な機器と考えられている設備としては主ポンプ,減速機原動機といったパワーラインと操作制御を行う盤類である。そのためにはセンサーを導入し傾向管理していくことが有効である。また,センサーを導入することで遠隔における状態監視も容易となることも利点として挙げられる。この2点から効果的なセンサーを導き出したものが表ー6である。

さらに,中期計画としては,操作性・維持管理性の向上を目的とし,新たな設備の導入による「運転支援装置の導入」「誘導式操作盤の導入」「排水能力の増強(救急排水機場)」「操作場所の統一」「自動除塵機の設置」とした。
長期計画としては信頼性の向上,理想的な機場への転換を目的とし,新たな設備への更新や導入による「機器の簡素化」「広域監視操作システムの導入」「防雷システムの導入」「機器の低騒音化」とした。
以上のような分類方法により,各機場毎に問題点に対する改善計画を立てた。その一例を図ー4に示す。
ただし,これらは必ずこの時期に実施するというものでもなく,設備の状態を考慮しつつ,機場毎に決定することが重要である。

6 おわりに
今後,30年~40年前に建設された施設の老朽化等により,大規模な修繕を実施しなければならない施設が増加する。予算も厳しいなか,設備の機能維持していかなければならないが,設備を延命させるためには,タイムリーな整備を行い,機能回復を行っていくことが重要である。そのためには機器の適切な状態把握(機器から発見された情報を的確に把握)を行うことがタイムリーな整備につながり,延命化させることで,LCCの低減が図れることとなる。

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