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九州地方整備局における働き方改革を支援する取り組みについて

国土交通省 九州地方整備局 
企画部 技術管理課 課長補佐 
山村覚

キーワード:働き方改革、週休2日、書類の統一化、生産性向上

1.はじめに
建設産業は、地域のインフラの整備・維持の担い手であると同時に、地域社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手として、なくてはならない存在です。また、基幹産業として地域の雇用を支えると同時に、地方創生にも貢献する重要な役割を担っております。
その一方で、建設現場の技能者数の減少、10年後には団塊世代の大量離職により人手不足に陥る課題が差し迫っています。さらに、建設業の将来を支える若年層(29才以下)の割合は、全国でも九州でも約1割という状況であり、建設業における担い手不足は、深刻な課題となっています。若年入職者の確保・育成を喫緊の課題として、働き方改革の取り組みを進めていく必要があります。
また、就業者・時間当たりの労働生産性という視点でみた場合、全産業や製造業では上昇傾向にあるのですが、建設業については、20年前からほぼ横ばいで生産性は向上していません。建設産業が抱える人手の減少による労働力不足や中長期的な担い手の確保・育成等の課題に対応するためには、これまで以上の生産性の向上が求められます。

2.若者が建設業に就職・定着しない主な理由
若者からみた建設業に入職したくない理由を以下に示します。

【収入・福利面】
・収入の低さ
・社会保険等の未整備
【休日確保や労働環境】
・仕事のきつさ
・休日の少なさ
・作業環境の厳しさ
【働くことへの希望、将来への不安】
・職業イメージの悪さ
・仕事量の減少への不安
※建専連「建設技能労働者の確保に関する調査報告」から入職しない理由のアンケート結果より

3.働き方改革の3本柱
建設業の働き方改革を進めるため、国土交通省は2018年に「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定しています。「長時間労働の是正」、「給与・社会保険」、「生産性向上」の3本柱について関係者が認識を共有し、密接な連携と対話の下で施策を展開しています。
公共工事の発注者は、適正な工期設定のため施工条件の明確化に努め、あわせて週休2日工事を拡大することで休日の確保の実現に努めなければなりません。
また、受注者、発注者がともに楽になるよう手法の改善や様々なツールを活用して生産性の向上の取り組みを確実なものとしていかねばなりません。

4.週休2日の取り組み
建設現場における休日確保の現状は、概ね半数が「4週4休以下」であり、4週8休は、1割に届いておらず、4週8休の実現に取り組める環境整備が必要です。
令和2年度より現場閉所の状況に応じた労務費、機械経費(賃料)、共通仮設費、現場管理費の補正係数を改訂しました。受注者希望方式における積算について、これまで現場閉所の達成状況に応じた設計変更から、受注者指定方式と同様に当初予定価格から4週8休を前提とした補正係数を見込む積算方法に見直しました。
そのほか、九州地方整備局では、工事成績において、週休2日を達成した工事、週休2日の確保に向けた企業の取り組みを加点評価しています。
また、九州・沖縄ブロック土木部長等会議メンバー(九州地方整備局、沖縄総合事務局、8県及び3政令市)が相互に連携し、令和2年4月1日以降入札手続きを開始する工事より、週休2日を達成した工事に証明書を発行しています。この証明書は、共通様式を用いることで、総合評価等において各機関の工事実績を相互活用可能となり、各機関の週休2日の普及・拡大を期待するものです。また、全県で県単位の統一現場閉所日を設定することとしています。

5.施工条件の明示
建設業団体等から明示する条件の不足や不明瞭さ等、「施工条件」に関する意見が多数寄せられているため、適切な条件明示の徹底を図る目的で、「土木工事施工条件明示の手引き(案):令和元年11月」に条件明示の記載例等をまとめ、九州地方整備局のホームページに掲載しております。
発注者の責務として、引き続き施工条件の明示に努めて参ります。

6.工事検査書類の限定
監督職員と技術検査官の重複確認廃止の徹底及び受注者の説明用資料等の書類削減による効率化を図るため、完成および中間の工事検査における検査対象を10書類に限定しています。具体には、①施工計画書、②施工体制台帳、③工事打合せ簿(協議)④工事打合せ簿(提出)、⑤工事打合せ簿(承諾)、⑥出来形管理図表、⑦品質管理図表、⑧材料品質証明資料、⑨品質証明書、⑩工事写真に限定して資料検査を行っています。
ただし、「低入札価格調査対象工事」又は、「監督体制強化工事」は対象外、施工中に監督職員より文書等による改善指示が発出された工事は対象外となります。

7.工事書類の統一化
発注機関毎に工事関係書類の様式が異なることによる作成手間の軽減を目的に、九州・沖縄ブロック土木部長等会議メンバー(九州地方整備局、沖縄総合事務局、8県及び3政令市)が相互に連携し、現在使用している九州地方整備局の43の工事関係書類の内、当面26の書類を令和2年度中に統一様式に移行していくこととしています。なお、この統一様式は、九州地方整備局のホームページから活用することができます。

8.i-Constructionへの取り組み
国土交通省は2025年までに、建設現場の生産性の2割向上を目指しており、i-Constructionの柱として掲げられている建設現場へのICTの導入によって、測量、施工、検査などの工程で現場作業の高度化や効率化され、これまでより少ない人数や日数で同じ工事を実施することが可能になります。
令和元年3月、全国初の取組みとして、九州・沖縄ブロック土木部長等会議メンバーである国、県及び政令市が土工を含む土木工事のうち発注規模が一定規模以上の工事をICT活用工事の対象と定め、建設事業の大半を占める地方公共団体発注工事への普及・浸透に取り組んでいます。
令和2年4月1日以降入札手続きを開始する工事より、ICT活用証明書を発行しています。この証明書は、共通様式を用いることで、総合評価等において各機関の工事実績を相互活用可能となり、ICT活用工事の更なる普及拡大を期待するものです。

9.「働き方改革促進優秀施工業者」表彰の新設
建設業界の週休2日の取り組みを支援するため、令和2年度九州地方整備局国土交通行政功労表彰「働き方改革促進優秀施工業者」部門を新設し、18社を表彰しました。
この表彰は、受注者希望方式(工事契約後に受注者が週休2日を実施するか任意に選択できる発注方式)で、工事期間において4週8休以上の現場閉所日を確保した工事、かつ、令和元年度に完成した九州地方整備局(営繕部・港湾空港部除く)発注工事の中で優れた成績を収めた工事を表彰しました。
なお、表彰実績は総合評価落札方式の企業能力の評価項目で活用、他の表彰部門と同様に活用します。

10.おわりに
よりよい地域インフラを整備し、近年頻発する災害への対応に加え、地域インフラの老朽化に伴う効率的な維持管理に対応するためには、事業プロジェクトの生産性向上(効率化)のため、公共事業に携わる受発注者双方が業務効率化の意識を高め、仕事量が軽減される(楽になる)よう、働き方改革を支援する取り組みを進めていく必要があります。
建設現場に時間的ゆとりと、より快適な職場環境を実現することにより、建設業の未来を担う若者に対しても建設業の魅力を高めることが期待されます。

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