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Ⅰ「九州建設技術開発会議」と九州における技術開発への取り組み

1 はじめに
「今なぜ技術開発か」については本特集において多くの皆様から述べられているところでありますが,九州また九州地建において標題のような技術開発にむけた取り組みを開始した背景等について要約すると
一つには,近年の国民意識の高度化,多様化の中で社会生活環境を支える住宅・社会資本においてもより高質な豊かなサービスヘのニーズが高くなってきていること,また地球環境をはじめ資源のリサイクルや生態系への配慮など自然にやさしい環境へのニーズが高くなってきていることなどにむけた技術面からの対応という側面である。
二つには,未だに低い水準にある我が国の住宅・社会資本の整備水準を早急に改善するため「公共投資基本計画」にそって公共投資の拡大を図っていくなかで,前述の諸ニーズに的確に対処しつつ円滑な推進を図っていくための技術の応用による生産性拡大や健全生産といった側面である。
三つには,これら建設投資を実務面で支えている建設産業が当面している若年技術者や労働者離れなどに代表される深刻な課題の解決にむけた技術面からの支援である,近年の建設産業の若年者離れの背景には,我が国の産業の高度化,多様化や国民の労働ニーズの変貌の中で労働時間や雇用条件,雇用形態,労働環境,労働イメージなどの面において相対的に立ち遅れてきていることがあり,技術面からこれらの改善を支援する側面と,人不足や高齢化が進展する中で,いかに技術をもって生産性をあげていくかという前述とも関連する側面である。
これらにむけた技術開発は当然のことながら地方ですべてを推進できるものでなく,中央での推進とタイアップしつつ地方におけるニーズの中央への提供と比較的,身近な技術の創意工夫や新技術の普及にむけた取り組みなどが地方の大きな使命であり,またこれらの推進にあたり産,官,学が密接な連携を持つことにより各立場における技術開発への意識の高揚と地方業界の活性化,さらには技術者の資質向上につながることを期待して今般の取り組みを始めたものである。

2 九州における技術開発への取り組みの視点
今般,地方における技術開発推進の枠組みを考える課程で意識した視点は
一つは,公共投資の拡大推進を図る行政側と実務執行の立場にある産業側との連携を強化することにより,それぞれの立場からの問題意識や技術開発へのニーズ,具体技術の開発普及にむけた役割等について率直な意見交換や協議を行いより適切な技術開発にむけた意識,姿勢を培養していくことである。
二つは,公共工事分野での技術普及を推進するためには,我々公共技術者自体の技術開発・普及に対する正しい理解と認識が不可欠であり,これらの意識を組織の裾野まで幅広く浸透を図るとともに,これらを通じ技術者の技術力の向上と,より適切かつ効果的な公共事業の推進に寄与していくことである。
このうち前者は産・官・学から構成される九州建設技術開発会議の発足につながるものであり,後者は地建内の各組織に設置する技術開発推進室を中心とする行政側での技術開発・普及にむけた体制の稼働である。

3 技術開発にむけた九州での組織体制とこれまでの活動概況
① 九州建設技術開発会議
当会議は九州における建設関連業界と建設行政部局(地建,県,政令市)を結集し技術開発にむけたニーズの集約や開発・普及にむけた取り組み等全般について意見交換や協議等を行う会議として発足したものである(図ー1参照)。

当会議については昨年11月に今後の技術開発にむけた産・官での懇談会を開催した際に双方から必要性が認識され本年2月に発足したものである。懇談会以降,準備会,委員会,幹事会各1回を開催し技術開発や既開発技術の活用等にむけたニーズの収集と今後の取り組みにむけた検討を行い,今後個別部会および小部会において個別テーマ,課題ごとに中央との連携,指導を得つつ開発,改良等の検討を行っていくこととしている。
また議論の過程では全国業界からはより高質な技術にかかる提案が,地方業界からは省人,省作業,省時間,耐天候等の提案が多く出され各業界の当面するニーズがまさに反映されているものであった。
当面部会または小部会等で議論をおこなっていくテーマとして現段階では表ー1のような課題が提案されており今後,各課題の具体内容の掘り下げを行う。このように当会議の取り組みはまさにこれからであるが,これまでの成果としては,業界や行政でかかえるさまざまな問題意識が共有できてきたことや地方業界の力としては「座して待つ」といった認識から「力を合わせば可能かも」といった意識や自信が生じつつあること,また建設事業を支えている製品,資材等の業界においても,技術開発にむけ行政と建設業界との連携で取り組む枠組みが出来たことへの大きな期待と専門業界全体としての意識の高揚が出ていることである。

また,これらの議論を県等の地方公共団体の理解と参加を得て推進していることが業界の評価にもつながっているものと考えている。
② 技術開発推進室を中心とする行政側での技術開発体制
開発した技術を的確に普及へとつなげていくためには技術の試行段階での取り組みや標準技術となった後の活用取り組みがもう一つの重要な過程であり,これらは事業を担当する技術者の意識,認識によるところがかなり大きいと考えられる。新しい技術の適用を「拒む」部分も未だ無いとも言えない現状であり,産業界が当面する諸課題への技術面からの対処などは裾野広い行政組織の中ではまさに今後の課題である。
また行政組織としても全体として「技術のあり方」を考える部分が組織で薄いことや,外部からは窓口等が明確でなく得た情報等も消滅しやすいなどの課題を有している。
このような問題意識のほか前述の九州建設技術開発会議での検討を行政組織の裾野広い領域で受け止め,普及や開発の実務を担っていくと共に,これらを通じ技術者資質向上にも貢献することを意識して地建体制の整備を図った。
行政全体としての連携についてはこれらの成果を見つつ深めていく予定である。今回,地建において設置した技術開発体制,役割のイメージは図ー2に示すように,技術開発推進室は技術開発・普及にかかる対業界等への窓口機能と組織内での指導,調整,支援機能と情報蓄積,提供機能を持ち,テーマ別ワーキングは新技術等の具体事業への展開を関係組織間で議論調整すると共に,幅広い技術者層の技術力向上と組織間の連携強化を狙うものである。また上位に設ける技術開発会議,同幹事会はこれらの体制での幅広い議論をへて検討された開発や活用計画について地建全体として総括指揮するものである。これらの体制は前述の九州建設技術開発会議の活動とも連動しているものであり,この会議の発足と同時に公表し稼働している。これまでの活動成果は企業等から寄せられる技術提案が中心であるが,今後これまでの技術提案情報や従来より蓄積されている新技術情報等をベースに本局,技術事務所,事務所等において幅広い技術職員層にむけた企業説明会の実施や本年度以降の具体事業への新技術応用等について活動していく予定である。

4 おわりに
技術開発の立要性と期待が大きくなっている今日の建設事業を取り巻く諸情勢の中で本省をはじめとする中央での取り組みとタイアップし今回,地方の立場からも裾野広い技術開発への取り組みを開始した。またこれらの検討や成果の反映を通じ地方業界の活性化や技術力向上と我々地方技術者の資質向上を図ることにももう一つの大きな狙いをおいたものである。
技術開発は前にも述べたように,地方の力のみで出来るものではなく,また各体制での検討もまさに始まったばかりの段階であり,今後ますます本省をはじめ中央機関の知識やノウハウを必要としている。地建としても今後中央機関の指導と連携を得つつ九州の幅広い領域で技術開発にむけた取り組みを地道に推進してまいりたいと考えており,これらがより豊かな九州づくりにつながると共に,九州の関係業界が当面する諸課題の克服にも大きく貢献していくことを期待しているものである。

II 九州地方建設副産物対策連絡協議会

1 設立主旨
建設工事に伴い発生する建設残土や建設廃棄物などのいわゆる建設副産物の利用,再生利用を促進し,もって九州地方での資源の有効活用と建設工事の円滑な推進を図るため,九州地方の建設事業に関連する機関において「九州地方建設副産物対策連絡協議会」を平成3年5月15日に発足し,建設副産物の利活用および対策にかかる情報の収集交換,協議,調整等を行ってきている。以下に当協議会の構成,これまでの活動状況,また今後の活動方針などの概要について延べることとする。

2 協議会構成
協議会は当面,主要建設事業を担当している以下の公共機関で構成し発足している。
「構成機関」
九州地方建設局,福岡県,佐賀県,長崎県,熊本県,大分県,宮崎県,鹿児島県,福岡市,北九州市,日本道路公団福岡建設局,水資源開発公団筑後川開発局,住宅都市整備公団九州支社,福岡北九州高速道路公社の14機関。
・協議会長 九州地方建設局長,委員,各構成機関担当部長等
・幹事長  九州地方建設局長,企画部長,幹事,各構成機関担当課長等
尚,副産物対策の具体の推進に際しては建設業や処理業界また他の公共事業執行機関との連携等が必要であり,これらの諸事項については幹事会の中に部会を設置し関係業界等との連携を図っていくこととしている。

3 協議会での活動方針と平成3年度の活動状況等
九州地方建設副産物対策連絡協議会では協議会設置主旨にかかる諸事項の推進に関して以下の主要検討事項を検討していくこととしている。
① 協議会での主要検討事項
・建設副産物対応の現状,問題点等の把握に関すること
・建設副産物の情報収集集約,情報交換,利活用協議調整に関すること
・再生処理施設,ストックヤード等の現状および立地整備方策に関すること
・建設副産物活用における技術基準,技術開発等に関すること
・建設副産物対策推進の関係行政機関の担当組織,窓口に関すること
・関係行政部局での建設副産物対策推進に関すること
・建設副産物にかかる情報システム等に関すること
・関係業界の啓蒙指導,現場技術者の教育研修等に関すること
・建設副産物の利活用意識の高揚に関すること
② 平成3年度の活動状況
平成3年度は協議会発足以降委員会,幹事会を開催し以下に掲げる事項の検討,調整をはじめ今後の対策推進にむけた問題点,課題等の検討を行ってきた。
・関係行政機関における建設副産物対策担当組織,窓口の整備
・建設副産物対策の各機関における現状および問題点等の収集交換
・建設副産物の実態調査(全国一斉調査)および実態分析
・再生処理施設および再生資材の実情調査
・直轄工事における再生資源活用の運用開始
・建設残土簡易情報システム(案)「パソコン型」の制定
・建設副産物対策講習会の開催
・リサイクル推進月間における活動   など
③ 九州地方における今後の建設副産物対策にむけた課題等
・建設残土のより有効な利用にむけた取り組み
・残土情報の収集集約システム
・残土利用の調整システム
・軟弱土等の改良品質基準
・残土ストックヤード   など
・再生利用の有効な推進にかかる再生処理施設の立地,稼働
・再生処理施設の適切立地
・再生処理技術と再生資材品質
・再生資材の品質利用工種等
・再生資源ストックヤード
・再生資材の安定供給   など

4 協議会の今後の活動方針等

① 残土情報簡易システムの稼働と利用調整
残土の利用促進に関しては本年度よりパソコン型の簡易システムにより協議会構成機関および各県下市町村の所管公共工事での残土発生,利用予定等の情報を集約し利用促進への対応の調整を図ることとしている。具体の調整は協議会の下部組織として各県毎に「建設副産物対策各県推進部会」を設置しストックヤードなどの手立てを含めた利用の促進方策の協議調整や具体の利用調整等を推進する。尚,推進部会での検討方針を受け個別,具体の利用調整を図るため推進部会の下部組織として個別エリア毎の利用調整分科会を置く。
「各県推進部会」の構成
・推進部会長 土木部次長
「委員」 ・国,公団の関係出先事務所副所長等
・県の建設事業関係部関係課長土木事務所次長
・関係公社担当部長
・主要市担当部長
・推進部会幹事長 土木部技術管理担当課長
「幹事」 ・委員構成機関の担当課長
「利用調整分科会」
・推進部会の検討方針に沿い,個別エリアでの具体の利用調整等を推進するために土木事務所単位程度の利用調整分科会を設ける。
・分科会長  土木事務所次長
・委 員   幹事会の関係メンバー+エリア内全市町村担当課長
② 今後の建設副産物対策のマクロな推進方策の検討,調整
平成3年度の実態調査の解析等をへて今後の建設副産物対策のあるべき方策についてマクロな見地から幹事会の中で検討を行う,またこれらに際しては幹事会レベルで関係業界等との意見交換をも踏まえつつ検討を行っていく。
③ 再生資材の技術検討
再生処理施設の処理技術や再生資材品質等の現状を踏まえ再生資材の活用促進にむけた品質基準や活用場所また品質の安定や安定出荷にむけた施設や技術について検討を行うために幹事会の中に関係業界や学識経験者等を含めた技術部会を設け技術検討を行う。
④ 再生処理施設立地整備方策の検討
九州地方の現状においては再生資源のリサイクルを推進する上で,再生技術を備えた処理施設が福岡周辺を除き非常に少ないという実態にあり,再生資源の利用促進にむけ健全な処理技術を備えた施設の立地,整備が課題である。このためこれら幹事会に中に施設部会を設け施設の立地整備方策について関係業界等との連携,調整を図りつつ検討調整を進めていく。
⑤ 残土および再生資源,資材情報システムの構築検討
今後の建設副産物対策のより的確な推進を支援するために残土情報および再生資源,資材情報のシステムのあり方等の検討を行い,平成4年度をメドにシステム設計やシステム構築方策の検討調整を行う。

5 九州における建設副産物実態調査結果(平成2年度)概要
(1)九州地域の状況
1) 地域の特徴:公共工事,設備投資の高水準な推移から建設活動は堅調に推移している。
① 建設発生土の公共工事等での再利用率は全国平均(約25%)に比べ九州は低い(約20%)。
② 建設廃棄物の再利用率は全国平均(約35%)に比べ九州は低い(約20%)。
③ 九州の対全国に占めるシェアは,工事額シェアより搬出量シェアが高く,工事額当り搬出量は全国平均に比べ九州は高い。

2) 各県別の状況
① 搬出量について
建設発生土については,突出して搬出量の多い地域はないが,建設廃棄物については,福岡が31%を占めている。
② 利用状況について
・建設発生土のうち,海面埋立工事や内陸部公共工事等での利用は,佐賀,福岡,長崎が全国平均並で,他は全国平均以下となっている。
・建設廃棄物の再利用は全国に比べ,九州全体としては遅れているが,長崎県では全国平均を上回っている他,福岡県,佐賀県も全国平均に近い。
③ 運搬距離
九州は全国平均に比べ建設発生土,建設廃棄物とも運搬距離は短いが,九州の中では都市化が進んでいる福岡県が,運搬距離は長い。

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