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三隈大橋の場所打ちコンクリートバックによる橋脚根固め工

建設省大分工事事務所道路管理第二課
 維持修繕係長
松 本  強

1 はじめに
三隈大橋は,昭和27年に一般国道210号大分県日田市竹田の筑後川に架設された橋長133mの3連続曲弦トラス橋である。本橋は平成7年7月の異状出水により,P1橋脚(左岸側橋脚)の基礎部およびP2橋脚近傍まで洗掘された。特にP1橋脚(ケーソン基礎)は洗掘状態が基礎底面の一部にまで及んでいた。このため,当橋の安全性の確保が懸念され,同年8月,全面通行止めを行い応急復旧工事を実施した。その後,10月から本復旧工事を施工した。今回,復旧工事においてコンクリートバック工法を考案し,桁下空間に制限がある場合や桟橋等の仮設工の構築が困難,水質汚濁の問題などこれらに対応できる工法として採用した。本稿は,この施工について紹介するものである。

2 現 況
日田市竹田地区を流下する筑後川は,三隈大橋下流にある島内堰の影響により普段は非常に穏やかに流れ水深は2~5m程度である。
初夏から初秋にかけて,あゆのやな漁も行われ温泉と合わせて九州でも著名な観光地の一つである。しかし,出水時にはその変貌ぶりは大きく特に,三隈大橋上流30m程の左岸側河床は,岩塊が多く積在した地形になっており出水時において乱流を発生させ,P1橋脚洗掘の起因となっている。

3 被害状況
被災した場所は,P1橋脚河川中央側でケーソン基礎の底盤の一部まで洗掘されている事が潜水調査による目視にて確認された。基礎は岩盤に定着しているが,一部は砂礫であったためこの部分が洗掘された。

4 対策工法
対策工法は,下表の3案について比較した。

洗掘防止対策工を選定するにあたっての制約条件を列記すると
(1)橋脚位置での水深が約5mと深く,河道切替えによるドライブでの施工は困難である。
(2)流速から,算出される根固めブロックの重量は5t必要である。
(3)桁下空間の作業余裕高は約7mと,かぎられており,大型クレーン等による一括施工は困難である。
(4)基礎底面の地層はN値50以上の岩層である。
(5)当地域では,時期的にアユ漁が行われており,水質汚濁はさけなければならない。
これらの条件を踏まえ比較検討した結果,施工上の問題,作業の安全性,河積阻害,水質汚濁等を考慮し,本対策工は,“場所打ちコンクリートによる根固めブロック工法”すなわち“コンクリートバック工法”を採用することにした。

5 コンクリートバック工法の特徴
場所打ちコンクリートバック工法の施工では,形状保持をどのようにするかが問題であった。これに対しは,鉄筋(D19,D13)によって組み立てた籠と,布製バック(コンクリート打設時に耐え得る,引張強さ500kg/3cmの布地)を,図ー3の様に組み立て,その内に水中コンクリートを打設する。その特徴を列記すると,
(1)鉄筋籠の重量を100kg程度におさえ,裾付けを容易にし大型重機を不用とした。
(2)傾斜地形でも布製バックと鉄筋を結んでいるため,形状保持が可能である。
(3)布製バックの形状が一定のため,コンクリー卜量の施工管理が容易である。
(4)個々の鉄筋籠を連結金具で結ぶため,一体化が図れ,強固な根固めとなる。
(5)布製バックの内にコンクリートを打設するため流れにより拡散することもなく,水質汚濁の問題が生じない。
(6)バックは布製であるため,地形になじみやすく安定が良い(図ー3)。

6 施 工
現地への資材搬入および施工機械の作業ヤードとして築堤,桟橋等が考えられるが,水深が5m程あること,同河川内での築堤用土砂の確保ができないこと(約4000m3必要),水質汚濁,河積阻害などから,河川管理者および地元漁協の理解が得にくい。また,桟橋施工は河床が岩層であるため施工に問題がある。これらのことを考え施工は,台船を使用した工法により行うこととした。洗掘された箇所の復旧は表ー1に示す第3案にて施工した。
(1)応急復旧工
洗掘が著しいいP1橋脚は,ケーソン基礎底面の一部分まで洗掘がおよんでいるため,支持地盤として復旧させる必要があることから,ケーソン下部を水中コンクリートで固めることとした。流速は下流にある島内堰のため非常にゆるやかであるが,周りの流出を防ぐためふとん籠を型枠替りとして水中コンクリートを打設した。

水中コンクリートには,混和剤としてアスカクリーンを用いた。当初の計画では,コンクリート打設時に,ケーソン底部に空気が残ると考えていたため,ケーソン本体に抜気孔を削孔する予定であった。しかし,潜水夫による丁寧な打設で,奥までコンクリートが入ることが現場判断されたため,削孔はとりやめた。
洗掘状態発見から施工直前までの間に,洗掘された所に土砂が堆積していたため,ポンプで吸い上げ,図ー4のように整形,ふとん籠を設置し水中コンクリートを打設した。コンクリートはポンプ車により打設場所に圧送した。

拾石の投入は図ー5に示す台船を使用し,ウィンチを巻くことで移動した。(図ー5)
台船はユニフロート台船4隻を連結し,上面に保護鉄板を敷き,バックホー,ウィンチ,発電機,捨石を載せて施工した。(写真ー5)

(2)根固め復旧工
捨石投入後,敷均しを行いコンクリートバックを設置した。コンクリートバックは陸上部で鉄筋籠を組み立てその中に布製バックを固定する。(写真ー6)

コンクリートバックは軽量であるため,運搬,設置は非常に容易である。(写真ー7,8)
コンクリートバック間は連結金具にて,各々を連結し固定する。(写真ー9)

コンクリートバックの施工範囲は,土木工事設計要領(河川編)より決定した。特に上流側については,安全を考慮して根固め幅を2m以上広く施工した。P1橋脚に対しては全周,P2橋脚に対しては河川中央側の一部に施工した。(図ー6)

7 施工中の安全対策
本橋の応急復旧工事は,平成7年8月1日~8月31日の間全面通行止めにして施工が行われ安全に完了した。その後10月より8年3月の期間に本復旧工(根固め工)が完成した。
復旧工事期間中は,安全管理のため,橋脚の動態観測を行った。橋脚天端に傾斜計を設置し,橋脚に異常変異が発生した場合,工事事務所,維持出張所に緊急信号を送る通報システムを組んだ。
また,これとは別に橋脚,橋面に振動計を設置し,洗掘されている状態の振動と復旧後の振動を比較することによって洗掘の程度と振動特性の関係を明らかにし,今後の維持・管理に利用できる基礎データを得た。
詳しくは別途報告書にまとめている。ここでは概要について述べる。計測ブロック図を下記に示す。

計測したデータをスペクトル解析し,各施工時のパワースペクトル,固有振動数を比較した。計測結果をまとめたデータの一部をグラフ化して示す。グラフのCase1(実線)は,洗掘後の計測結果,Case2,3(点線)は,復旧後の計測結果を示している。Case1では橋脚基礎部が洗掘され弱くなっているため,振動数は異なるが,どのケースも振動は大きくでている。
復旧後のCase2,3は振動が小さくなっている。同時に,橋脚の固有振動数は復旧後に上昇している。これは,復旧後に基礎部が固められ動きにくくなったことで,パワースペクトルも小さくなり,また剛性が上がったことで,振動数が上昇していると考えて良い。すなわち,基礎部の復旧が確実に行われた結果である。

8 おわりに
本工事に採用したコンクリートバック工法は,施工場所の桁下空間,水深,環境問題など条件のきびしい所で,目的に合った形状に調整でき,施工上も無理がないなど,河川内で洗掘された橋脚,構造物の根固め,河床の復旧工事に採用できる有効な一工法である。

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