川内川は熊本県の球磨郡白髪岳(標高1,417m)を源流に、宮崎県の西諸県盆地(加久藤平野)を通って鹿児島県に入り、湯之尾滝を経て支川羽月川を合流し、曽木の滝から鶴田ダム、そして川内平野を下り、東シナ海へ注いでいます。長さ137km、流域面積1,600km2の九州屈指の大河川です。また、流域の人口は約20万人、農業や焼酎製造、製紙業など、川内川の豊かな水を利用した産業が盛んです。今回は、私達川内川河川事務所が平成15年度から取り組んでいる「川内川子ども環境ネットワーク」の活動についてご紹介します。
「川内川子ども環境ネットワーク」の活動は、小学生等が川に生息する生きものによって水質を調べる『生き物調査』(簡易的な薬品を使って水質を調べる『PACテスト』も実施)、又は、川の中のゴミを調べ、何処から来た誰のゴミなのか等を考える『ゴミ調査』を実施した上、その結果をまとめ、後日開催する発表会にて流域の他の小学生等の前で発表していただくものです。川の水質やゴミの実態を知っていただく事の他、川に入る体験をする事そのものが、自分たちが入る川を、よりきれいにしたいという思いを育むのではないかと考えて、実施しております。
川離れが囁かれる中ですが、生きものを探している子ども達の姿を見ていると、実に楽しそうで活き活きとしています。「川遊びは楽しかった」「身近な川に、こんなに沢山の生きものがいるとは知らなかった」「きれいな水と分かって良かった」「もっと川で遊びたい」等という感想を聞くと、こちらも幸せな気持ちになってしまいます。
この活動に参加した団体は、平成15年の開始当初は13団体(延べ人数397人)、平成16年には14団体(延べ人数375人)と増加し、今年は鹿児島市内の子ども達が川内川にまで来て調査するなど、さらに増加して21団体(延べ人数約600人。予定を含む)となっています。また、活動単位としても小学校、公民館、商工会青年部、学習塾等と年々広がりを見せております。
発表会では、「生き物調査」などを実施した後の学習の成果に驚かされます。水質と家庭排水の関係を模造紙に整理した発表や寸劇に仕立てた発表などがあり、子ども達同士のみならず、私達大人も楽しませ、そして考えさせてくれます。今後とも参加する子ども達が増え、また、その体験を家族や友達にも話して、川の楽しさや、きれいにしたいという思いが、広がっていくことが期待されます。
●「生き物調査」に先立って、その目的や調査方法、安全対策などについて説明している様子
●保護者とともに「生き物調査」をおこなっている子ども達
●捕獲した生き物を図鑑などで調べ、調査表に記入している様子
●昨年度の発表会の様子。捕まえた生きものについて詳しく調べて発表
●昨年度の発表会の様子。寸劇に仕立てた発表
●昨年度の発表会の様子。ほたるの生息やゴミと環境について発表