若者の心に届く土木・建設業の魅力、SNSで発信すべき内容とは
~福岡市立福岡西陵高校「総合的な探究の時間 アイデア屋」~
~福岡市立福岡西陵高校「総合的な探究の時間 アイデア屋」~
国土交通省 九州地方整備局
企画部 企画課 教習係
企画部 企画課 教習係
江 嶋 康 一
キーワード:土木広報、土木の魅力、SNS
1.はじめに
地域のライフラインを支える土木建設業は、道路・橋梁・河川・トンネルなどの社会インフラを構築・維持し、「地域の守り手」として安全・安心を確保する要となる。しかし、建設技能者数の年齢階層では、60歳以上の技能者は全体の約4分の1(25.7%)を占めており、10年後にはその大半が引退することが見込まれる。一方でこれからの建設業を支える29歳以下の割合は全体の約12% 程度であり、若年入職者の確保・育成が喫緊の課題である。

この課題解決の糸口を探すため、福岡市立福岡西陵高校(以下、福岡西陵高校)が実施する「総合的な探究の時間 アイデア屋」(以下、アイデア屋)に、九州地方整備局がクライアントとして協働した。令和6年5月から令和7年2月までの約10ヶ月間にわたり、次世代を担う若者の発想をお借りした。学生自ら調査・企画・提案を行った成果を紹介する。
2.アイデア屋とは
「アイデア屋」とは、福岡西陵高校の総合的な探究の時間の中で行われるプログラム名である。文部科学省より高等学校の総合的な探究の時間の目標として定められているもので、地域課題や企業のニーズを「探究→発想→提案」のサイクルで解決する実践型学習を通じて、生徒の主体性と創造力を鍛えることを目標にしている。

3. 検討概要
学生に提示した課題は「若者の心に届く土木・建設業の魅力、SNS で発信すべき内容とは」である。



4.提案内容
最終報告会では、約5分程度/ 班で発表を行った。学生は自らスライドを作成しアニメーション機能などを駆使して、大人顔負けのわかりやすいプレゼンを行った。

以下に学生からの主な意見を示す(図- 1)。

我々は、事業内容やその意義を広く周知することを目的として、各種の情報発信に取り組んできた。しかし、活動を通じて学生からは「事業動画ばかりで関心が持てず、視聴されにくい」との率直な意見が寄せられた。これにより、発信側が伝えたい内容と、受け手である若年層が求める情報との間にギャップが存在することが明らかとなった。結果として、十分に視聴されないコンテンツでは、当初の目的であった事業の効果的なPR も達成されにくいという課題が浮き彫りとなった。今後は、流行を取り入れた動画構成や、職員の1日に密着した企画など、若者の興味・関心に寄り添った発信手法を取り入れることも、認知度向上と土木・建設業の魅力発信に有効であると考えられる。
また、学生からは具体的な短尺動画の台本の提案や、ロールモデルとなりうる企業アカウントの紹介など具体的な提案がなされた。議論の中はで2分の動画でも学生からは長いという意見が出るなど若者の感覚を理解する貴重な機会となった。
5.おわりに
「アイデア屋」における福岡西陵高校1年生の挑戦は、若者ならではの柔軟な発想から、九州地方整備局の新たな広報戦略の可能性を示した。学生からの最終報告を受けて10本以上の短尺動画を作成しており、随時発信していく。学生の声を反映したコンテンツは、若者の共感をより呼ぶと期待される。
今後も、高校や大学を始めとする次世代を担う若者と連携を深めることで、業界の未来を背負う人材の獲得・育成に資する持続可能な取り組みを実現していきたい。
引き続き令和7年度も「アイデア屋」による取組を行っている。テーマは「九州地方整備局の認知度向上戦略として社会インフラや防災の重要性・魅力が伝わる仕組みを考えよ」である。継続的に取組む事で我々も次世代を担う若者の感性を理解し、若者にも求められる効果的な情報発信を行いたい。
参考文献
1)文部科学省:高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説総合的な探究の時間編平成30年7月.