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アートを楽しむ小道「SAGA ART PATH」の整備について
~佐賀城公園整備事業~

佐賀県 県土整備部
まちづくり課
公園担当 係長
竹 花 奈美子

キーワード:公園、再整備、利活用

1.はじめに
佐賀城は、もともと佐賀を治めていた龍造寺氏の村中城を鍋島直茂、勝茂親子が拡張、整備したもので慶長16年(1611)に完成した。その佐賀城址を中心とする佐賀城公園は、昭和36年に県立都市公園として都市計画決定し、その後、区域を拡大しながら整備を行ってきた(R6.12月末現在 供用面積30.4ha)。付近には、県庁・学校・図書館・博物館・美術館等といった施設が点在し、また樹齢300年をこえる楠・松等の緑、お濠など歴史と自然、文化と芸術を感じられるエリアとなっている(図- 1)。

図1 佐賀城公園全体図

2.歩きたくなる公園整備
(1)歩くライフスタイルの推進
佐賀県では、車社会になりがちな地方の生活に、歩く大切さを伝えるべく、「歩こう。佐賀県。」のキャッチフレーズのもと、歩くライフスタイル推進プロジェクトに取り組んでいる。佐賀で暮らす人はもちろん、佐賀を訪れる人にも「歩くことが楽しい」と思ってもらえるような環境づくりに取り組んでいる。佐賀市の中心市街地に位置する本公園においても、「歩くことが楽しい」公園となるよう再整備を行っている(図- 2)。

図2 歩くライフスタイル推進プロジェクトロゴ

(2)博物館南側再整備
県立博物館や美術館周辺の野外には、平成6年に整備された「古賀忠雄 彫刻の森」と呼ばれる野外展示がある。彫刻界をリードした佐賀出身の彫刻家・古賀忠雄(1903 ~ 1979)の彫刻が随所に配され、周辺環境を芸術空間として、彫刻を鑑賞できる空間となっている。しかしながら、博物館の南側のエリアについては、近年、樹木が成長し、光を遮って薄暗く見通しが悪い、また、低木の植栽で「彫刻の森」に入りづらいなどの課題があった。そこで、令和4年に再整備に着手した。
整備コンセプトは、
・彫刻を活かしつつ、人が集える空間をつくる。
・園路の配置を最小限とし、利用しやすい広場をつくる。
・連続した園路を整備し周遊性を高める。
というものである。
このコンセプトのもと、まず低木の撤去を行った。高木については専門家と現地確認を重ね、残す樹木、撤去する樹木を選定し、木陰が心地よく、見通しの良い空間になるよう設計した。
また、広場入り口付近にあった案内板も内容の更新や見通し確保のために撤去した。案内板については、並行して佐賀城公園全体でのサインデザインを検討し、統一したデザインの案内板を設置していく予定である。
再整備したエリアについては、彫刻を楽しみながら散策を楽しんでほしいという思いを込め「SAGA ART PATH(サガアートパス)」と名付け、令和5年8月に完成した。
開放的な広場ができたことにより、散策しやすい空間となったほか、イベント等にも利用していただけるようになった。
また、この広場の北側に隣接する博物館は、広場側がガラス張りになっている。博物館内部からも彫刻と開放的な広場、その向こうにお濠に浮かぶハスを眺めることができる。
様々な角度からアートと緑を楽しむことができる空間へと生まれ変わった(写真- 1)(写真- 2)。

写真1 整備前

写真2 整備後 SAGA ART PATH

(3)園路の再整備
はじめに書いたとおり、佐賀城公園は、周囲をお濠で囲まれ、お濠沿いには園路を設けている。昭和36年から整備が始まっていることから、老朽化だけでなく、「歩くことを楽しむ」観点での課題があった。このため、令和2年から園路の再整備に着手し、ここでも低木の撤去等を行い、散策しながら水面を眺められる園路とした。また、夜間照明計画も検討している。現在は高い位置にある照明であるが、足元を明るくするフットライトも配置し、昼とはまた違った夜の景観を楽しんでもらえるよう整備を進めている(写真- 3)(写真- 4)。

写真3 整備前

写真4 整備後

3.さいごに
佐賀城公園は、立地特性として都市の暮らしとともにある公園である。近年、上記の箇所だけでなく、図書館南側や博物館北側のエリアでも、元々もっている場所の魅力を活かしながら、時代に合った整備を行ってきた。これらの整備により、平日は近隣のこども園の遊び場等(写真- 5)に、休日はイベント等にも活用され賑わいが生まれてきた(写真- 6)。一方で、樹々に囲まれ、穏やかな水面を眺めながら静かに過ごせる場所も多い。心に安らぎを与えてくれる都市のオープンスペースとして、これからも人の暮らしに欠かせない存在であってほしいと願う。

写真5 こころざしのもり

写真6 博物館北側

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