水道行政の国土交通省等への移管に伴う九州地方整備局の新体制
~上下水道関連業務を一体的に河川部で所管~
~上下水道関連業務を一体的に河川部で所管~
国土交通省 九州地方整備局
河川部 地域河川課
下水道係長
河川部 地域河川課
下水道係長
袴 田 昇 佑
国土交通省 九州地方整備局
河川部 地域河川課
水道係長
河川部 地域河川課
水道係長
中 村 大 喜
キーワード:水道、下水道、水道行政の移管
1.水道行政の移管について
(1)概要
令和6年4月「生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律」(令和5年法律第36 号)が施行され、水道行政が4月1日に厚生労働省から国土交通省及び環境省に移管されました。昭和32年に、上水道を厚生省が、下水道を建設省が、工業用水道を通産省がそれぞれ所管することとした水道行政3 分割以来、67年ぶりの行政機構の転換となります。
(2)目的
水道行政の移管により、水道整備・管理行政における現下の課題である、水道事業の経営基盤強化、老朽化や耐震化への対応、災害発生時における早急な復旧支援、渇水への対応等に対し、国土交通省が、施設整備や下水道運営、災害対応に関する能力・知見や、層の厚い地方組織を活用し、水道整備・管理行政を一元的に担当することで、そのパフォーマンスの一層の向上を図ります。
(3)地方整備局の体制
地方整備局では、上下水道調整官、水道係を新設し、下水道係を建政部から河川部へ移すといった組織体制の見直しが行われました。自治体との窓口を担う水道係、下水道係を河川部地域河川課等に配置しております(図- 1)。
2.法令・予算等制度の変更点
(1)水道法等の改正
水道行政のうち、水質または衛生に関する事務については厚生労働大臣から環境大臣に、それ以外の事務については国土交通大臣に移管されました。水道法に関する事務について、両省が連携し対応することとなります。
また、水道法に規定する国土交通大臣の権限の一部が水道法施行規則に基づき各地方整備局長等に委任されたことにより、九州地方整備局は水道法に基づく届出の受理等の役割を担います。なお、水道事務における国土交通本省と地方整備局等の役割分担は(図- 2)のとおりです。
また、今般、水道事業等における災害対応等の機能強化を図るため、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づく国庫負担の対象となる施設に水道が追加されました。これにより、水道についても河川、道路、下水道等と同等の国庫負担がなされるようになり、また、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づく激甚災害の際の特別の財政援助の対象にもなりました。なお、能登半島地震における対応では、早期復旧を支援するため、本法律の補助率を前倒しして適用されております。
(2)令和6年度水道事業予算の概要
水道行政と下水道行政の一層の連携強化を図るべく、令和6年度予算では、「上下水道一体効率化・基盤強化推進事業」の創設が認められました。施設の老朽化、切迫する大地震への対応等の課題を抱える上下水道について、その相乗効果を発揮するための上下水道一体での効率化・基盤強化の取り組みを推進していくことが重要であり、その取り組みを進めるため、官民連携、新技術の活用等の取り組みへの支援を可能とする制度となっております。
また、老朽化や耐震化、経営基盤の強化等の課題解決に資する革新的技術の開発・実装を推進するため、水道事業調査費を拡充し、水道分野における革新的技術実証事業A-JUMP を立ち上げ、国が主体となった革新的技術の実証等を行うことにより、各地方公共団体での導入を促進します。
4.能登半島地震における対応について
(1)国土交通省の支援の概要
国土交通省としては、発災直後から、石川県の現地対策本部に職員を派遣するとともに、各地方整備局からTEC-FORCEを集結し、関係団体の皆様にもご協力頂き、総力をあげ対応にあたりました。
また、九州地方整備局では、上下水道施設被害状況の確認をはじめ、道路啓開や河道閉塞等に係わる連絡調整、給水車に係わるニーズ把握、交通誘導員の確保に係わる連絡調整等の支援活動を行って参りました。
5.最後に
今般の水道行政移管を受け、「清浄にして豊富低廉な水の共有を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与すること」という水道法第一条に掲げる目的を果たし続けるとともに、九州地方整備局としても上下水道一体で機能強化を図っていきたいと考えておりますので、皆様のご理解・ご協力をお願いします。