地元の魅力再発見
沖縄県 土木建築部
技術・建設業課
技術管理班 技師
技術・建設業課
技術管理班 技師
並 里 弥 生
沖縄本島北部の田舎で生まれ育った私は、18歳で車の運転免許を取ってからというもの、行ったことのない土地や出会ったことのない風景を見つけることが好きになり、自ずと地元の歴史や文化に興味を持つようになっていった。
ある日、いつものようにドライブをしていると、何気なしに「座喜味城跡」という案内標識に目が留まった。どんな所だろうと思い、向かってみると、そこには資料館らしき建物と整備された駐車場、その横に小高い松林があった。想像以上に綺麗な場所に、少し期待を膨らませ、散策しながら城跡を目指すことにした。
城跡へ続く一本道は、木々の間から太陽の光が柔らかく降り注いでおり、風も心地よく、散策するには十分な条件が揃っていた。しばらくすると、目の前に城郭が現れた。精巧に石積みされたその城郭は、波打つようになめらかな曲線を描き、歴史やお城などに興味が無かった私でさえも、思わず見とれてしまうほどの美しさであった。
座喜味城は、15 世紀ごろに読谷村の按司(あじ:その地域のトップ)である護佐丸という人物によって築城された歴史を持つ。沖縄本島中部の高台に位置し、1945年の沖縄戦中は日本軍の高射砲陣地として、その後は米軍のレーダー基地と利用されている。復帰後は、城跡の発掘調査や城壁修理が進められ、2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されている。
座喜味城跡の特徴としては、先ほども述べた美しい城郭に加え、沖縄に現存する最も古い石造りのアーチ門がある。門の強度を高めるために真ん中にクサビ石が打ち込まれており、これは他の城には見られない座喜味城独自のもので、座喜味城跡の見どころのひとつにもなっている。
また、座喜味城跡の城郭上部は、一部の区間ではあるが、登って歩くことができ、西側には青空と海が広がり、反対側は山々が連なり、自然あふれる風景を一望することができる。
ここでのおすすめは、少し肌寒くなり始めた時期の夕焼け。刻々と変わる空の色と夕焼けに染まる街並みはなんとも幻想的であり、少し肌寒いぐらいの風が、頭の中をスッキリさせ、日頃のモヤモヤやストレスを浄化してくれる。ボーっとしたい時や気分転換でたびたび訪れる私にとっての癒しの場所である。
大人になるにつれ、地元の歴史や文化などに触れることに楽しさを感じるようになってきた。最近では、シークァーサー狩りやダム湖の遊覧などが体験できる地元の観光ツアーにも参加したりする。普段赴かない場所に連れて行ってくれ、ガイドさんが説明してくれるので、とても有意義な時間を過ごすことができた。地元の魅力はまだまだたくさんある。さあ次はどこへ行こう。