国道322 号八丁峠道路トンネル貫通について
掛田信男
工藤浩一郎
工藤浩一郎
キーワード:八丁峠道路、事業効果、貫通式
1.八丁峠道路の概要
国道322 号は北九州市を起点とし、香春町、田川市、川崎町、嘉麻市、朝倉市、大刀洗町、小郡市を経由して久留米市に至る延長90㎞の福岡県が管理する幹線道路で、北部九州の物流拠点である北九州港・苅田港・北九州空港と県南部を結ぶ重要な路線です(図- 1)。
嘉麻市・朝倉市境に位置する「八丁峠」付近は、筑後川県立自然公園に指定され、「朝倉市秋月」が国指定文化財の伝統的建造物群保存地区に指定されるなど、自然豊かな地域であるとともに、潜在的な歴史・文化資源を有する地域です。
しかしながら、「八丁峠」は、当路線の最大の難所であり、幅員が狭く大型車のすれ違いが困難な区間が有るとともに(写真- 1)、異常気象時通行規制区間で災害や積雪による通行規制が頻繁に発生している状況です(写真- 2)(図- 2)。
また、歴史的にも、「八丁越」として、秋月街道最大の難所とされてきました。
八丁峠道路は、異常気象時通行規制区間及び路面凍結による交通規制の解消を図ることを目的として、国土交通省が平成18 年度に権限代行の事業として着手した道路です。
北九州国道事務所が嘉麻市側、福岡国道事務所が朝倉側の整備を進めており、全延長4.5㎞のうち3.8㎞がトンネル構造となっています。
2.事業の効果
八丁峠道路の整備により、大型車の通行が容易になるなど交通安全性が向上するとともに、災害や積雪時の通行規制がない安定した交通の確保が期待されます。
また、八丁峠区間の所要時間も現在の23 分から5 分と約20 分の短縮となります。
上記のような路面凍結等の交通規制の解消や時間短縮などの直接的な効果にとどまらず、北九州と県南を結ぶ広域な観光周遊ルートが形成されることにより、交流人口の拡大など観光振興に寄与することが期待されます。
3.トンネル貫通式
平成29 年3 月12 日、八丁峠道路のトンネル貫通式が施工業者(前田建設工業株式会社、西松建設株式会社)の主催で開催されました。
貫通の儀では、関係者がスイッチを入れると発破音とともに嘉麻側と朝倉側を結ぶトンネルが貫通しました。通り初めの儀では、来賓の方等が嘉麻側と朝倉側の両側から歩き寄り、貫通点でがっちり握手し、万歳の声がトンネル内に響きわたりました(写真- 3)。
鏡開きの儀では、クス玉割りを嘉麻市立嘉穂小学校と朝倉市立秋月小学校の地元の児童により行いました(写真- 4)。
その後、福岡県立稲築志耕館高等学校の郷土芸能部の方々による和太鼓演奏が行われました。地域や学校行事など様々な場所で演奏され、県大会では優秀賞を受賞する程の実力で、迫力ある演奏を披露されました(写真- 5)。
つづいて、感謝の辞では工事の見学会にも参加された朝倉市立秋月中学校の生徒から「このトンネルが開通することを心待ちにしている」とのうれしいコメントをいただきました(写真- 6)。
引き続き、地域の観光支援など早期の道路整備効果発現に向けて、全力で工事を進めてまいります。