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防災(機労材)検索システムの開発
木原真作

キーワード:災害対策、災害協定、建設機械、資材調達

1.はじめに
近年、日本の至る所で地震、豪雨、噴火、土砂災害など様々な災害が発生している。九州においても平成24 年九州北部豪雨、平成26 年口之永良部島噴火、そして平成28 年4 月に熊本地震が発生した。災害発生又は災害発生の恐れがある場合、私たち(国交省職員)は、直ちに防災業務計画書に定められた体制を発令し、現況調査、復旧対策の検討を行い、被害の拡大防止や早期復旧に向けた取り組みを行っている。
迅速な復旧作業が求められる災害対応において、工法の検討と同時に災害協定事業者、資機材の調達等は、各社の保有数等の情報を、その都度聞き取り等により行っているのが現状である。
今回、災害発生時等の対応検討時に、災害協定事業者、建設機械及び資材等に関する情報を閲覧・検索出来る防災(機労材)検索システム(名称:「防災(機労材)検索くん」)の開発を行った(図- 1)。

このシステムにより九州全域の災害協定事業者、建設機械、資材等の保有状況等についての情報を検索し、復旧対応の検討に役立て、早期の被害拡大防止、復旧に資するものである。
システムは、今年度より運用を開始しており、九州全域の災害協定事業者等の情報を登録しているところである。

2.災害時における時系列とシステム開発箇所
災害時の時系列フローとシステム開発箇所の位置付けは、図- 2 のとおりである。

3.過去のデータベースの問題点と開発の留意点
過去に災害時の支援に資するため、建設機械、資材の情報を閲覧・検索できるデータベースを作成し、九州地方整備局(以下「九地整」という)のイントラネットに掲載しているが、情報を取り扱うには以下の問題点があった。

データベースの問題点
①事業者への調査方法はインターネット又は紙によるアンケート調査であり対象業者の全数を官側で管理するのは困難である。
②調査後に情報を集約整理し、データベース化していた。そのため調査結果が、次年度に掲載されることから、最新の情報を得ていなかった。
③データベースは、市販の汎用ソフトによる帳票形式であり、災害発生箇所と事業者所在地、建設機械及び資材の保有場所の位置関係がわからない。

以上の問題点より今回のシステム開発の際に、特に留意した項目は、以下のとおりである。

開発する際の留意点
①災害協定事業者、建設機械及び資材の情報を登録させる。
②災害協定事業者が入力した最新の情報を提供する。
③位置関係が視覚的にわかるシステムとする。それに加え、登録方法、検索方法が簡単に扱えるものとする。

4.プロジェクト会議
システムの開発及び継続的な運用を行うためには、関係部署との連携が不可欠である。そこで、九地整内の防災系、道路及び河川系の部署と連携し、「建設機械等検索システムに関するプロジェクト会議」(以下「PT 会議」という)を立ち上げた。
PT 会議(写真- 1)は、システムの開発にあたり、問題点、要望事項の抽出、検討、試行運用に向けた最終確認と合わせて3 回開催した。
その中で以下の3 点が挙げられ、システムに反映させることとした。
①官保有の機械、資材についても、データベース化し、情報共有を行う。
②九州全体の地図による閲覧画面とし、災害発生地点との位置関係を視覚的に情報をとらえた方が使いやすい。
③各事務所における資機材調達方法などの実態について、アンケート調査が必要。

5.建設機械・資材情報の運用実態調査
PT 会議を踏まえ、九地整内の建設系全事務所にアンケート調査を実施した。

主なアンケート実施内容
①事務所における災害時の資機材調達方法
②民間事業者への保有資機材情報の調査・管理方法
③事務所保有資機材情報の管理方法

アンケートの結果
①事務所からの資機材調達は、維持工事業者及び災害協定事業者へ電話、メール等により行っている。 災害協定事業者は専属のリース会社へ連絡し資機材等の調達を行っている。
②災害協定を締結する際、建設機械、資材、オペレータの有無、運搬時間等を事務所毎に調査を行っている。
③事務所にて定期的に保有資機材調査を実施。

以上のことより、システムには下記の項目を反映させることとした。
保有会社住所と保管場所が異なる場合もあるため、双方の情報を登録可能。
建設機械毎にオペレータの在籍人数を登録可能。
九地整内の事務所、出張所毎に保有資機材を登録可能。

6.システム開発と主な特長
過去のデータベースの問題点、PT 会議及びアンケート調査の意見を踏まえて、システムをWeb 化することとした。

(1) システムのWeb化
システムのWeb 化による特徴は以下のとおりである。
九地整管内の建設系全事務所に関する情報を閲覧できるようにした。また、他事務所からの応援や資機材情報の共有を可能とした。
②災害協定事業者は、インターネットに接続し、情報入力を簡単にできるようにした。
③登録業者は、ID/PW 認証を行い、他業者情報の閲覧が出来ないようにした。

図- 3 にWeb 化のイメージ図を示す。

(2) 地図表示(図- 4 ~ 8)による簡易な検索
地図表示画面より、災害発生地点と建設機械保有事業者等の位置情報を視覚的に把握可能とした。
①災害発生地点及び検索範囲(半径1 ~ 100㎞まで)を設定し、必要となる建設機械、資材の位置、保有会社情報等を得ることが可能。
②地図画面は、九州全域図から50m 地図まで詳細拡大し閲覧可能。
③検索の中心位置から資機材の保管場所までの移動経路を確認可能。

7.システム検索
災害協定事業者の検索例を次に示す。

【災害協定事業者の検索例】
システムによる災害協定事業者を検索する場合、はじめに検索したい地域周辺の検索範囲及び中心位置を設置する。
図- 5 で表示されている地図画面を更に、詳細表示し、検索範囲内の協定事業者を抽出する。
図- 6 に示すように中心位置から半径5㎞以内にある災害協定事業者が検索される。
更に、地図画面を詳細表示すると、災害協定事業者及び移動経路を確認することが出来る(図- 7)。
検索した災害協定事業者の情報内容を図- 8 に示す。

検索した災害協定事業者の詳細情報の内容は、以下のとおりである。
・事業者名、連絡先、連絡先氏名、住所、オペレータ数、作業員数、建設機械の保管場所、保有建設機械の台数及び規格等、保有資材の数量等、災害協定期間。

8.システムへの情報登録の流れ
情報登録の流れは以下のとおりである。
①事務所等より「災害協定に関する公告」
②事業者は、災害協定に関する申請書の受理、提出。提出時には、申請時に保有している建設機械、資材等の情報を所定の様式により提出。
③災害協定締結後に、提出したデータをインターネットを介して情報の登録を行う。

9.システムの検証
試行運用後にシステムの検証を行った。検証は、Web 及びデータベースサーバについて、負荷試験を行い、検索処理操作等に問題が無いかを確認した。その負荷試験は、模擬的に一斉アクセスを再現し、操作に対する遅延及び障害の発生等について確認した。試験の結果、20 人のユーザーが同一時刻にアクセスした場合では、問題無く稼働することを確認した。
また、20 人以上の稼働においては、ユーザー数と比例して処理時間が増加し、操作に対する遅延が発生する恐れがある。
更に、今後の資機材情報等の増加に伴う地図上のアイコン増加及びネットワークの通信状況により、検索結果の表示処理に時間が掛かる恐れもある。

10.まとめ
今回、災害対応時に建設機械等の調達を迅速に行う事を目的とした防災(機労材)検索システム「防災(機労材)検索くん」の開発、導入を行った。
平成29 年4 月以降は随時、情報の登録を推進し、災害時の対応において、迅速な対応・検討に資するシステムとして運用するとともに、課題の抽出、改良を継続的に行う予定である。
本システムが、災害発生時等における迅速な復旧作業の一助となれば幸いである。

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