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昭和63年度技術士試験をかえりみて
(建設部門出題傾向と解答例)

日本技術士会九州地方技術士センター
研修委員会 専門委員
総     括     矢 野 友 厚
土質および基礎     野 林 輝 生
鋼構造およびコンクリート   是 石 俊 文
河川砂防および海岸   中 島 義 明
道     路     中 岡 貴 夫

昭和63年度技術士第2次試験の筆記試験は,昨年8月24日および25日に福岡市ほか6カ所の試験場で実施され,筆記試験合格者に対する面接口頭試験は昨年12月3日から14日までの間に東京で実施された。技術士試験の指定試験機関である(社)日本技術士会の発表では,63年度の技術士第2次試験の受験申込者総数は11,746名で,三年連続して10,000名の大台を越え,合格者総数もまた技術士制度創設以来の最大数1,199名に達している。(なお,平成元年度の受験申込者総数は13,000名を越え,うち福岡試験場での受験申込数は1,163名)
建設部門の受験申込者総数は6,798名で,このうち筆記試験受験者数は3,646名,最終合格者数は594名で,合格率は筆記試験受験者数に対して3%,受験申込者総数に対して8.7%で,これまでどおり,受験合格は相当に厳しく狭き門であることを示している。
同年度の筆記試験ならびに面接口頭試験の試験科目と設問傾向には殆んど変化はなく,具体例をあげてその概要を記述すると次のとおりである。
まず,筆記試験選択科目Ⅰ-1(午前9時~12時の3時間で解答記述)の問題は,受験者がこれまでに体験してきた技術士に相応しい業務をいくつか具体的に示させ,その業務における技術的問題点と,それに対して受験者が採った技術的解決策を具体的に記述させ,その業務の技術的特色を明らかにさせる仕組としている。このⅠ-1の問題は,建設部門の10種類の専門科目の全てにおいて,この10年余,問題設問文章の文言に殆んど変化が見られず,次に示す一例(河川・砂防および海岸のⅠ-1問題全文)に見られるような設問形式を例年踏襲し続けている。

選択科目(9-4) 河川砂防及び海岸 9~12時
Ⅰ-1 次の問題について解答せよ。(答案用紙5枚以内にまとめよ)
あなたが受験申込書に記入した「専門とする事項」について,直接体験した業務のうち,技術士としての業務に最もふさわしいと思われるもの1例を挙げて,下記3項目について述べよ。
(1) その業務の技術的内容
(2) あなたが果たした役割
(3) 技術的な評価および今後の課題

次に,筆記試験選択科目Ⅰ-2(午後1時~5時の間に,Ⅱの問題と一緒に出題)の問題は,各選択専門科目ごとに,各専門技術分野における最近の技術動向をふまえ,専門的事項について解答論述させるもので,設問内容は本稿末尾に,土質および基礎,鋼構造およびコンクリート,河川砂防および海岸,道路の4科目についてそれぞれ一例を示したように,比較的各技術分野の基礎的技術にかかわるものが主体となっている。
Ⅰ-2の問題と一緒に出題させる筆記試験必須科目,Ⅱの問題は,建設部門全体に共通する事項で,例年2題出題しいずれか一題を解答させる方式で,昭和63年度の問題は次のとおりである。

必須問題(9)建設一般  1~5時
Ⅱ 次の2問題のうち1問題を選んで建設部門全体の問題として解答せよ。(茶色の答案用紙を使用し,解答問題番号を明記して4枚以内にまとめよ。)
Ⅱ-1 高齢化社会を迎えたわが国において社会基盤整備はどのような点を重視して進められるべきか,あなたの意見を述べよ。
Ⅱ-2 建設部門における技術開発促進上の問題点と,それを解決する方法についてあなたの意見を述べよ。

以上のⅠ-1,Ⅰ-2,Ⅱの3科目の問題のうち,Ⅰ-1は前述のとおり問題設問文章が事実上固定化されているので,予定答案をあらかじめ作成し,完全に丸暗記して試験にのぞむことが可能であり,3時間の解答時間で制限文字数一杯の解答を書くのが普通である。しかし,Ⅰ-2およびⅡの午後からの科目問題に対しては,受験者自身の筆記速度を考慮し,各問題に対しバランスのとれた時間配分を行うことが肝要で,本稿末尾の解答例に付記しているような留意が必要である。
筆記試験合格者に対して行われる面接口頭試験における試問事項にも,これまでと異なった傾向は殆んど認められず,63年度試験においても設問項目は次の3項目に分類要約できるようである。
Ⅰ 受験者の技術的体験を主眼とする経歴の内容と応用能力を問う。
Ⅱ 必要科目および選択科目に関する,技術士として必要な専門知識と見識を問う。
Ⅲ 技術士としての適格性および一般的知識を問う。
以上が昭和63年度技術士試験の概要と出題傾向であるが,以下に昭和63年度筆記試験選択科目の4問題を選定し,当研修委員会の技術士に解答の執筆をもとめ,模範解答例として参考のため例示する。
当技術士センター研修委員会は,例年,技術士試験受験者のための総合研修講座を継続的に実施し,九州地域受験者の受験対策に役立ってきており,技術士資格取得を目ざす技術者は気軽に当センターに相談されるようお奨めする。

土質及び基礎 昭和63年 Ⅰ-2-13(C)
下図のように,軟弱地盤に支持杭を基礎とする橋台を設置する計画がある。以下の設問に答えよ。
(1) 設計時に考慮すべき検討事項を列挙せよ。
(2) (1)で列挙した検討事項に対する対策について述べよ。

1 設計時に考慮すべき検討事項
(1)一般に軟弱粘土層(N=0~2)より構成される基礎地盤に載荷した場合,基礎地盤中の各要素に鉛直および水平方向の変位が生じると考えられる。
図ー1に示すような,背面盛土による偏載荷重を常時受ける橋台では,背面盛土が載荷重となって軟弱粘性土層の安定を崩して塑性流動を起こし,いわゆる側方流動が生じる可能性がある。側方流動に伴う橋台の変位はⓐ支承の破損,ⓑ伸縮装置の機能,ⓒパラペットおよび桁の破壊,ⓓ変位に伴う基礎杭の破壊,等の被害を橋梁に生じさせることになり,またこのような変状は,背面盛土施工中,もしくは施工完了後数年経過してから生じる場合があることから,設計および施工計画に際しては充分な検討を行う必要がある。

(2)常時偏載荷重を受ける橋台の基礎を杭基礎とする場合,できるだけ剛性の高い水平抵抗力の大きな杭体を選定する必要があり,場合によっては斜杭も検討することも必要である。また,杭の水平抵抗力を評価する場合,最も大きな要素として基礎地盤の横方向地盤反力係数が挙げられることから,当該基礎地盤における横方向地盤反力係数についての詳細な調査検討が極めて重要である。
(3)軟弱粘性土層を有する基礎地盤に載荷すると,これに伴って基礎地盤より脱水が行なわれ飽和粘土の圧密現象が生じ,基礎地盤の沈下を招くことがある。このような基礎地盤に設置された基礎杭は,飽和粘土層の圧密沈下に伴い基礎杭を引き込む方向に負の摩擦力が発生し,杭体に設計荷重以上の荷重が作用して杭体の破壊を招くことがある。このため杭の設計および施工計画に際して負の摩擦力に対する充分な検討を行う必要がある。

2 検討事項についての対策
(1)側方流動に対する対策を列挙すると次のとおりである。
ⓐ 側方流動の主な原因は背面盛土荷重にあることから,この盛土荷重を軽減させる工法を採用すると同時に,橋台の水平移動を拘束する形式を併せて検討すること。
ⓑ 地盤改良により軟弱粘性土層のセン断抵抗力を増大させる。
(2)杭体の選定における対策を列挙すると次のとおりである。
ⓐ できるだけ剛性の高い場所打杭・鋼管杭等を採用する。また,場合によっては斜杭も検討すべきではあるが,当該基礎地盤では圧密沈下に対して曲げ変形を受けることがあるため,採用に当っては充分な検討が必要である。
ⓑ 杭体だけで水平力に抵抗し変位を押えることが不可能な場合は,地盤改良によって横方向地盤反力係数を増大させる。
(3)負の摩擦力に対する対策を列挙すると次のとおりである。
ⓐ 基礎杭表面に油脂,歴青材等によるスリップ性の皮膜を形成し,軟弱粘性土との摩擦力を低減させる。
ⓑ 基礎杭を二重管式にすることによって,杭周面と軟弱粘性土との接触をさける。
ⓒ 橋台周辺の基礎地盤を遮断壁により囲い周囲軟弱粘性土層と遮断することによって負の摩擦力を低減させる。

鋼構造及びコンクリート 昭和63年 Ⅰ-2-11(C)
問題
「コンクリート構造物の耐久性診断の現状と今後の方向について述べよ」
(800字詰2枚以内)

耐久性診断とは,外観上は何の変状も生じていない時点において,そのコンクリート構造物に耐久性を損うどのような要因が存在するかをチェックし,その結果に基づいて構造物が設置されている環境を考慮して構造物の保全に関し最も適切な処置を講じようとするものである。
耐久性の診断にあたっては,現在,(1) 構造物からコンクリート片を切り取って試料とし,これに種々の処理を加えて分析や測定を行ない,耐久性に関する情報を得る方法,(2) 各種の非破壊試験法を駆使してコンクリート内部の状況を探る手法,とが併用されている。
以下主要な診断項目ならびに今後の方向について述べる。

1 鉄筋の腐食をひき起す危険性の診断
対象構造物が,外部からの塩化物の侵入する危険性が無い環境に設置されている場合でも,海砂や混和剤を介して塩化物が導入されることがあるので,コンクリートコアーを採取し,全塩分と可溶性塩分の両方を分析する。海岸構造物については,表面から内部に向って塩分の濃度分布を調べることが大切である。
鉄筋の腐食は塩分の拡散・浸透による鋼表面の活性化が引き金になるが,酸素の供給や水の存在なしには生じない。したがって,鉄筋を活性化させるに十分な塩分の含有が明らかになった場合には,コンクリートの多孔体としての組織構造の診断を行なう必要がある。すなわち細孔構造解析装置によるセメント硬化体の細孔分布,画像解析装置による空気量・気泡分布,酸素・塩素拡散試験装置によるOとCℓの拡散係数,フエノールフタレン法や偏光顕微鏡による中性化深さ等の測定を行なう。これらの測定結果と環境ならびにコンクリートの構造的欠陥(例えば,かぶり)などの診断結果を総合して腐食傾向の予測を行なう。

2 アルカリ骨材反応を起す危険性の診断
コアーを採取し,これから薄片を作成して偏光顕微鏡観察によって反応性鉱物の有無を調べる。問題となるような量の反応性鉱物が骨材中に存在することが判明した場合には,コンクリート中に含まれるアルカリ分および塩化物を分析するとともに,既にアルカリ骨材反応が始まっているかどうかを偏光顕微鏡や走査型電子顕微鏡によって調べる。さらに,構造物の環境(水や塩分の供給など),コンクリートの強度・空気量・強度・ヤング率などを調べて今後の劣化の進行を予測するとともに,必要な対策を講ずる。

3 構造物に内在するマクロな欠陥の検出
設計や施工が適切でなかったために,内部に大きい空洞などが生じていることがある。こうしたマクロな欠陥の検出には,超音波伝播速度法や電磁波レーダー法といった非破壊試験によらなければならない。

4 ひびわれの進展や位置の監視
固体材料が微少破壊する時に発生する弾性波動は,アコースティック・エミッション(AE)と呼ばれる。AE計測装置による構造物の表面からの測定により,ひびわれの位置や進行状況を監視できる。したがって,外力の作用や鉄筋腐食によるコンクリートの内部ひびわれや,アルカリ骨材反応による膨張ひびわれの検出監視によって,今後の劣化の進行を予測するとともに,必要な対策を講ずることができる。

5 今後の方向
耐久性診断の技術とくに非破壊試験のなかには現状では適用に限界があり,未だ診断技術として確立していないものがある。したがって,なお未知の部分を多く含んでいるコンクリートの特性や劣化機構の解明を進め,「原理的に現状把握ないし劣化要因の検出が可能」ということと「実際の構造物の診断に適用できる」ということとの間のギャップを埋めて,より適確な耐久性診断が行えるような調査・研究が進められなければならない。

河川砂防及び海岸 昭和63年 Ⅰ-2-3(B)
問題
都市化の進行が著しい流域における水害の特徴および治水計画立案上留意すべき事項について論ぜよ。

1 はじめに
わが国の経済成長は,その過程において人口や資産の都市への急激な集中をもたらした。このため,従来,水や高潮に対し危険であると考えられてきた地域まで生活圏が拡大し,水害が頻発し,早急な技術的対応が求められるに至った。

2 水害の特徴
都市地域における宅地開発の進行には,下記のような特徴がある。
(1) 流域全体の雨水浸透機能の減少
(2) 保水・遊水機能の減少
(3) 洪水到達時間の短縮
(4) 洪水流量の増大
(5) ハイドログラフがシャープになる。
このほか,上中流域の森林や植生域の宅地化は水質源の枯渇を誘発し,中・下流域の平常流量の減少を招き,都市排水の増大とあいまって水質の悪化を助長し,環境面での問題もクローズアップされてきている。

3 治水計画を立案する上での留意すべき事項
変化が急速かつ顕著に進む流域において,治水計画を立案する際には,都市化に遅れないようにすることは勿論のこと,むしろ人口や資産に見合う高い安全度をもつ治水施設を先行的に整備することが重要である。したがって,治水計画の策定にあたって注意すべきことは,変化を予測し,変化に対応することである。
(1)流域の都市化と洪水流量の予測
都市化の進行する流域においては,過去における土地利用の変化と,それによって洪水流出の形態や被害状況がどのように変化してきたのか分析することが大切である。
将来の流域の都市化については,過去の動向や計画中の具体的プロジェクト等を参考に時系列的に予測することが望ましい。また洪水流量は,これら都市化の影響を的確に反映したものでなければならない。
(2)長期計画の策定
流域の都市化を考慮し,将来の社会経済の発展に十分に対応できる長期的・弾力的計画を策定する必要がある。この場合,今後の計画高水流量の増大,河川の重要度,流域の土地利用計画,開発地域等について十分に加味したものでなければならない。
(3)中期計画の策定
長期計画は一般に完成までに数十年以上の期間が必要である。したがって長期計画を対象に事業を進めた場合,その間一時的に河川の安全度が流域の都市化に対応できない不測の事態も起りかねない。そこで長期計画と矛盾しない範囲で5年から10年を単位とした実行可能な中期計画を策定し工事を段階的に実施する必要がある。
(4)流域対策の必要性
計画洪水流量以上の洪水が発生しても,最低限人命の損傷を防ぐ上において,流域全体にダムや遊水池を設置し,流出を抑制するという発想が必要である。このような流域対策は,治水計画以外に水資源の有効利用,地下水の涵養にも効果的である。
(5)河川環塊への配慮
河川周辺の都市化が進めば,河川は都市に残された貴重な空間となり,洪水時には人命や財産にかかわる治水施設であると同時に,平常時には都市住民の身近な生活環境の一部となるため,治水計画の作成にあたっては十分に現境上の配慮をする必要がある。
(6)ソフトな対策の必要性
都市化の進む流域においては,河川の整備や流域内の貯留施設の設置等ハードな治水対策のみでは,水害に対して安全な都市を作ることは難しい。このため,治水上の保水遊水機能をもつ市街化調整区域の適切な管理や,浸水実績の公表による適正な土地利用の誘導等ソフトな対策についても治水計画の中に含めて考えるべきである。

道 路 昭和63年  Ⅰ-2-3
問題
交通容量の概念について述べ,道路の単路部の交通容量に影響を及ぼす要因について述べよ。

1 交通容量の概念
道路の交通容量とは,一般的に表現すれば「道路の交通をさばく能力」であり,通常,道路のある断面を1時間当り通過しうる自動車の台数で表わし,多車線道路および1方向2車線道路では1車線あたり,2方向2車線道路では往復合計あたりで表わされる。
道路の交通容量は,道路および交通条件等に応じて次の3項目に分類できる。
(1)基本交通容量
基本交通容量とは,道路条件および交通条件が理想的である場合に,1つの車線(多車線道路および1方向2車線道路の場合),または道路上の1断面(2方向2車線道路の場合)を1時間に通過しうる乗用車の最大数をいい,どの道路の交通容量を算定する場合にも基本となる交通容量である。
理想的な道路条件とは
◦ 車線幅員が3.50m以上あること。
◦ 路側にある障害物(よう壁,電柱,ガードレール等)までの距離が十分あること(側方余裕が1.75m以上あること。)
◦ 縦断こう配,曲線半径,視距,その他の線形状況が臨界速度に影響を与えない程度に良好であること。
理想的な交通条件とは
◦ 交通容量を低下させるトラック等の大型車や自転車,歩行者等を含まず,乗用車のみから構成されていること。
◦ 速度制限が不当に低く,交通容量を減少ささせることがないこと。
である。現実の道路では,高規格の高速道路でも理想的な条件にあるものはほとんどなく,通過しうる台数は,基本交通容量の値を下回るのが普通である。
(2)可能交通容量
可能交通容量とは,実際の道路および交通条件の下で,ある一定の時間内に1方向の車線または車道(2車線道路や3車線道路では両方向)のある地点を通過しうる車両の最大数である。したがって,道路条件および交通条件が基本条件を満たす場合には,その道路の可能交通容量は基本交通容量と等しいが,基本的条件を満たさない場合には,基本交通容量の値を実際の道路および交通条件に応じて補正する必要がある。
(3)設計交通容量
設計交通容量は,その道路の設計交通量に対して,あるサービス水準(計画水準)を保つように,可能交通容量にある程度の余裕を見込んだ値として設定するものである。この余裕が大きい程サービス水準は高くなることになり,わが国の「交通容量マニュアル」では,この余裕値として設計交通量と可能交通容量との比(V/c)によって3段階の計画水準を定めている。

2 単路部の交通容量に影響を及ほす要因
単路部の交通容量に影響を及ぼす要因とは,交通容量を制限する道路条件,交通条件等であり,広い意味でいえば走行中の自転車および運転者に影響を及ぼす外部条件のすべてである。
(1) 道路条件
① 車線幅員
車線幅員がある程度以下になると交通容量の低下が生じる。「交通容量マニュアル」では,基本幅員3.50mに対し,交通容量に影響を与えない限界を3.25mとしている。
② 側方余裕幅
側方余裕幅とは,車道端から路側にある障害物(よう壁,電柱等)までの距離であり,この距離がある値より小さくなると交通容量を減少させるとされている。
「交通容量マニュアル」では,側方余裕幅1.75mを基方条件とするが,0.75m以上であれば,実際上交通容量への影響はないものとしている。
③ 線形
曲線半径そのものよりも,視距が十分大きくとれない場合に交通容量は低下する。
④ 縦断勾配
勾配区間は,次のような点でかなり大きな影響を及ぼす。
・ 勾配区間では視距の制約を受け,安全な追越し行動の機会が少なくなる。
・ 車両の制動距離が平坦地と異なるため,安全な最小車頭間隔が平坦地と異なってくる。
・ 登り勾配が長く,急であれば走行速度が低下する。
⑤ 路面状態
凹凸,平坦性,舗装の有無等の路面状態によっても交通容量は変化する。
⑥ 沿道条件
単路部,すなわち中断を無視しうる交通流が得られる道路であっても,道路の外側からの干渉,例えば露地からの車両の流入の影響や沿道の土地利用に起因する潜在的な干渉(歩行者や自転車が飛び出す恐れなど)が大きい場合には交通容量が低下する。

(2)交通条件
① 車両構成
大型車,小型車,自動二輪車等の混在は,その性能差や走行の安定性の差等により交通容量に影響を与える。
② 駐停車
駐停車車両の存在は,円滑な交通流を阻害し交通容量の低下の要因となる。
③ 交通規制
速度制限,追越禁止,車線指定等の交通規制は交通容量に影響を与える。
(3)その他の要因
交通容量に影響を与えるその他の要因としては,車両条件(加減速性能,高速性能等)気象条件,昼・夜,照明の有無等の明度条件等が考えられる。

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