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「九州地区長寿命コンクリート構造物検討委員会」について

国土交通省 九州地方整備局
 企画部 技術管理課長補佐
柴 田  智

1 はじめに
平成11年に起きたコンクリートの早期劣化やコンクリート片の剥落など,コンクリート構造物の信頼性を損ねかねない事例の発生により社会問題化し,従前以上に適切な建設・維持・管理を行っていくことが求められています。
また一方でコンクリート標準示方書の性能規定化が進められるなどコンクリートの品質向上に係わる新しい取り組みも進められています。
このような背景の下,コンクリート構造物に必要な機能や性能に適応するコンクリートを建設し,長寿命化を図っていくことは,新設構造物,既設構造物にかかわらず,今後ますます重要な課題になると考えられます。
そこで,今後管内で施工するコンクリート構造物が長寿命の構造物となるよう,材料,施工,維持管理等に関する既存の基準に九州の特性及び学術的研究成果等の最新情報を反映させた「九州基準」を策定することを目的として本委員会を設立しました。
本報告では,当委員会の概要を紹介させて頂きます。

2 委員会
本委員会の委員構成は,松下博通九州大学大学院工学研究院教授を委員長として,九州各地でコンクリートを研究している学識経験者で構成されています。(表)
昨年11月26日に第1回委員会を開催し,正式に発足しました。
今後は,年2,3回程度委員会を開催し,現場での試行工事を実施するとともにその結果を踏まえつつ,早期に「九州基準」を策定することとしています。

3 開催状況
第1回 平成14年11月26日(火)
 〇国土交通省の動き
 〇九州におけるコンクリートの現状
 〇現場で抱える施工上の問題点
 〇セメントに関する今日的課題
 〇今後の進め方
以上について説明後,コンクリート構造物に関して各委員から貴重なご意見を頂きました。要約すると次の6つの課題に分けられました。
 ① コンクリート構造物の要求性能
 ② 設計,施工,検査のチェック体制
 ③ 骨材使用のあり方
 ④ セメントのあり方
 ⑤ コンクリートの耐久性向上策
 ⑥ ライフサイクルコスト(LCC)

第2回 平成15年3月13日(木)
 第1回委員会での意見を踏まえ,今後の検討コンセプトと今後の進め方(下図参照)について確認し,意見を頂きました。
 【検討コンセプト】
 「地域特性を考慮し,限られた資源で構造物性能に合致したコンクリート構造物の構築」
各委員から出された意見の要旨は次のとおりでした。
(コンクリート構造物の性能に関する検討)
 〇耐用年数の考え方を整理することが重要
 〇部材の重要性に応じ耐用年数を設定する
 (事業プロセスにおけるチェック体制の検討)
 〇今後過密鉄筋,単位水量のチェックなど品質確保について説明が求められる
 (コンクリート材料に関する検討)
 〇各種セメントの供給体制,アル骨対策等適材適所のルールづくりが重要

4 おわりに
2回委員会を開催しましたが,検討項目が多岐にわたることから,今後は効率的な委員会運営を図るため,部会形式で進めることとしました。
委員の皆様のご協力を頂きながら,短期間で「九州基準」をつくることとなりますが,九州のコンクリート構造物が,丈夫で長持ちそして美しい構造物となるよう頑張りたいと思います。

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