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板橋排水機場におけるコスト縮減について
一立型ガスタービン採用によるコスト縮減一

建設省 武雄工事事務所
 機械課長
牧 野 千代春

建設省 武雄工事事務所
 機械係長
松 枝 伸 久

1 はじめに
六角川は佐賀県白石平野を蛇行しながら流下し,有明海に注ぐ流域面積341km2,幹川流路延長47kmのー級河川である。その流域は白石平野が低平地であるうえ,有明海の感潮区間が本川約29km上流にもおよぶため,潮位と降雨の影響を大きく受ける洪水常襲地帯となっている。
板橋排水機場は本川左岸26k500地点に計画されており,平成7年度に採択された六角川水系床上浸水対策特別緊急事業の一環として設置される排水機場で,平成9年度に着工し,平成11年度完成を目指し現在も施工中である。
本排水機場の施設計画においては,建設コスト縮減が主眼として検討され,結果としてわが国初の立型ガスタービンを採用した排水機場となったので,ここにそのコスト縮減効果について報告するものである。

2 板橋排水機場概要
本排水機場は,支川新大納川の流域を本川に排水する機場として計画された。
(1)設置場所
   佐賀県武雄市橘町片白地先
(2)計画排水量
    14m3/s(確率1/10)
(3)ポンプ設備の主要仕様
ポンプ設備の主要仕様は,次のとおりである。また,機場断面図を図ー2に示す。
1)主ポンプ
  設置台数:2台
  口  径:1,800mm
  吐出量 :7.0m3/s
  形  式:立軸軸流ポンプ(一床式)
  全揚程 :2.70m
2)主原動機
  設置台数:2台
  形  式:2軸式立型ガスタービン
  減速機 :立型遊星歯車減速機
  定格出力:400ps

3 立型ガスタービン導入効果
3-1 機場のコンバクト化
立型ガスタービン採用により機場の大幅なコンパクト化が可能となった。
① 原動機の据付床が不要なため一床式が可能となり機場の深さ寸法が減少した。
② 減速機一体式のため減速機スペースが不要となり機場の幅寸法(流れ方向)が減少した。
③ 主機がポンプ廻りに集中するため天井クレーンの省略が可能となり機場の幅および高さ寸法が減少した。
以上の結果により,従来の機場と比較して平面積が約62%,立体積約52%に縮小された。
従来型と比較した機場のイメージ図を図ー3に示す。

3-2 機器費の低減
① 減速機一体式のため傘歯車減速機が不要となった。
② 天井クレーンを省略した。
3-3 機器据付費の低減
① 芯出しがポンプ軸芯のみでよいため据付手間が減少する。
② 傘歯車減速機,天井クレーンなど据付機器点数が減少した。
3-4 騒音対策の簡略化
① 傘歯車減速機がないため発生する騒音のレベルが低下し機場内の騒音対策が低規格化する。
3-5 維持管理の簡略化
① 傘歯車減速機,天井クレーン等の点検機器点数が減少する。

4 コスト縮減効果
立型ガスタービン採用によるコスト縮減効果をまとめると表ー1のとおりとなる。

5 おわりに
事務所管内にある他の排水機場と比較してみると板橋排水機場のコンパクト化には目を見張るものがあり,その面で土木工事,建築工事におけるコスト縮減効果は大きいといえる。また,機器的にもコスト縮減効果が見られ,将来に向けて期待の大きい技術である。その反面,実施工において
① 機場がコンパクトであるうえ機場内の作業が輻輳する。
② 機器の位置が高くなるため高所作業が多くなる。
③ 大型クレーンによる吊り込み作業においてクレーンの転倒,機場建屋との接触など危険性が大きい作業となる。
以上のような施工性,作業の安全性において考慮すべき点が生じたのも事実である。設計にあたりコスト縮減と同時に施工性,安全性,維持管理性等を考慮することが重要であろう。この報告が今後の排水機場設計の一助になれば幸いである。

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