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鹿児島国道工事事務所の事業紹介

建設省 鹿児島国道工事事務所
 副所長
古 閑 一 征

1 はじめに
鹿児島国道工事事務所は,一般国道3号(L=112.5km),10号(67.7km),58号(0.7km),220号(11.1 km),225号(52.5km),226号(32.1km)の合計276.6kmの国道管理と改築事業等により地域づくりの支援をしている職員数119名の道路単独の事務所です。
主な改築事業ケ所は表ー1のとおりです。

2 事業費
平成11年度の当初予算は事業費で約220億円と過去最高の額に達しています。これを九州内で比較してみると,単独事務所での道路事業費は九州地建内第2位となります。
これらの背景としては,
①南九州西回り自動車道「鹿児島道路」の13年度供用開始にむけた事業促進
②南九州西回り自動車道「川内道路」の新期着手
③一般国道3号線阿久根地区環境整備の事業促進
④一般国道10号線加冶木バイパス一部の供用開始にむけた事業促進
⑤地域高規格幹線道路「鹿児島東西道路」の新規着工準備区間として調査に着手などがあげられます。

今回は,これらの事業の中から新技術への取り組みとして高橋脚設計への「3H工法」の適用事例を紹介致します。

3 飯牟礼2号橋への3H工法の適用
(1)橋梁概要
飯牟礼2号橋は,南九州西回り自動車道,鹿児島道路伊集院IC~市来IC間の伊集院町飯牟礼に位置し,当地域特有の地形であるシラス台地の開析谷を4径間で渡る橋梁である。橋梁の計画高と谷の高低差は50mの高さとなっており,柱高の高い橋脚が計画された。
橋梁の計画諸元を以下に示す。

 橋梁形式:鋼4径間連続〔箱桁+トラス〕橋
 橋  長:365m
 径間長 :40+98+127+100m
 有効幅員:9.500m(暫定幅員)
 設計荷重:B活荷重
 道路規格:第1種第2級B規格
 設計速度:V=100km/h

(2)3H工法の概要
① 3H工法採用の経緯
飯牟礼2号橋の橋脚は柱高が38mと高いため,従来のRC構造では鉄筋量が非常に多く,加えて平成8年道路橋示方書での帯鉄筋および中間帯鉄筋の規定により,配筋作業が非常に困難になる。また,高所作業における安全性,さらに工期面など,施工上の問題がある。
その問題に対応するため,
 ① 施工の効率化
 ② 耐震性の向上
 ③ 環境保全
 ④ 経済性の向上
 ⑤ 品質の向上
を目的に開発された「3H工法」について,飯牟礼2号橋における適用性を検討し,新技術工法の試験フィールド工事として採用した。
② 3H工法の特徴
3H工法は,下記の3つの基本要素を組み合わせた技術工法である。
 a 主鋼材SRC構造
従来の軸方向主鉄筋の一部を座屈強度の高い鉄骨(H形鋼または鋼管)に置き換えたSRC構造とすることで,耐震性の向上と配筋作業の省力化を図る。
 b スパイラルカラム
スパイラルカラムとは,数本の軸方向主鉄筋に細径異形PC鋼棒をスパイラル状に巻き付けた柱状の鉄筋かごのことで,その中に配置する鉄骨と共同して複合部材を形成する。スパイラル筋が中間帯鉄筋の機能を代替し,中間帯鉄筋の現場作業を無くすことができる。
 c 3Hパネル/昇降式移動型枠
木製型枠を使用せず,完成後構造体として機能する3Hパネル(帯鉄筋を内蔵したプレキャスト埋設型枠)あるいは転用可能な昇降式移動型枠を使用する。型枠材の省資源化と施工の省力化,またプレキャスト製品の使用による品質の向上が図れる。
③ RC在来工法との比較
3H工法とRC在来工法を比較すると,断面形状と断面性能はほぼ同等であるが,今回は3Hパネルの使用によって,柱の現場工期が約8割に短縮でき,直接工事費の比率は8%程度割高の結果となっている。8%の割高の要因はパネル製造が占めており,繁用が高くなれば解消されると推測されます。

4 おわりに
鹿児島国道工事事務所では,ほかにも数多くの事業を展開中です。これらの事業の中にはトンネル工事が3件,橋梁工事が9件あります。工法も橋梁架設では手延べ架設,トラベラークレーン架設などを計画しています。
現場見学を希望される皆様,是非,一度お越しください。

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