一般社団法人

九州地方計画協会

  • 文字サイズ
  • 背景色

一般社団法人

九州地方計画協会

  •                                        
都心部における交通マネジメント施策の試行とその効果

福岡市都市整備局都市計画部
交通計画課 交通対策係長
椋 野 清 彦

1 はじめに
福岡市は,北側を博多湾に,南側を背振,三郡,犬鳴山塊によって囲まれた半円形の福岡平野を中心にY字型に市街地が形成されているという地勢条件に加えて,Y型の交差部が都心部となっていることから,都市機能の多くがそこに集積するため,交通需要も都心部へ集中する傾向にある。本市の交通体系は,この都市構造を反映して,都心部一極集中型となっており,都心部やその流入部では慢性的な交通渋滞が生じている。さらに,近年居住地の外延化が進み,本市郊外部や周辺市町村での著しい人口の増加がこれに拍車をかけている状況である。
本市では,鉄軌道を交通体系の主軸として,各種の交通手段が効率的に連携した総合交通体系の確立を基本として推進しており,地下鉄3号線やJR筑肥線の複線化をはじめとする鉄軌道の整備に取り組んでいるほか,都市高速道路や外環状道路など幹線道路の整備推進に努めている。
しかし,このような交通施設の容量を拡大するといった施策は,長期の時間と多額の費用を要する上,空間的にも限界があり,この手法だけでは加速化する交通渋滞に対応していくことは困難となっている。
そこで,整備された既存の交通施設をいかに運用するかという方向に視点を転じ,供給可能な施設容量に対応した交通需要の誘導や,特定の時間帯や特定の地区に集中する交通を分散,平準化させること等により,交通混雑の解消を図っていく「交通マネジメント」施策を並行して推進していくことが重要であるとの認識が生まれたのである。

2 現在実施中の交通マネジメント施策について
福岡市域内において,各行政機関等でこれまで進められている交通マネジメント施策は,目的別に大きく分けて
(1)自動車交通から公共交通機関への利用転換の促進を目指すもの
(2)道路空間を有効に利用するため,限られた交通容量を効率的に使うもの
(3)都心部の交通量の削減と平準化を図るもの
(4)渋滞を引き起こす要因となる違法駐停車の削減を図るもの
の4つに集約できる。
各目的に対応する主な施策であるが,まず,(1)については,自動車交通を削減し,交通渋滞の緩和や環境の改善を図るために,毎月14日を「ノーマイカーデー」と定め,不要不急のマイカー利用の自粛を呼びかけて公共交通機関への利用転換を進めている。
また,バスの定時性が確保できるようバスの優先策を実施することによって,自動車からバスへ転換しやすくするために,バス専用レーンを31区間で71km,優先レーンを3区間で15km設置したり,バス利用者の利便性を向上させるための,バスの接近表示システムを有する都市新バスシステムを2区間21.1kmに導入している。
特に,市の中心地である渡辺通り4丁目から市の南西部に位置する福重の間では,バス専用レーンからの一般車を排除するシステムに,バス優先信号システムなどを付加して,バスを積極的に優先する「バス優先システム」を平成6年3月から導入している。
次に,(2)に対応する施策として,リバーシブルレーンを5区間16.9kmに設置し,交通運用の効率化を図っている。
(3)のうち,都心部の交通量の削減に関する施策については,都心部の交通の円滑化を図る目的で,天神地区共同集配システムの高度化および駐車誘導システムの整備に取り組んでいる。
前者は,天神地区の集配を共同集配化するもので,全国に先駆けてスタートし,平成6年9月1日にシステムを強化した。これは,36のトラック運送事業者が出資を行い,「天神地区共同輸送株式会社」を設立し,共同で集配を行うことによって,都心部における物流車の削減と輸送の効率化に取り組んでいるところである。
また,後者は,天神地区内の17の駐車場の満空情報を,19ケ所に設置している案内板で表示することによって,適切な誘導を行い,駐車場の効率的利用と駐車場探しの不必要な交通の削減を図っている。
また,交通量の平準化を図るための対策としては,本市は昭和50年に総務庁から時差通勤・通学推進地域に指定され,現在においても引き続き推進しているところである。
最後に,(4)違法駐停車の削減を目的とする対策については,「迷惑駐車の防止に関する条例」を平成6年10月から施行し,都心部の迷惑駐車一掃に取り組んでいるほか,未然に違法駐車を防ぐねらいで,天神交差点を中心に,違法駐車監視システムや交差点ボイスシステムを導入している。
現在実施している,以上の交通マネジメント施策は,どちらかというと供給者サイド主体の施策であり,この拡充を図ることはもちろん大事ではあるが,もっと,需要者サイドが主体となるような施策に力を入れていくべきであろうと考える。
つまり,市民の理解と協力を得て,市民自らが交通マネジメントに参加していくという環境を創出しながら,マネジメントを推進することが,今後ますます重要になってくるものと思われるのである。そして,これが,今回の試行にもつながったわけである。

3 “スムーズ福岡”運動に至るまで
こうして,まず,学識経験者,経済団体,市民代表,関係交通事業者などにより構成される「福岡市都心部さわやか交通推進調査委員会」を平成6年6月に設置し,福岡市における交通マネジメント施策の適用可能性の検討を行った。
この委員会の中で,本市都心部の交通実態調査を行い,都心部の道路交通,交差点,駐車,バス,タクシー,業務車両の状況を把握・分析し,併せて,他都市における交通マネジメント施策の事例の収集・分析を行った。
その結果,都心部の中でも,交通渋滞が著しい天神地区を対象として試行を行うこととし,その後9ヶ月かけて,同委員会で試行施策を6施策に絞り込み,さらに,試行期間について市民に協力を訴えやすいユニバーシアード福岡大会期間中(平成7年8月23日~9月3日)に行うことが提案された次第である。
提案にあたっては,市民や企業の積極的な参加が図れる施策を実施するという「市民参加の原則」を柱に,市民・企業の協力が得やすく,短期的に施策の実施が可能であり,コストが比較的低廉で,効果が期待できるものを試行するということを基本方針に据えた。
ところで,提案されたものを実際に試行するには,実施体制,動員体制はどのようにするかといったようなもっと細かで具体的な実施方法を決めなければならない。
このため,本市助役をトップとして,試行施策に関連する団体・機関をメンバーとした「天神地区交通マネジメント実施推進本部」を平成7年5月に新たに設置して,検討を行った。
同本部において,今回の試行を“スムーズ福岡” 運動と名付け,
 ① ノーカーデー運動
 ② 企業持ち帰り車の自粛運動
 ③ バス運行経路および停車位置の見直し
 ④ タクシー乗車マナーの向上
 ⑤ 物流交通対策
 ⑥ 通信および情報板による交通情報の提供
の6施策について,試行したものである。

4 試行施策の内容
上記6施策については,まず,施策の体系として,集中交通の抑制,効率的な輸送体系の実現,道路の有効活用の推進,適正な交通の誘導という4つの視点から,基本方針に沿って選ばれたものである。
集中交通の抑制としては,①ノーカーデー運動②企業持ち帰り車の自粛運動の2施策,道路の有効活用の推進の視点からは,③バス運行経路および停車位置の見直し④タクシー乗車マナーの向上⑤物流交通対策(荷捌車の路上駐車対策の点で)の3施策,効率的な輸送体系の実現としては,⑤物流交通対策(物流車の時差運行,天神地区共同輸送㈱への集約化の点で),適正な交通の誘導としては,⑥通信および情報板による交通情報の提供をその試行施策としたのである。
各施策についての具体的な内容は,次のとおりである。
(1)ノーカーデー運動
前述の,毎月14日のノーマイカーデーが,どちらかといえば環境面からの取り組みであり,マイカー通勤の自粛ということに主眼がおかれているのに比べ,これは,対象を業務車両まで拡大し,交通渋滞対策の面を色濃く打ち出し,より実効あるものとして強化したものである。
市民に対しては,マイカーの利用の自粛,各企業に対しては,物の運搬を伴わない業務車両,例えば,会議に行くのに車を使うのをやめて,公共交通機関を利用するという施策である。
具体的には,従業員の多い事業所約1,000社に対して,協力要請を行うと同時に,さらに企業の協力度を高めるため,各企業に交通マネジメント推進者の設置を要請した。この結果約400社において推進者を設置するに至り,これらの企業には,アンケート方式で,試行期間中の目標設定,実施方法等の設定を促した。
(2)企業持ち帰り車の自粛運動
平成6年,「福岡市都心部さわやか交通推進調査委員会」において行った主要企業に対する持ち帰り車の実態調査より,企業所有車両の20.5%が持ち帰り車として利用されていることから,各企業の持ち帰り車を自粛し,通勤時間帯の交通量を削減するという施策である。
企業の協力度を高めるため,ノーカーデー運動と同様に,交通マネジメント推進者の設置を要請し,期間中の目標設定,実施方法等の設定を促した。
このノーカーデー運動,企業持ち帰り車の自粛運動の補完施策として,西日本鉄道㈱および福岡市交通局の協力のもと,“スムーズ福岡”運動のロゴマークを入れた1日フリー切符(西鉄),fカード(交通局)を販売した。
(3)バス運行経路および停車位置の見直し
① バスの運行経路,特に回送バスの運行経路の右折削減を図るとともに,交差点と近接しているバスの停車位置を変更することにより,交通の円滑化を図ることを目的とした施策である。
具体的には,以下のような見直しを行った。まず,バス運行経路については,
ア 天神橋口交差点南行き混雑緩和のため,「天神ショッパーズ前」を始発する系統のうち,天神交差点を右折し,「天神岩田屋前」および「天神協和ビル前」に停車する系統の始発地を明治通りに変更することにより,天神橋口交差点直前で第1車線から第3車線へ車線変更するバスを減少させた(図ー1)。

イ 那の津口交差点北行右折混雑緩和のため「那の津口折り返し場」への入庫経路を一部路線,もしくは一定時間については,那の津口交差点を直進し,JR臨港線手前交差点を右折して,入庫するように変更したほか,「那の津口折り返し場」の折り返し数1,300回のうち220回を,さらに北側にあり那の津交差点での右折を要しない「高架下折り返し場」に変更した(図ー2)。

② 次に,バス停位置の見直しについては,天神橋口交差点の混雑緩和のため,「天神郵便局前」を降車場にしているハイウェイバス約190本のうちほぼ半数について,降車場を,数十メートル先の比較的混雑の少ない「天神日銀前」に変更した(図ー3)。

(4)タクシー乗車マナーの向上
幹線道路上におけるタクシーの客待ちや,乗車が交通の阻害要因となっているので,タクシー乗り場以外で,客待ちをしない,乗せない,交差点付近で乗り降りをしないという3ない運動を行うとともに,天神地区における福岡市タクシー協会の指導員の配置を強化(通常3名のところを増員して10~12名体制に)することにより,交通の円滑化を図った。
(5)物流交通対策
これは,施策の目的の違いから,大きく2つに分けられ,1つは,天神地区の交通量が11時台および14時台に比較的減少するため,天神地区の商店に対して,荷物の配送を運送業者に指定するよう,さらに,天神地区共同輸送㈱へ荷物の集約化を行うよう協力を呼びかけた。
もう1つは,幹線道路の物流車の駐停車をなくすため,4箇所24基の貨物専用パーキング・メーターの活用の徹底が図れるよう,県トラック協会の指導員を3~4名配置し,指導体制を強化した。
(6)通信および情報板による交通情報の提供
交通情報板等により,交通情報を表示し,都心部に入る交通の分散誘導を図るものであるが,天神地区を通過する車両に対して,渋滞情報だけではなく,経路選択のための表示も行った。
また,ユニバーシアード福岡大会時に臨時に開設されたFMカパプーを利用して,一般のラジオ交通情報と同様に,道路交通情報を流した。
以上の試行施策を実施し,この運動を周知するための啓発・広報活動として,チラシ(10万部),ポスター(2,500枚)の配布および掲示,ラジオスポット・新聞(西日本新聞2回・日経新聞1回),市政だよりなどでの広報活動を行った。

5 試行施策の効果
効果を把握するために,試行前と試行中で同内容の実態調査を行った。調査日については,でき得る限り条件を同じくするということで,特にイベントがなく,同じ曜日で,夏休み期間中である7月27日(木)と8月31日(木)を選び,また,試行実施後(10月9日~13日)に,市民600人,企業1,200社(推進者設置企業400社,その他800社)計1,800のアンケート調査を実施した。
これらの調査結果を踏まえて,各試行施策の効果についての検証を行った。
(1)ノーカーデー運動・企業持ち帰り車の自粛運動による効果
調査対象地区である天神地区への総流入交通量は約6%減少しており,この結果,天神地区の平均速度は1.3km/h上昇している(表ー1)。
さらに,車種別の変化については,乗用車は若干増加,バスは変化がないが,タクシー,貨物車の減少が著しい。

ちなみに,平成6年の7月と8月の月変動はほとんどなく,また,今回車籍地(福岡ナンバーかそれ以外)調査を実施したが,試行前と試行中でほとんど変化はなかったことから,
① タクシーの減少については,ユニバ期間中選手村(約250台)や各競技場へかなりの台数が配車されたことにより減少したことが考えられること(天神地区での減少の推計2,640台)。
② 貨物車の流入台数の減少については,8月は企業活動が7月に比べ活発ではないと推測され,貨物車の稼働台数が減少したこと。
③ 8月31日のユニバ観客が約40,400人であったことから,休暇等による業務活動の減少が考えられること。(天神地区での減少の推計2,200台)
を勘案すると,総減少量(約8,600台)からユニバによる削減量を差し引いた約3,760台が,今回の自粛運動による効果と想定される。
また,今回実施したアンケート調査からは,約3,500台が運動への協力による減少量と推計されることから,今回運動による流入交通量の削減は,3,500~3,800台程度で,2.5%程度の削減効果があったものと判断される。
なお,公共交通機関の利用人員については,試行前481千人から試行中475千人とほとんど変化はないことから,今回の運動では,公共交通機関の利用促進効果は認められなかったといえる。
(2)バス運行経路およびバス停位置の見直しによる効果
まず,バス運行経路の見直しの結果,実施した各交差点で右左折バスが削減された。
バス停位置の見直しについては,試行前と試行中の天神橋口交差点を中心とする走行速度の変化を見ると,タクシー等の違法駐車の減少もあり,ショッパーズ前で北からの流入が2.0km/h,郵便局前では東方向の流出が2.5km/h,南への流出も2.1km/h走行速度が上昇している。
(3)タクシー乗車マナーの向上による効果
今回,路上駐車の状況についても実態調査を行った(表ー2)が,違法駐車台数は,全体で1,376台から768台と大幅に(0.56倍)減少している。
これを車種別に見てみると,乗用車約44%,貨物車約20~30%の削減となっているが,タクシーは約79%と特に大きな削減となっている。
さらに,時間帯別では,違法駐車は一日を通じて概ね減少している。市タクシー協会の指導員や迷惑駐車防止指導員による指導体制と違法駐車の減少量の関係を見てみると,指導体制を強化した午後の方が違法駐車の減少率が高い。
特に,タクシーについては,天神地区における乗り場以外での乗車の状況の実態調査を行ったが,試行前と試行中では,率にして約30%減少しており,乗り場以外で客待ちしないという施策の指導効果があったものといえる。あわせて,時間分布を見ると,試行中の市タクシー協会による指導員の活動時間と連動して,減少量が大きくなっていることがうかがえる。

(4)物流車対策による効果
物流車の時差運行について,県トラック協会を通じて物流関係業者に協力を要請したが,特に運動の成果があったとは判断しがたい結果がでた。
また,共同輸送㈱の取扱貨物量を見ると,試行前(4,637個/日)と試行中(4,539個/日)ではほとんど差はない。ただ,7月と8月,つまり盆前・後でそもそも貨物量が減少する傾向にあるものが,変化がないということは,多少の効果があったのではないかと考えられる。
貨物専用パーキング・メーターの活用徹底という施策については,試行前と比べ,試行中では99台の利用台数増との調査結果が得られた(表ー2)。その内,貨物車は67台の増加となっており,これは,車種別で見た貨物車の違法駐車減少量912台の受け皿として活用されたことが推測され,県トラック協会の指導や違法駐車の指導の強化の効果によるものと考えられる。
(5)通信・情報板による交通情報の提供による効果
今回の試行に関する各道路の分担率を出したところ,特に那の津通りの時間交通量の変動幅は,試行前に比べ試行中は小さくなっていた。これは,那の津通りが有効に使われたことを示すものであり,情報板による分散誘導の効果があったものと推定される。

6 試行の評価および課題
(1)ノーカーデー運動・企業持ち帰り車の自粛運動
今回実施したアンケート調査では,交通マネジメント推進者を設置した企業の回答率が71.2%と高く,その他の企業が48.9%,市民の回答率は30.7%であった(表3ー1)。
また“スムーズ福岡”運動への協力度については,市民に関しては15.2%と低いが(表3ー2),企業に関しては,交通マネジメント推進者を設置した企業の協力度が高かったことから(表3ー3),今後の課題として,特に協力度の高い推進者設置企業の拡大策を検討するべきである。
特に,市民については,協力度もさることながら,その周知度自体29%と低く,PR並びに啓発活動のあり方について,テレビの利用や市民参加型のPR活動等ニュース性のある啓発方法についても検討していくべきである。
この自粛運動の受け皿としては,公共交通機関への利用転換の促進を図る必要があるが,その促進策として,異種交通機関どうしのカードの共通化の可能性などを検討していくべきである。

(2)バス運行経路およびバス停位置の見直し
バス右折削減のための運行経路の見直し効果については,バス事業者も利用者のサービス向上につながると位置づけており,試行に限定せず,今後も適宜推進していくべきである。
ハイウェイバスの停留場所の変更については,その効果が認められており,今後は利用者の意識を調査した上でその恒久的な実施について検討する必要がある。さらに進めて,天神地区におけるバス停の位置や規模等についても検討していくべきである。
(3)タクシー乗車マナーの向上
幹線道路の走行速度アップのためには,タクシー乗り場以外で客待ちしないという施策は非常に有効であり,タクシー協会等における継続的な実施を検討する必要がある。
併せて,乗車マナーの向上について,市民への周知方法を検討していくべきである。
(4)物流交通対策
車種別交通量をみると,貨物車のうちで自家用貨物車の占める割合が大きいため,特に荷主への働きかけの方策を検討する必要がある。
また,貨物専用パーキング・メーターの活用についてかなりの効果が認められたことから,今後とも推進していくべきであるが,自家用自動車の利用が20%を占めており,この排除方策が課題である。さらに,今後は物流施設の附置義務化についても検討していくべきである。
(5)通信・情報板による交通情報の提供
情報提供の効果が認められており,今後とも情報システムの高度化と表示板の増設により,迅速的確な情報を広範囲に提供することが望まれるところである。

7 おわりに
試行後に行った市民アンケートの中で,今後の運動方針はどうあるべきかとの問いを設けたところ,「もっと運動を推進すべき」51%,「強制手段で交通量を少なくする」16%と,実に市民の約7割が交通マネジメントの展開を望んでいるとの結果が得られた。
交通マネジメントは,市民の参加がなければ大きな効果を生み出すことはできないので,この結果には非常に勇気づけられるとともに,改めて,市民のニーズに対応していくような施策を行っていかねばならない責務を痛感させられたところである。
また,交通マネジメントは,比較的容易に方向転換が可能という特性があり,社会情勢・市民意識・生活様式の変化にも柔軟に対応していけることから,試行を繰り返しながらその結果を踏まえつつ,施策のあるべき姿を探っていくことが肝要だと思われる。
福岡市が,安全で快適な都市となるよう,今後とも市民や企業の協力を得ながら,交通マネジメントに取り組んでいく所存である。

上の記事には似た記事があります

すべて表示

カテゴリ一覧