福岡高速6号線(自動車専用道路アイランドシティ線)の概要
福岡北九州高速道路公社
企画部 計画課長
企画部 計画課長
山 下 正 昭
福岡北九州高速道路公社
福岡事務所 設計調整課長
福岡事務所 設計調整課長
大 浦 省 吾
キーワード:福岡高速道路、アイランドシティ、有料道路事業
1.はじめに
福岡高速道路は、九州自動車道路及び西九州自動車道と連携した放射環状型の自動車専用道路網を形成しており、福岡市と他地域との連絡強化、都心部通過交通の排除、交通の分散による幹線道路の交通混雑緩和、都市機能の充実・強化、地域の活性化を図っているところである。
現在の営業延長は56.8㎞で、2017 年度の1日あたり平均通行台数は189,925 台となっており、2012 年度に環状線が完成して以降年々増加している。
2016 年度からは、福岡市東部地区の交通需要への対応を図るべく福岡高速6 号線(福岡都市計画道路1・4・8 号自動車専用道路アイランドシティ線)の整備に着手しており、更なるネットワーク強化に取り組んでいる。
2.福岡高速6号線の概要
福岡高速6 号線は、福岡高速1 号線の香椎浜ランプ付近とアイランドシティとを結ぶ延長約2.5㎞の自動車専用道路であり、道路の構造規格は2 種2 級の4 車線で設計速度は60㎞ /h となっている。
事業としては3 事業(有料道路事業、港湾整備事業、街路事業)により整備を進めており、その区分は、道路整備区間の用地補償を街路事業、構造物構築・舗装と道路附属物は有料道路事業とし、港湾整備区間(臨港地区)の用地及び構造物構築は港湾事業、舗装と道路附属物は有料道路事業としている。なお、臨港地区内は直轄事業として九州地方整備局により進められている。
3.事業の目的と必要性
福岡市東部地区はかねてより海の中道方面への行楽期間のアクセス集中による渋滞が発生しており、開発が進むアイランドシティ地区においては、住民の増加に加え福岡市立こども病院や福岡市青果市場(ベジフルスタジアム)、博多港アイランドシティ地区での国際コンテナターミナル拡充に伴う港湾物流などの交通需要についてもますます増大する状況となっている。
また、福岡市立こども病院は、二次救急医療施設であり九州で唯一の小児専門病院でもあることから、周産期医療* や他の医療機関からの新生児の緊急搬送や低出生体重児等の広域的な搬送もあるなど高い速達性と定時性、広域的な交通ネットワーク形成、患者搬送の安全性を確保する自動車専用道路によるアクセスが必要となっている。
さらに、博多港アイランドシティ地区は、国際拠点港湾であり国際コンテナターミナルとして国際物流の拠点となっており、輸送コンテナ背後圏は九州一円であることから、広域的な高速道路網との接続により高い速達性と定時性が必要となっている。現在、九州地方整備局により国際海上コンテナターミナル整備事業としてコンテナ船の大型化およびコンテナ貨物の需要の増大に対応した大水深・高規格コンテナターミナルの整備が進められており、物流機能がさらに強化されることとなっている。
これらのことから、渋滞緩和や広域的交通需要への対応、交通の円滑化を図ることを目的に福岡高速1 号線香椎浜ランプ付近とアイランドシティを結ぶ自動車専用道路として事業化がなされた。
4.整備の効果
福岡高速6 号線の整備に伴い一般道からの交通の転換が図られ、一般道の混雑緩和が見込まれることはもとより、医療アクセス性の確保や広域施設へのアクセス強化、さらには災害時における緊急物資の輸送・集積拠点となっているアイランドシティと高速道路ネットワークとの接続および緊急輸送路としての機能確保が図られ、災害時に対する道路ネットワーク強化にも寄与することとなる。
主な移動時間の短縮としては、福岡市中心部(福岡市役所)からアイランドシティ地区への所要時間が24 分から17 分となり7 分の短縮、アイランドシティ地区から九州自動車道の福岡ICまでの所要時間が15 分から9 分となり6 分短縮される。
また、一般道から都市高速への交通転換に伴い、死傷事故の減少や、CO2 削減など環境への負荷低減も期待される。
5.工事内容
福岡高速6 号線は、延長約2.5㎞のうち、大半が高架橋であり、起点となる香椎浜ランプ付近から約1.4㎞を当公社が、残りのアイランドシティを含む臨港地区内の約1.1㎞を九州地方整備局博多港湾・空港整備事務所が整備する。
また、前述のとおり、高架橋完成後の舗装と道路附属物については、公社が一体的に整備する。
6.進捗状況
公社整備区間約1.4㎞においては、福岡市による用地取得が完了し、下部工・上部工工事を順次発注し、2017 年度より、下部工工事に現場着手したところである。
また、工程が早い区間においては、今年度から上部工工事(桁架設)に着手しており、2017 年度末の時点、建設費ベースで約40%の進捗となっている。
7.工事の特徴
(1)周辺の良好な景観に配慮した道路構造
福岡高速6 号線については、アイランドシティやその周辺において、魅力ある都市空間の形成を図るため、福岡市都市景観アドバイザー制度を活用し、良好な景観に配慮した道路構造の検討を行っている。
主なものとしては、高架下となる香椎浜北公園において、通常であれば1 スパン30m 程度の径間で設計するところを、70m 前後まで径間を広げ、公園内に設置される橋脚の本数を少なくし、圧迫感を和らげることで、周辺から水辺空間を介した眺望や公園利用者等への配慮を行っている。
(2)塩害対策
工事箇所は沿岸部であることから、塩害に対する防食仕様として、鋼橋(公社整備区間の約87%)において、重防食塗装を使用するとともに、コンクリート橋脚(同約81%)について、鉄筋においてエポキシ樹脂を塗装し、適切なかぶりを採用するなど、塩害対策に十分な配慮を行っている。
(3)情報発信
福岡高速6 号線建設工事については、沿線の住民に対するチラシ等による交通規制等のお知らせを行うほか、工事の進捗状況について、公社ホームページやSNS(LINE @)を活用し、定期的かつタイムリーに情報発信を行っているところである。
8.今後の取り組み
高架橋工事について、公社及び九州地方整備局博多港湾・空港整備事務所のそれぞれの上部工工事が完了した後に、舗装工事や施設工事などの附帯工事を行うこととしており、早期の工事完成を目指し、鋭意取り組んでいるところである。
9.おわりに
アイランドシティにおいては、2014 年には福岡市立こども病院が、2016 年には福岡市青果市場(ベジフルスタジアム)が開院・開場し、2018 年には、西日本最大級の面積を誇るメインアリーナを備えた福岡市総合体育館(照葉積水ハウスアリーナ)が開館するなど、広域的な施設が続々とオープンするとともに、国際コンテナターミナルの取扱量も年々増加しており、まちづくり・みなとづくりが進展していることから、高速性・定時性の高い自動車専用道路ネットワークの一日も早い形成を目指し、福岡高速6 号線の整備に努めていく所存である。
(左上)福岡市青果市場(ベジフルスタジアム)
(右下)福岡市立こども病院
(右上)福岡市総合体育館(照葉積水ハウスアリーナ)
(左下)アイランドシティ国際コンテナターミナル
(いずれも提供:福岡市)