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熊本県における今後の社会資本整備のあり方
熊本県 土木部長 戸塚誠司
1 はじめに

政権交代以降、公共事業に関しては、「コンクリートから人へ」の理念の下、見直しが進められ、国の公共事業予算は平成22年度から大幅に削減されてきており、平成23年度については、平成21年度比でマイナス19%となっている。
しかし、本県をはじめとする地方の社会資本の整備は依然として立ち遅れているのが実情であり、このような公共事業予算の大幅な削減は、地方の社会資本整備のさらなる遅れに繋がるとともに、地域の経済・産業・雇用にまで大きな影響を与えることとなる。
今後は、限られた予算の中で、住民の安全・安心な生活を支え、さらには地域の産業・経済を活性化するために必要な社会資本整備をどのように推進していくのかが喫緊の課題となっている。

2 本県における公共事業予算の推移

本県における公共事業予算についても、国と同様に、平成8年頃をピークに年々減少しきており、今年度の本県土木部の公共事業予算(投資的経費)については、ピーク時の約40%という状況である。

このままいけば、本県の公共事業予算に占める維持管理費は更に増大していき、現在実施している事業や新規事業の推進に大きく影響を及ぼすことが予想される。

3 今後の社会資本整備のあり方

平成23年3月に発生した東日本大震災において、高速道路等のネットワークが住民避難や緊急輸送道路としての機能を発揮し、災害時における社会資本の重要性について再認識されたところであるが、本県においては、高規格幹線道路(九州中央自動車道等)や地域高規格道路(熊本天草幹線道路等)の整備が遅れているのが実情であり、災害時におけるリダンダンシー確保の観点からも早期にこのようなミッシングリンクを解消していく必要がある。
このような地域の安全・安心なまちづくりのために必要とされる社会資本整備を着実に推進していくためにも、今後は、既設の公共施設について適切な長寿命化計画を策定し、ライフサイクルコストが最小となるような計画的な維持管理を行うとともに、予防的な保全等を実施するなど、施設の延命化を図ることにより、いかに維持管理費を抑えていくかが重要となってくる。

4 おわりに

本県では平成23年3月に九州新幹線が全線開業したことに加え、平成24年度からは熊本市が政令指定都市に移行するという百年に一度ともいうべきビッグチャンスを迎えている。
これを最大限に生かすとともに、九州の中心として熊本の拠点性を高めるためにも、JR鹿児島本線等の高架化や熊本駅周辺整備、更には県土の縦軸・横軸となる幹線道路ネットワーク整備をはじめとする地域の経済・観光振興・産業等の発展の重要な役割を担う社会資本整備を推進して参りたい。

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