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東九州自動車道(蒲江~北浦、須美江~北川間)の
供用効果について ~ 着々と結ばれる東九州道 ~
柿木文彦

キーワード:供用効果、観光支援、地震対策

1.はじめに

東九州自動車道は、北九州市を起点に大分県、宮崎県を経て鹿児島市に至る延長約436㎞の高速自動車国道であり、当該路線は、九州縦貫自動車道、九州横断自動車道と一体となって高速交通ネットワークを形成し、九州地方の一体的な産業、経済、文化の交流発展に資する路線である。
現在、国で行う新直轄方式では、佐伯~蒲江~北川、清武~北郷~日南、志布志~末吉財部間の約122㎞の区間を進めており、鹿児島県内の曽於弥五郎IC ~ 末吉財部IC(約11㎞)を平成22年3 月に供用し、平成24 年度には大分県内と宮崎県内の蒲江IC ~ 北浦IC、須美江IC ~ 北川IC、清武JCT ~ 清武南IC を供用している。
本稿では、蒲江IC ~ 北浦IC 及び須美江IC ~ 北川IC の供用効果について紹介する。

~ 着々と結ばれる東九州自動車道 ~(図ー1)
【平成24 年度供用区間】
  ・蒲江IC ~北浦IC(約14㎞)
      【H25. 2.16 供用】(写真ー1)
  ・須美江IC ~北川IC(約6㎞)
      【H24.12.15 供用】
  ・北川IC ~延岡JCT(約13㎞)
      【H24.12.15 供用】(国道10 号延岡道路)
  ・都農IC ~高鍋IC(約13㎞)
      【H24.12.22 供用】《NEXCO》区間
  ・清武JCT~ 清武南IC(約1㎞)
      【H25. 3.23 供用】《 NEXCOと直轄》区間
なお、平成25 年6 月14 日 平成25 年度予算を踏まえた道路事業の開通見通しを公表。
【開通見通しを変更した区間】
  ・佐伯.蒲江間 約20㎞  (H28 → H27)
  ・北浦.須美江間 約6㎞ (H28 → H26)
【新たに開通見通しがたった区間】
  ・北郷.日南間 約9㎞ (H29)

2.東九州自動車道(蒲江~北浦、須美江~北川間)の供用効果
東九州自動車道は、実現へ向け着実に進んでおり、特に、佐伯.延岡間は、大分と宮崎を結ぶ大動脈となる。そのため、地域活性化の起爆剤として地元の期待も非常に大きい。
蒲江.北浦、須美江.北川間の供用は、その第1 歩であり、大分・宮崎両県が初めて高速道路で結ばれたことで、交流人口増加や観光振興が図られている。

~ 地域産業・観光を支援 ~“ 開通効果はっきり”
東九州自動車道が開通したことで、道の駅等の利用者が増加(図ー2)。
・道の駅「かまえ」   対前年度比 約1.9 倍(写真ー2)
・道の駅「北浦」    対前年度比 約1.9 倍
・道の駅「北川はゆま」 対前年度比 約1.5 倍
・大分県マリンカルチャーセンター   対前年度比 約1.6 倍(写真ー3)
※比較はレジカウント数
 昨年度:平成24 年4月27 日~5月6日
 今年度:平成25 年4月27 日~5月6日

 

 

~ 地域産業・観光を支援 ~ 
“ハイウェイと浦々の連携”高速道を活性化のきっかけに!
大分県佐伯市蒲江から宮崎県延岡市を結ぶ国道388 号を中心に、複数の県道、広域農道にまたがる周辺地域の取り組みにより形成されている「日豊海岸シーニック・バイウェイ(通称 蒲江・北浦大漁海道)」(図ー3)ルートが存在する。
ルート内には、リアス式海岸特有の多くの浦(入り江の集落)があり、豊富な水産資源を活用して、食とブルーツーリズムによる地域づくりが盛んに実施されている。具体的には、「東九州伊勢えび海道・伊勢えび祭り」の開催、海業(うみぎょう)体験により「あまべ渡世大学」の開校などが一例としてあげられる。
昔、大分随一と自慢する海水浴場には、かつて観光バスが連なることもあったが、アクセスの悪さから客足は次第に遠のいたとも聞いている。
東九州自動車道の全線開通は、骨格となる道路が加わることとなりルートの広域化が図られ、産業・観光事業の推進及び浦々の文化の発信等による交流人口のより一層の拡大が期待される。

~ 災害に強いネットワークの構築 ~
“『やっと安心。孤立解消』”
蒲江地区南西部はリアス式海岸の入り江に位置し、地区外にアクセスする国道388 号や県道古江丸市尾線の道幅はどれも狭く脆弱で、過去に多くの災害が発生している(図ー4、写真ー4)。
平成13 年の豪雨災害では、地区に通じる道路が全て寸断し、波当津地区で“3 日間の完全孤立” 状態となり、完全復旧まで約半年もの時間を余儀なくされている。今回の開通により、孤立が解消され、地域住民の安心・安全な暮らしが創出された。

 

~ 南海トラフ巨大地震等への対応力が強化 ~
“ 津波等に対する備え”
東日本大震災では、高速道路がいち早く復旧し、物資輸送や救命救急活動に大きな役割を果たしたことから、非常時のライフラインとして改めて重要性が認識されたところであるが、当該区間が通過する沿線地域では、南海トラフの巨大地震等により津波浸水が想定されており、今後想定される地震、津波発生時には現道が寸断するなど甚大な被害が想定される。
・並行現道の国道388 号における津波浸水延長約20.5㎞(約3 割)
・約3,270 世帯(約8,100 人)に影響の可能性あり
これら緊急事態に対応するため、東九州自動車道の整備に併せ、緊急連絡路の設置や訪れる津波に備える避難階段を設置した。

○緊急連絡路 (蒲江.北浦間2箇所(図ー5、写真ー5)、須美江~北川間2箇所設置)
 トンネル内の電気設備を管理する電気室設置箇所に緊急連絡路を接続。施設敷地スペースを活用することで特殊車両の出入りが可能となり、緊急車両の派遣や支援物資等の支援ができる。

○避難階段 (北浦IC付近2箇所(図ー6、写真ー6)設置)
 盛土法面に沿った形で避難階段を設置し、盛土最下段の小段部スペースを退避箇所として活用する。
 なお、最下段のみ階段を設置するのは、高速道路内に容易に進入されることを防止することと、小段部の標高が約20m あり、津波による避難高としては十分であることから最下段のみの計画となっている。

“ 避難は高速道へ”
平成25 年1 月22 日 避難訓練を実施

※延岡市北浦町古江地区については、延岡市の避難計画に基づいて、各自の判断で地震発生時における最寄りの避難場所へ避難することとされています。

3.おわりに
“ 着々と結ばれる東九州自動車道” 完成すれば九州にとって新たな時代の幕開けと言って良いほど影響をもたらす出来事であり、地域の期待も非常に大きい。
引き続き、地元の皆様や関係機関等と協力し、東九州自動車道の早期構築に全力を挙げて努めて参りたい。

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