国土交通省では，請負業者の適正な選定および指導育成に資することを目的として，平成13年度から新たな工事成績評定要領による成績評定が開始されました。

本稿では，新たに制定された「請負工事成績評定要領」について，その概要を紹介します。

工事の成績評定は，請負業者の適正な選定および指導育成に資することを目的として昭和42年に始まり，幾度の改正を経てこれまで実施されてきました。

最近では，平成８年１月にとりまとめられた「公共工事の品質に関する委員会・報告」を受けて，公共工事の品質確保・向上のためには成績評定の積極的な活用が有効であるため，評価項目等について発注者間での全国的な統一を行い共通の企業評価項目として経営事項審査等に採用すること，および成績評定の透明性を高める観点から受注者に評定結果を通知することとされました。

また，企業の技術力の適正な評価について，平成12年３月にまとめられた「発注者責任を果たすための具体的施策のあり方（発注者責任懇談）」会では，

と報告されており，今回それらを具休的化するため新たな成績評定要領の作成が進められ，昨年11月から本年１月までの間に全国的に試行（評定合計点および評定項目別点）が実施され，本年３月30日付けで「請負工事成績評定要領」として制定されたところです。

　　①　評定項目別点：工事ごとに評定合計点と細目別点を保有する。

　　②　工事難易度評定：工事ごとに工事完了後の評定を保有する。

　　③　VE評定：提案企業ごとに保有する。

これまでの評定要領に対して，より一層の適正かつ的確な評定の実施を図るために，今回の要領では以下の改定が行われています。

新たに評価項目として設けた「高度技術力」，「創意工夫」については，工事内容を十分吟味したうえで一定範囲内で加点評価する。その際，客観性を確保するために，技術副所長および発注担当課長の合議とする。

単なる数量的評価だけでなく，どのように優れていたのかが分かるようなキーワードを残して，それをデータベース化し，次回以降の発注時に使用できるようにする。

「法令遵守等」として新たに評価項目を設け，関係法令等を遵守し，無事故・無違反で工事を実施したかどうかを評価する。

処分の内容に応じ減点方式で評定し，最大20点減点する。

共通仕様書等の内容に盛り込んだ該当項目別チェック方式とし評定者の恣意が入りにくくチェック項目に応じて評定点が決まるようにしている。

また，出来形や品質では，具体的に規格値に対するバラッキの程度を確認し評価する。品質・出米ばえでの確認すべき項目を工種ごとに設定している。

施工プロセスの評価として，施工途中で施工の実態を把握している主任監督員のウェイトを重くするとともに，施工途中の監督職員の把握事項を所定様式で記録し，技術検査官の成績にも反映させる。

評定項目，細別，考査内容，評定者は，下表のとおりであり，評価方法は各評定項目ごとに原則としてa～eで評価する。

九州地方整備局の発注する直轄工事については，今回紹介しました新・工事成績評定要領に基づき成績評定を実施してまいります。

関係される皆様には，改正の主旨等を十分認識して頂き，良質な社会資本の構築に向けた取り組みを期待しています。