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技術士試験合格までの体験記

国土交通省 九州地方整備局
 河川部 河川工事課長
松 岡 弘 文

技術士の受験を決意してから,遂にその努力が報われました。日々,努力すれば何時かは報われる時がくるものです。技術士を目指す皆さんは,様々な職場での経験があり,その技量は十分にあります。その豊富な経験を文章に表現するための,努力の仕方を知ることも必要と思います。今までの経験を,これから挑戦される方々に,少しでも参考になればと思い紹介させて頂きます。

1 日頃からの準備
(1)情報収集し読み記憶する
職場で読む建設専門誌等の目次から,建設一般と専門分野に関する記事を抽出し,キーワードごとにファイリングした。それを繰り返し読み,キーワードと概要が思い浮かぶまで記憶した。特に建設環境と「専門とする事項」の河川環境に関する情報は土木研究所等の技術情報誌から,筆記試験に役立つ内容をコピーし,何回も読んだ。
(2)手書きの訓練は役立つ
筆記試験は昼食を挟み7時間書き続けである。書く内容は頭に浮かんでくるが,指と腕が痛く硬張って思うように書けないことがある。これを克服するには,日頃の訓練に頼るしかない。そこで次のことを心掛けた。
① 日々の手書き訓練
日記を書くことにした。その日の事を単調に書かず,冒頭に結論,次に問題点,原因,改善点,評価となるだけ箇条書きするように心掛けた。日記1~2ページの中でも論文形式で記述する練習は基本的な訓練で,毎日でなくとも役立ったと思う。
②会議メモの手書き訓練
会議,公演会等では,常にメモを野帳に書くように努め,話しを聞きながら概要,論点,改善点,連絡事項等を適確にメモすることを実践した。講演会メモは,後で参加できなかった職員が読んでも理解できるように.要点を箇条書きに表現し,分かり易い文章となるよう工夫した。集中して素早く手書きする訓練は,限られた時間内の筆記試験に役立った。

2 体験論文記述の要点
体験論文は業務の目的と問題提起,解決手法の選択,そして事後評価と反省に至るまでの記述である。読む人が興味をもつ書き方も必要だが,論文の内容から業務の遂行能力,技術力および創造力が評価される。そのため,特に次の点に留意して体験論文をまとめた。
① 体験業務の問題点,原因究明が専門技術の見地から十分に把握されているか。
② 解決策に技術的な創意工夫が反映され,効果の評価手法は適確であったか。
③ 体験業務に満足することなく,技術開発や将来の展望に問題提起がなされているか。

3 口頭試験の準備
筆記内容に関する質問が大半である。このため建設一般.選択科目で書いた要点は忘れない内に再記述し,全てにおいての復習が大切である。

4 おわりに
先輩技術士からの情報提供や助言により,受験準備ができ心強かった。感謝しております。何事も常に目標を持って努力することの大切さを経験しました。皆さんの報われる時はもうすぐそこです。暑さに負けず,ご健闘を析念致します。

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技術士試験合格までの私の体験記

国土交通省 九州技術事務所
 建設専門官
荒 川 直 樹

今年受験される方と,今後受験を検討されている方に少しでもお役にたてればと思い,私の体験を述べさせていただきます。

1 経験論文
20数年前の経験ですが,当時土木研究所で研究したコンクリートを選択し受験しました。
設問は,①業務概要を3つ,②1つを選び課題と解決策,③現時点での評価と展望等となっています。
自分が何をしたかだけではなく,必要に応じて背景を含めた課題とそのとらえ方,さらにそれをどう解決したか,またテーマが古くても現時点での評価と展望で現時点の考えを記述しました。
経験論文は,私の場合,先輩技術士の方々にアドバイスをいただいたことに感謝しています。
また,関連ある新技術の動向,諸施策等について常に興昧を持ち,講習会や研究会等にできるだけ参加し,さらに,技術雑誌等で勉強したことが合格へ繋がったものと思っています。

2 選択問題
過去の出題の整理と技術雑誌(JCI会員:30年間)の講座や教室の各シリーズ等について整理しました。最近の出題は,材料施工関係と設計の両方について記述する内容が多くなっています。

3 必須問題(建設一般)
テーマは,高齢化,国際化,環境保全を基本論文として,応用論文のイメージトレーニングをしました。このとき漢字もイメージして,通勤電車の中でもポケット版の漢字辞典等で確認しながら行いました。
建設一般は,4枚記述しますが,重要なキーワードについては,序論,本論,結論,で重複して記述すれば,設問のテーマについての各論部分は,2枚程度で良いと考えられ,気が楽になると思います。また,2問のうち1問選択しますが,選択しなかった方の設問もキーワードの1つとして記述することも考えられます。
参考図書は,建設月報(MCM):建設白書等諸施策と近代図書の技術士第二次試験論文作成テクニックをお薦めします。
また,建大研修(技術マネジメント)が大変参考になりました。

4 その他
筆記試験後,口頭試験の準備をしておくことをお薦めします。
私は,6回目でようやく合格しました。受験しなかった場合と比較すると,受験した方が勉強できると思い受験を続けました。
努力が足りなかったため,不合格通知を受け続けましたが,反対に無理をしなかったため,継続することができたとも思っています。技術士の受験は,合格するまでネバーギブアップを継続することが必要条件と思います。
平成12年度は,技術士法が改正され.従来の3大義務のほかに資質向上の責務公益確保の責務が追加され,登録後も研鑽を継続することが必要となっています。
健康に留意され,ご健闘をお祈りいたします。

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技術士試験合格までの体験記

大分県宇佐土木事務所 
企画調査課 副主幹
湯 地 三子弘

㈶建設工法研究所から「体験記」の執筆依頼を頂きましたが,合否のポイントなどは多くの参考書等で紹介されており,今年から試験制度も変更されるうえ,私如きがアドバイスできるような立場ではないので,体験談としてお読み下さい。
官庁の技術職員である私が技術士の資格を取得しようと考えたのは,施工業者やコンサルタントを指導・監督する立場にある我々も請負者に求めているものと同等以上の技術力が必要であると感じていることや,「発注者責任研究懇談会」において発注者自らを評価する資格制度の必要性が議論される中で,技術士の資格を是非とも取得したいと思うようになったためです。時を合わせて技術士試験制度の見直しがなされたために,新制度に移行する前の今回の試験が最後のチャンスだと思い,背水の陣で受験勉強に取り組みました。
しかし,初めての受験であり,何から始めたものやら。参考書を買い求め,とにかく経験論文をまとめることにしました。ゴールデンウィーク前にできあがった原稿を先輩技術士に添削して頂いたところ,結果は散々でした。真っ赤になった原稿用紙には,「報告書ではないのだから,自分が果たした役割について明確に記述するように。」と厳しい評価が下されました。
その後,何度も添削を受けながら推敲を重ね,経験論文が完成したのは7月下旬。筆記試験当日まで毎日のように自分の声で録音したテープを聴きながら,さらに文章に磨きをかけました。
経験論文の作成と並行して,建設一般に関する資料や専門分野の情報誌を読みながら,文章を書く練習を重ねました。始めのうちは1時間も鉛筆を握っていることができませんでしたが,そのうちスピードも速くなり,1時間で書ける文字数を自分で把握することができるようになりました。
仕事も結構大変な部署であったために,残業から帰ってから深夜までが受験勉強の時間でした。受験に対する焦りから家族に辛く当たることも多かったけれど,みんなが支えてくれたお陰で,受験勉強に集中することができました。
8月下旬の筆記試験当日は適度な緊張感の中で,出題された問題もほぼ予想通りであったため,時間配分に注意を払い,制限時間ぎりぎりまでかかって答案用紙の9割弱を埋めることができました。
筆記試験の合格発表迄は,僅かに答案の整理をした程度でほとんど準備をしていなかったため,口頭試験までの3週間は本当に焦りを感じました。
その間,九州技術士センターの講座を含め先輩技術士の方々から3度の模擬試験をやって頂いたお陰で,当日は余り緊張もせず無難に約20分間の問答が終わりました。合格発表までの2ヶ月間は結構長く感じましたが,2月7日の朝刊で自分の名前を発見した時の喜びはひとしおでした。
受験を通じて,準備無くしての合格は有り得ないということ,試験当日までのスケジュール管理が大切であるということ,何よりも「合格したい」という強い意志を持って毎日コッコッと勉強するしかないということを感じました。
試験に合格したといっても,これからが一人前の技術士への勉強のスタートです。先輩技術士の方々のご指導を仰ぎながら,技術の研鑽を続けていきたいと考えています。

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技術士試験合格までの体験記

第一復建株式会社
 技術第2本部水工部
萬  運

忙しい仕事の合間に,暑い夏に向け技術士の合格を目指している方々に,多少ともお役に立てる体験記として記したいと思います。なお,私は,「河川,砂防及び海岸」で受験しました。

1 体験論文での対応
体験論文は,十分な準備(答案の添削と暗記)が可能と思います。自分が受験しようとする同じ専門分野の技術士の方に添削していただくのが良いと思います。私は,受験対策講座を受講し,よい評価点をいただいていたので,自信ができ,安心して受験することができました。

2 必須科目と選択科目での対応
建設一般は,社会・経済的背景を記述することを要求されることが多いと思います。そこで.答案用紙1~2枚程度にまとめました。また,はじめにとおわりにも0.5枚程度にまとめました。あとは,社会・経済情勢の中でキーワードになっている内容について,1~2枚程度に解答をまとめました。社会情勢のキーワードは,少子高齢化,国際化,高度情報化,国土構造,環境問題などです。経済情勢は,バブル崩壊,財政再建,少子高齢化,国際化,高度情報化です。さらに,住宅・社会資本整備の取り組み方,コスト縮減・品質確保,環境問題建設産業,建設業界などです。これらを組み合わせれば,ほとんどの問題に対応できます。
選択科目については,過去の出題,「建設白書」,「河川」,「国の審議会への諮問・答申に係る資料」等を参考として問題を作成しました。社会・自然条件,堤防,護岸,治水対策,高度情報化,防災対策,多自然型川づくり,水循環,水環境,水質浄化,水辺整備の利用,河川整備の在り方,国土保全・水資源対策,安全度,技術開発などがキーワードになると思います。
平成12年度は,循環型社会,環境問題,高度情報化,総合的な治水対策等がキーワードになるのではないかと思っていました,このキーワードは,受験対策講座でよい評価点をいただいていました。また,「水循環」は,「水循環再生計画」等の業務を受注していましたし,「総合的な治水対策」も同様の仕事の受注がありました。まさに,仕事を通じて解答することができました。

3 受験対策
私は,試験の要領を短時間で把提するためには,第三者に解答論文を点数で評価してもらうことができる受験対策講座の受講が極めて有効と思います。筆記試験と口頭試験とも,九州技術士センターの講座を受講しました。
私にとって,問題だったのは,限られた時間内に書くということでした。書くスピードの把握,時間配分の習得が重要です。私は,適宜箇条書きを採用し,解答の目標を100%ではなく,80%としました。また,解答を縮小し,一枚の紙面上に並ベ,全体を眺めながら暗記すること,書いて覚えること等に気を使いました。
平成15年度から試験制度が変わります。今年は,暫定措置として,必須科目に択一式が加わるということですから,建設一般の論文が4枚から2枚になるのではないかと予想されます。皆様のご健闘をお祈り致します。
なお,ご指導いただきました諸先輩技術士の方々に感謝いたします。

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