国道442号バイパス(大川~八女間)全線開通について
~八女筑後バイパス整備終了~
~八女筑後バイパス整備終了~
北野靖
キーワード:国道442号バイパス、インターアクセス、交通利便性向上
1.はじめに
一般国道442号は、大分県大分市を起点とし、竹田市、熊本県小国町を経由し、福岡県大川市を終点とする総延長190.7㎞の幹線道路である。
また、瀬戸内海と有明海、すなわち北部九州の東西を連結しており、道の駅も竹田(竹田市)、小国(阿蘇郡小国町)、鯛生金山(日田市)、おおき(三潴郡大木町)の4つを有し、観光等の活性化にも寄与している。
さらに、終点の大川市に隣接する柳川市を出生地とする北原白秋と通過途中の大分県竹田市で幼少期を過ごした滝廉太郎の二人の頭文字をとって、別名「北滝ロマン道路」とも名付けられ、この名称で日本の道100選に選定されている。
福岡県内においては、八女市、筑後市、大木町、大川市の市街地を東西に横断しているが、交通容量不足による交通混雑が発生しており、幹線道路としての機能やインターへのアクセス機能が低下し、その役割を十分に果たせていない状況である。
沿線には学校が多いこともあり通過交通の転換による歩行者や自転車の安全確保も必要である。
このような状況を踏まえ、平成8年度にバイパス事業が着手され、断面交通量を確保し、主要渋滞ポイントなどの解消や地域における歩行者や自転車の安全確保を図ることとした。
平成8年に策定された「福岡県緊急輸送ネットワーク計画」の中では、大規模災害発生直後から必要物資の輸送、応急措置実施など緊急輸送を確保するため必要な道路として緊急輸送道路の1次ネットワークに位置付けられた。
平成9年に策定した「ふくおか新世紀計画」では県土整備構想のひとつとして「筑後田園都市構想および福岡・筑後活力カテゴリー構想」が掲げられており、基本理念として「土地と水と交通基盤を活かした、環境と調和し、自立する多様な田園都市空間の形成」がある。本路線も主要プロジェクトとして地域間連携強化と高速交通ネットワークの構築に向けた幹線道路網の整備対象路線となっている。
平成24 年九州北部豪雨災害では、各所で被災し、移動手段を自動車に依存する地域住民にとっても、防災・医療・福祉等の生活環境の面から必要不可欠な社会基盤であることを再認識させられた。
2.大川~八女バイパスの概要
大川市から八女市までのバイパスは、延長約17.4㎞で、3 区間に分割され、起点側より八女筑後バイパス約8.1㎞、筑後バイパス約2.8㎞、大木大川バイパス約6.4㎞である。
昭和63年度から大木大川バイパスに着手し、平成8年度には八女筑後バイパス、そして平成15年度に筑後バイパスに着手してきた。
三つのバイパスを南筑後県土整備事務所(旧柳川土木事務所)と八女県土整備事務所(旧八女土木事務所)で施工し、平成20年度には大木大川バイパス、平成22年度には筑後バイパスが完成し、八女筑後バイパスを残すのみとなっていた。
○主な経過
S63 大木大川バイパス事業着手
H7 県道山門城島線の東側の一部供用開始
国道3 号主要地方道佐賀八女線間供用開始(八女市事業)
H8 八女筑後バイパス事業着手
H11 大木町の一部及び県道柳川城島線からの西側の一部を供用開始
H12 大川市大橋地区の一部を供用開始
H15 筑後バイパスの事業着手 九州自動車道の東側一部を供用開始
H16 大川市中八院地区から上八院地区まで供用開始
H17 筑後市前津地区の一部を供用開始
H19 大川市本木室地区、大木町横溝地区を供用開始 八女インター工区事業着手
H20 大木大川バイパス完成
H22 八女筑後バイパスの国道3号以西が完成 筑後バイパスの完成
H24 八女インターアクセス道路の完成
H25 八女市~大川市間の完成
3.八女インターアクセス道路について
八女インターアクセス道路は、本線バイパスと九州縦貫自動車道八女インターを直結する、本線部約0.8㎞、ランプ部約0.3㎞の合計約1.1㎞の道路である。
九州縦貫自動車道八女インターは、広川インター(平成9年度供用)とみやま柳川インター(平成20年度供用)の開通により交通量はやや減少したが、依然として110百台/日以上の利用があり、バイパスとインターの接続が容易になることにより、交通渋滞の緩和が図られ、インターの利便性にも効果が期待される。
また、本工事は他事業において発生した残土を盛土材として利活用し、コスト縮減も図っている。
4.八女筑後バイパスについて
八女筑後バイパスは、主に筑後市と八女市の市街地から発生する域内交通と八女インターを利用する通過交通などの混在による交通混雑の解消を目的としているが、福岡県交通対策協議会で主要渋滞箇所として納楚交差点(国道3号)、湯気の下交差点(主要地方道佐賀八女線)が位置付けられており、本事業において両交差点の渋滞も解消する見込みである。
現道沿いには、学校が集中しており、歩行者は約400人/日の利用があるが、年間約60件の事故が発生している。このため、バイパスによる交通量の転換により、歩行者や自転車利用者の安全確保を図るものである。
5.事業効果について
八女~大川間の開通後である平成25年6月に主要地方道久留米柳川線、国道209号、主要地方道佐賀八女線との交差点で断面交通量を調査した結果、バイパス利用交通量は増加し、逆に現道の利用交通量は減少した。
特に大型車の交通量が大幅に減少し、バイパスと現道の機能分担が進行している。数的なものとしては、3か所の平均で交通量で約10%、大型車は約20%減少し、現道が生活道路として、利便性や安全性が向上した。
また、八女インターの利用交通量も現道からの流入が約20%減少し、現道への流出も約30%減少してインターへのアクセスも円滑化している。
地元の声としても「現道の交通量が減り、歩行者の安全性が向上した」との意見も寄せられた。
6.おわりに
県内における一般国道442号は、このバイパス計画のほか、旧八女郡黒木町における黒木バイパスや県営日向神ダム上流部の日向神改良Ⅱ期工区の事業も実施中であり、更なる安全性や利便性を確保するため、事業進捗を図っている。